ひと味違う大人の男を演出するハット。その市場価値とは?

  • 2022.05.09

紳士の代名詞的アイテムとして古くから欧米を中心に愛用されてきたハット。歴史が古いだけに当然ヴィンテージも存在するが、国内の流通量は意外と少ない。カジュアルファッションでも最近人気なだけにハットのヴィンテージは狙い目かも?

お話を伺ったのはこちら「ザフィフスストリートマーケット」

約6年前よりてヴィンテージハットを中心に展開。実店舗としては国内随一の品揃えを誇る。ショップにはハットのほかアメカジやミリタリーのヴィンテージなども充実する。

【DATA】
ザフィフスストリートマーケット
愛知県名古屋市北区丸新町93-2F
TEL052-253-6338
営業/12:00~20:00
休み/月曜
https://thefifthstreetmarket.com

紳士の嗜みとして長い歴史を誇るハット。

ハットに使用されるのは素材はラビットかビーバーの毛皮。中世以降、乱獲が続き絶滅の危機に瀕したことから19世紀半ばに規制された。そのため、現在はヴィンテージのものに比べると含有率が低い。また現行品は大量生産品も多いが、ヴィンテージは丁寧なハンドメイド品が中心なので、保存状態がよければ旧くとも現行品を超えるクオリティのものも存在する

ひと昔前までは堅苦しいイメージの強かったハットだが、近年はジョニー・デップなどハリウッドスターや日本の著名人の間でもラフなファッションに違和感なく合わせるシーンも見られるなど、ファッションアイテムのひとつとして認知されている。ちなみに「ハット」というのは英語で頭に乗せるものの総称として使われるが、ここでは周囲にツバ(ブリム)があり頭頂部(クラウントップ)が谷型に折れている、いわゆる中折れ帽を指す。

ハットの歴史については諸説ああるが、チャップリンでお馴染みのボウラーハットやシルクハットからの派生という説が濃厚で、文献を見てみても19世紀には現代のフォルムが完成していたようだ。そのため、現在ヴィンテージとして流通するもののなかでも古いものだと1800年代後半、1900年代初頭というものも見られるが、一般的には素材使いが今よりも贅沢で、ハンドメイドが主流だった1960年代以前をヴィンテージと呼ぶことが多い。

知られるブランドとしてはアメリカのステットソンやドブス、イタリアのボルサリーノ、イギリスのクリスティーズなどがある。年代によって若干は異なるが、基本的なスタイルは19世紀後半にはできあがっていたようだ。

現行品を上回る品質のヴィンテージも多い。

「個人的にアメリカ好きなのでアメリカのステットソンを中心に扱っています」
というのは、名古屋市北区の「ザフィフスストリートマーケット」代表の宮島隆明さん。店内にはウエアや雑貨のほかに、ハットだけでも常時約150点が並ぶ国内屈指のヴィンテージショップ。

「基本的に1960年代以前のものが中心です。現行品に比べて素材(ビーバーやラビット)の質が良く(現行品は含有率が低い)、また製法が丁寧なものが多く、現行品も当然いいものがたくさんありますが、身につけた時の雰囲気が違いますね」

気になる流通価格だが、’60年代で3~5万円台、’60年代以前で4~6万円台で、状態やレア度で価格はピンキリ。サイズは大きいものは小さくできるので、実際に試着できない場合はジャストか少し大きめを選ぶのが吉だそう。

古くとも耐久性に難があるどころか、万が一損傷した場合でも修理することもできるし、いいものを選んで手入れをすれば何十年と愛用することだって可能だ。帽子は「第二の顔」とも言われるアイテムだけに、ハット好きならぜひとも「本物」と出会っていただきたい。

基本的にハットのクラウン(頭部)の裾部はリボンが巻かれていて、こちらに小物を差すアレンジも ある。マッチ棒やドル札、ピンバッジ、羽、カードなどが多いが、特に決まりはない。さりげなく自己主張するポイント

市場価格を知る!

国内での流通価格は2021年12月現在で、1960年代で3~5万円台、それ以前だと4 ~6万円台が平均で、人気度やレア度によって10万円を超えるものも。オークションやネット販売でも安く手に入ることもあるが、保管状況やダメージ具合、サイズなどが確認できないこともあるため、当たり外れが大きいというリスクもあるので注意。

STETSON

STETSON 40’s ウィペット|ジョニー・デップやキムタクが愛用したことで愛好家には知られるウィペットのベージュワントーンカラー。状態も最高。探している人も多いのでは。頭周り約57-57.5㎝。23万9800円
STETSON 40’s ストラトライナー|’40年代初期のみに採用された飛行機モチーフロゴが内側のレザー部に施されたレア品。リボンにあしらわれた飛行機のピンバッジもオシャレ。頭周り約58-58.5㎝。11万円
STETSON 40’s フラッグシップ|アメリカンエアライン社とのタイアップで作られたものでボックス付きという激レア品。高めのクラウンに7.2㎝のワイドブリムというバランスのいいデザイン。頭周り約57 ~ 57.5㎝。8万8000円
STETSON 40’s|ヌートリアクオリティステットソンのなかでも珍しいヌートリアのファーフェルトを使用した極上品。ライナーにカウボーイのデザインが施されているのもレア。頭周り約60㎝。10万7800円
STETSON 1900’s グランドプライズ|1900年代で箱付きほぼデッドストックというミュージアムクラスのレアもの。現代では困難なビーバーファー100%のロングヘアモデル。頭周り59㎝前後。16万5000円
STETSON 40’s ディプロマット|41年から数年のみ作られたヴィータフェルトと呼ばれる高密度のビーバーフェルトを採用したレアモデル。加えてネイビー×ワインレッドというカラーリングもレア。頭周り約57㎝。13万2000円

BORSALINO

BORSALINO 30’s シルチ|イタリアの名門・ボルサリーノの推定30年代のシルチハット。セミロングの毛足のアンゴラファーを用いたレア品。リボンも極太かつサメのエラのようなシャークギルという凝ったデザイン。5万8300円
BORSALINO 50’ s アレックス|上質なラビットファーを用いたボルサリーノらしいカラーを持つ極上コンディションの1品。13㎝のハイクラウン、7.4㎝のスーパーワイドブリムという優美なシルエットも魅力。頭周り約57.5-58㎝。4万6200円

MALLORY

MALLORY 40’s クラシック|アメリカ最古のハットメーカーといわれるマロリーのクラシックハット(’60年代にステットソンに吸収)。クラウンが高くて角張った’40年代らしいフォルムにワントーンが美しい。頭周り約58.5-59㎝。4万6200円

DOBBS

DOBBS 50’s ハンレイホール|ステットソンと並ぶアメリカの高級ハットメーカーで、禁酒法時代にギャングたちが愛用したドブスの幻と呼ばれるモデル。かつほぼデッドストックという極上品。配色もレア。頭周り約57-57.5㎝。12万1000円

海外ではヴィンテージ市場も確立されているが、国内の場合、古着店に少しだけあったり、数が多くてもネット販売専門だったりして、実物を手に取れる店舗はほぼ皆無。まだ素人には入りにくい状況といえる。それだけに自分に合うお気に入りを見つけたら迷わず手に入れたい。

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典「Lightning2022年2月号 Vol.334」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部