自転車ができる様子拝見! Panasonicの工場へ社会見学に行ってみた。

パナソニックの自転車というと近年では電動アシスト自転車で知られるが、実はオーダーメイドでも名を馳せている。そんなパナソニックが誇る最高峰のオーダーシステム「POS」の実態を探るべく大阪・柏原市の工場へ潜入取材を敢行!! 一般の方は普段見ることができない光景に、編集部随一の自電車好きADちゃんは興味津々。その様子をお届けする。

今回ご協力いただいたのは「パナソニックサイクルテック株式会社」

創業者・松下幸之助が自転車業界に縁があることから、1951年に松下電器が輪会復帰宣言。自転車分野に参入し’52年から販売開始。2006年に現・パナソニックサイクルテック(株)に社名変更。直近19年間電動アシスト自転車シェアトップの座を守る。

POS(パナソニック・オーダー・システム)とは?

一部モデルを除き、ステム、クランク、ハンドルバーの幅など10ミリ刻みでオーダーできるのでジャストフィットの車体ができるほか、カラーもオーダー可能。人気の個人ビルダーに比べ価格も手頃で納期も約1ヶ月というのも魅力

パナソニックといえば家電メーカーという印象が強いかもしれないが、創業者・松下幸之助が丁稚を始めたのが自転車店で、最初にナショナルと名付けられた商品も自転車用ランプだったりと、自転車との関わりは非常に強い。

その関係もあり1952 年、ナショナル自転車工業(現・パナソニックサイクルテック)が創業。その後、1987年にはマスプロメーカーとして初のオーダーシステム「POSパナソニック・オーダー・システム)」を確立。現在も大阪・柏原市にある自社工場で熟練の職人によって手作業で作られている。一般用のみならず、厳しい審査がある競輪用フレーム(NJS)のほか、’90年代には欧州のプロ自転車チームにマシンを提供するなど、競技の世界でも一線で活躍する名門でもあるのだ。

マシンによるオートメーション化が進む汎用自転車の製造ラインを抜けた先にある専用のPOS工房入り口に、POSの製造過程をまとめた資料が展示されている。今回は取材ということで見学できたが、残念ながら一般見学は受け付けていない

基本的にパナソニックの自転車は大阪・柏原市にある自社工場で製造されているが、POSはオートメーション化が進む巨大製造ラインを抜けた先にある専用工房で、数人の選ばれし熟練の職人が製造から塗装までをハンドメイドで手がけている。製造から塗装まで一貫して行うことでフルオーダーでもリーズナブルな価格で、アフターケアも充実するのも魅力。

やはり日本が世界に誇るパナソニックの実力ハンパないです。

オーダーシートを元に、1本のパイプをカット、溶接して作られていく。サイズは10ミリ単位でオーダー可能。トラックレーサーのフレームで17万6000円〜、カスタムオーダーのフレームセットなら8万2500円〜と価格もお手頃
大量生産されるラインとは異なり別に専用で設けられたPOSの工房。明るく広々とした雰囲気。工房内には熟練の技を持つ30代〜60代までの専属の職人さんが数名在籍し、全ての作業を手作業で行っている
個人の人気工房はもちろん、大手メーカーでもフレームオーダーはあるが、自社で塗装まで行うのもパナソニックの大きな特徴だ。塗装も専属の職人さんが在籍し、独自の技術を用いた特殊な塗装にも対応する

歴代のパナソニック自転車も見学。

パナソニックサイクルテックの工場も併設される本社のエントランス部には、歴史を彩ってきたパナソニックの代表的な自転車も展示されている。こちらも残念ながら一般には公開されていないので、その一部をご覧にいれよう。

エレクトリックサイクル

松下幸之助の肝入りで開発され1979年発表された国産初の電動自転車。アシストではなくモーター付きの原付扱いで、ナンバーやメットが必要だったため普及には至らなかったが現在の先駆け的存在となった。

電動アシスト自転車 プロトタイプ

電動アシスト自転車も様々なデザインのモデルが開発されてきたが、こちらは充電器内蔵型のプロトタイプ。フレームに充電器を内蔵させた近未来的なデザインとポップな色使いは今見てもオシャレ。

クリックFFビームアップ

1970年代半ばのスーパーカーブームにインスパイアされ子供たちに大流行したセミドロップハンドルと装飾コテコテデコトラ風のジュニアスポーツ自転車。こちらはライトがポップアップする豪華版。

橋本聖子ソウル五輪特注車

元スピードスケート、自転車選手で現・国会議員の橋本聖子氏が、1988年に全日本選手権優勝、そしてソウルオリンピックに出場した際に使用していたフレームもパナソニック特注モデルだった。

O.ルードヴィッヒ レース車両(チーム・パナソニック/ツール・ド・フランス)

1990〜’92年にかけてオランダの「チームパナソニック」に機材を供給。’90年にはツール・ド・フランス初参戦でスプリント賞受賞、その後、日本車初となるマイヨジョーヌ(総合優勝)を獲得する快挙も。

スケボーバイクRODEO

1998年に「乗れるもんなら乗ってみろ」というキャッチコピーで登場したロデオ。その形状からも想像できるようにかなり乗りにくい自転車として一部で話題に。現在も愛好家が存在する珍車。

世界初電動伸縮ハイブリッド自転車ドラクル

自転車業界初となる電動伸縮機能およびニッケル水素電池を搭載したドラクル。ハンドルも折りたためるため、伝説のミニバイク、モトコンポのように車に搭載することもできる。今発売されたら人気出るかも?

XM-D2(e-MTB)

2019年3月に国内初のフルサスe-MTBとして発売されたXM-D2。アルミフレーム、フルサス、油圧ディスクブレーキなど最高峰のパーツを使用。最大107kmのアシスト走行可能。上りも下りもこれでOK。

※通常、一般向けの会社見学は受け付けておりません。特別な許可を頂いて撮影しています。

(出典「Lightning2022年1月号 Vol.333」)

この記事を書いた人
ADちゃん
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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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