1930~’50年代に実在したアメリカの壁紙メーカーを”復刻”。

ここ10 年で様々なブランドが実名復刻を果たしている。しかし壁紙に関しては初耳だ。しかもその壁紙を世界的なヴィンテージコレクターが手掛けたというから一体どんなものなのか、期待が高まる。

「リックプランニング/ゴールドゲート」代表・金丸力也さん

1969年生まれ。東京都出身。ラングラーのヴィンテージに特化したリックプランニングの代表。内装業を営むクラフトマンで、有名店舗も手掛ける。

旧きよき時代の壁紙ブランドを現代に。

サビアというメーカーの高精細スキャナーを使い、ヴィンテージの壁紙を復元している。歴史公文書や歴史的な美術品などのスキャンプロジェクトにも使われ、その性能は世界屈指だ

部屋の雰囲気は床と壁紙で決まるという定説があるほど、インテリアにおいて重要。アメリカだと内装を水性のペンキで仕上げるのが一般的だが、実は壁紙の文化もあった。そんな旧きよき時代の壁紙ブランド『ユナイテッドウォールペーパー』に目を付けたのが、ラングラーコレクターであり、内装業を本業とするゴールドゲートの金丸さんだ。

ニューメソッドペイントカンパニーという会社が、ユナイテッドウォールペーパーという壁紙ブランドを展開していた。資料がほとんどないが、1930年代からʼ50年代にかけて実働していたブランドだそう

「国の重要文化財をデジタルデータ化する際に使われている世界最高水準の超高精細なスキャナーを用いて、当時の壁紙をデータ化し、それをインクジェットプリンターで出力しています。ただリプロダクトするのではなく、ベースの壁紙に抗菌作用のある機能的なものを使ってみたり、日本の風土に合わせてカラーリングを変えたりするなど、今のテクノロジーと融合させ、アップデートしているんです。部屋の壁の一面だけを、このウォールペーパーに替えるだけで部屋の雰囲気が変わりますよ」

当時のカタログを見てみると、クローゼットの内側に木目 のウォールペーパーを張るというイラストが紹介されている。金丸さんいわく「この時代に見えないオシャレというか、日本の美的感覚にも通ずる壁紙の使い方に感銘を受けた。これは日本の住宅でも推したいです」

アメリカに実在した壁紙が最先端技術で甦った!

当時のカタログに載っている壁紙パターンの一部を紹介。アメリカの壁紙と言えば、派手なフラワーパターンのイメージが強かったが、当時の洋服のファブリックにも使われていそうな柄が多く、ヴィンテージ好きにはたまらないものばかり。パターンの一部が切れているので、その先にあったはずの柄を想像で描き、壁一面に使ってもバランスが良いように調整しているのも特徴。防火不燃認定品は1㎡で6000円~

ユナイテッドウォールペーパー以外の壁紙もラインナップしており、高精細スキャナーによって見事に再現されている。データ化する際に、色味を調整することも可能である。

これが実際にリプロダクトした一例(左)。ヴィンテージ(右)は立体感があるが、リプロダクトはあえてフラットに。実際にヴィンテージと同じくエンボス加工を施すことも可能。ダイメンスの発泡壁紙の場合は1㎡/2万円~

こちらはヴィンテージのウォールペーパーをリプロダクトした一例。その作りは、一般的な壁紙と同様なので、DIYでやってみてもおもしろいし、プロに頼むのも手である。

ヴィンテージの生地をスキャンして壁紙にしてしまおう!

入念に打ち合わせを重ねて、今回はウッドストックのフォトプリントのベルボトムからパターンを拝借。個人オーダーも受け付けており、所有するヴィンテージをスキャンして、世界にひとつだけの壁紙が作れるのだ

大事なヴィンテージクロージングや、自身で穿き込んで完璧なエイジングとなったジーンズが壁紙になる!? そんな突拍子もないプロジェクトが始まるという情報をキャッチ。百聞一見に如かずということで、実際に施工する現場に向かった。今回、オーダーしたのは名店ベルベルジンのディレクター兼ヴィンテージデニムアドバイザーとして活躍する藤原さん。新しい事務所の内装を金丸さんが手掛けており、ヴィンテージウエアをスキャンした壁紙を投入した。

1970年代にリリースされていたウッドストックプリントのベルボトム。シャツやジャケットなども販売していた。金丸さんの私物で、希少なデッドストックである
1969年に行われた伝説のフェスであるウッドストックの写真が使われている。アメリカのフラワームーブメントを象徴するアイテムとして有名。今見ても新鮮である

「まだ一部しか完成していませんが、まずは柱にヴィンテージウエアをスキャンした壁紙を貼りました。これはヴィンテージ好きにお馴染み、ウッドストックのフォトプリントパンツ。実際にデッドストックをスキャンし、壁紙として使えるようにパソコンで柄やトーンを調整し、インクジェットプリンターで出力しています」と金丸さんは教えてくれた。一方の藤原さんは、その狙いをこう語る。

「ヴィンテージデニムを使う案もありましたが、事務所に入って、もっとも目に付く場所のためインパクト重視でウッドスックのフォトプリにしました。完成形はSNSなどで紹介しますのでお楽しみに!」

この日はプリントしたばかりのウォールペーパーを貼っていく作業。このパターンは柱のみに使うそうで、インテリアのアクセントになること間違いなしだ
ただスキャンするのではなく、色味や全体のパターンのバランスも調整している。今回は、観客の顔にも細工を凝らしているそうで、よく見るとベルベルジンの藤原さんがいる

【問い合わせ】
リックプランニング
info@ric-planning.jp
http://www.ric-planning.jp

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Ligthning2021年9月号 Vol.329」)

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