レザー職人・竹内光さん
某ライダースウエアブランドで、レーシングスーツなどの修理を担当。その後独立。オリジナルバッグやOEMを手がける。
リアルマッコイズだから受けたハンドクラフト。
モノ作りに携わっている人たちにとって大切にしなければいけないこと。それは手に入れた上質な素材を無駄にせず、製造過程で出た端材もいかに有効活用するか。それを課題にするメーカーやブランドが増えてきた。
ヴィンテージに存在したミリタリーやワークなど現代の日本技術を駆使して現在に蘇らせる「リアルマッコイズ」では、革ジャン製作の際に出る端材を使ってレザーアニマルを作っているのをご存じだろうか。デザインベースになっているのは、ヴィンテージで存在するレザー製のアニマル。その製作を一手に引き受けているのがレザー職人の竹内光さんだ。
「箱単位で革の端切れが送られてきて一枚一枚革の状況を確認しながら、知り合いの型抜き職人に型を取ってもらうんです」
肝心の型を起こしたのはもちろん、竹内さん。元になるヴィンテージのレザーアニマルの写真を見ながら、ひとつずつ型を起こした。
「本業のOEMとは別の仕事ですが、リアルマッコイズさんの物作りのスペシャリティに意気を感じして、特別にお受けしています」
縫製作業を見せてもらったが、すべてのパーツの位置を完璧に覚えていて、スモールサイズであればあっという間に形になってしまった。簡単そうには見えるが、パーツが小さい分、かなりの集中力が必要。しかもすべての工程を手作業で行っている。
革ジャンと同じで使い込むことでホースハイドの経年変化も楽しめる。形は違えどインテリアとして新たな命が吹き込まれたレザーアニマル。リアルマッコイズのまた違った魅力が垣間見られるアイテムであることは間違いない。
すべて一人で手作りしている作成過程を拝見。
1.型抜きしたパーツを組み立て縫製。
型抜きされたパーツが上がってきたら、それぞれのパーツを合わせて縫製していく。「どこにどのパーツがくるのか、もう覚えちゃいました」
2.叩いて端の糸を焼き留める。
縫製したところを金槌で叩き開く。そして縫製後の糸を火であぶってしっかりと留める。革が焦げないように注意しながらの作業のため集中力が必要。
3.尻尾や耳を付ける。
ある程度ボディが組み上がったら、耳や尻尾などの細かいパーツを追加。これらはその都度竹内さんが型を取ってカットしている。これらを縫製していく。
4.裏返して目を付ける。
組み上がったら裏返す。細い棒を駆使しながら、足など細い部分の形を整える。詰め物を入れて最後に閉じる。革をくり抜いた目をつけて完成!
中の詰め物にもホースハイド!
穴が空いていたりとボディに使えない革は、専用の機械を使って写真のように革を千切りにし、詰め物として使用。革を無駄にしない精神に感服するばかりだ。
詰め物は革だけだと硬かったり形が整わないので、綿と木毛を混ぜているという。この組み合わせが一番感触がよくなるそうだ。
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「Lightning2022年6月号 Vol.338」)
Text/M.Matsumoto 松本めぐみ Photo/Y.Amino 網野貴香 A.Kuwayama 桑山彰
関連する記事
-
- 2024.11.19
1足持っていたい、揺るがない人気を誇る白スニーカー8選
-
- 2024.11.19
押さえておきたい流行に流されない定番スニーカー5選
-
- 2024.07.31
この夏のミリタリーTシャツ9選。