【遊びの達人たちに学ぶギア選び④ミリタリーキャンプ】ミリタリーギアを駆使して野営を嗜む。

趣味の世界において、道具選びも楽しみのひとつ。いい道具を選べば、ますます趣味が楽しくなる。そこで、プロ級の遊びの達人たちに愛用のギアを見せてもらった。達人たちの“遊びの哲学”を学び取れ。

「ハレル」オーナー・加瀬善隆さん

中目黒にある人気ヴィンテージショップであるハレルのオーナー。大のミリタリー好きとしても有名で、そのマニアックなセレクトに定評あり。店舗には、サブカルチャー的なインポートや古着も充実している。

サバイバル気分も味わえる大自然の中でキャンプするのが流儀。

冬に岐阜県の河川敷で行った野営シーン。雪こそないが、かなり冷えていたという。オランダ軍のジャケットで、スナッグパック社が中綿を提供

人気セレクトショップのバイヤーなどを経て、中目黒にミリタリーを基軸としたヴィンテージショップ『ハレル』をオープンした加瀬さん。国を問わず、様々な年代のミリタリーウエアをファッションとして提案しており、そのセンスは業界内にもファンが多い。そんな加瀬さんが数年前からハマっているのが、ミリタリーギアを使ったキャンプだ。

ベルギー軍のパップテントを使った際の写真。軍幕の中でもっともベーシックな形。コットを入れて使ってみたが、思ったより狭かったので改良しようと思ったそう
スウェーデン軍のケトルとメスティンを使っているシーン。直火でも調理できるので重宝するとか。よく行っている中津川で野営したそう

「軍では野営することが前提なので、世界各国の軍隊にキャンプギアが存在します。アメリカとスイスでは気候や環境が異なるので、ウエア同様にキャンプツールに対する作り込みも違ってきて、追求してみるとおもしろいんです。もともとはアウトドアメーカーのテントを使って、普通のキャンプを楽しんでいたのですが、ポーランドとフランスのテントを仕入れできるタイミングがあり、それを使ってキャンプをしたら、ものすごく楽しかったんですよ」

ミリタリーキャンプに開眼した加瀬さんは、千葉にある実家の裏山にベースキャンプを作るなど、ライフスタイルの一環に。

アメリカ軍のジャングルハンモック。暑い時期には欠かせないアイテムで、蚊帳とキャノピーが付いているため、テン トの代わりに使えて便利なのだとか

「区画されたキャンプ場で、手のキャンプをすると強烈に浮くんですよ(苦笑)。だから基本的には野営。軍だと敵に見つからないように山間部でキャンプするので、そのルーツを考えるとサバイバル的な要素もある自然の中でやる方が理に適っているのだと思います。基本的にミリタリーのギアは耐久性が高く、修理がしやすいシンプルな構造。だから近年のキャンプグッズのような快適性はありません。でも自分の中でキャンプは不便を楽しむものだから、ちょうどいいんですよね。だから大勢でやるより、ソロキャンプもしくは少人数でやるシーンにしっくりと思いますよ」

ミリタリーではないが、DDハンモックスのDDタープを愛用。様々なアレンジが効くので、タープ泊愛用者の中では定番。手前のバケツは’60年代のUSアーミーもの

ミリタリーキャンプにマストな加瀬さんが選ぶ質実剛健なギア【厳選5】

1.1970〜80sスイス軍のランタン

名作ミリタリーランタンのひとつに挙げられるスイス軍のアイテム。ドイツの名門であるペトロマックスが生産しており、そのデザインはスイス軍のみであるのもポイントが高い。「なかなか市場に出てくるアイテムではないけど、人気の高いランタンです。燃料が灯油で光量がかなりあるため、汎用性が高いのも魅力です。燃料タンクも大きく、2泊3日程度なら、十分保ってくれます」

2.1973米軍のサバイバルナイフ

ケース付きのサバイバルナイフは米軍で使われていたもの。1973年製の刻印が入る。「カミラスという有名なメーカーが生産しています。キャンプでマストなアイテムです」

3.スウェーデン軍のメスティンセット

ミリタリーのメスティンでも珍しい風防付き。アルコールランプで加熱する。「風防付きなので安心して使えますよ」。

4.スイス軍のアックス

野営の時に薪を作ったり、寝床を確保する際に枝を伐採するアックスは、スイスのミリタリーもの。「木を切るだけでなく、ペグ打ちをする時にも使っているんです」

5.2000sアメリカ軍のダッフルバッグ

加瀬さんがキャンプグッツを収納するバッグとして活用している米軍の2ウェイバッグ。「背負うこともできるので、野営地まで歩く際にとても便利なんですよ」

(出典/「Ligthning2021年9月号 Vol.329」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...