今回紹介する3つのガレージのように、これほどスゴイガレージはなかなか真似できないけど、インテリアのひとつひとつは自身の部屋や家にも応用可能なものばかりだ。ここを参考にしてみよう・・・といった具合に、アイデア集として活用してみてほしい。
1.オーナーも詳細が把握できないほど集まったモーター系アンティークが埋め尽くすガレージ。|Owned by Micheal Backovich
ゴールドラッシュの時代にサンフランシスコから北へクルマで2時間ほどの場所に移り住んだ曾祖父が持っていた広大な土地を受け継いだマイケル。根っからのクルマ好きで、この広大な土地にガレージを建て、ライフワークとして旧車をレストアしながら、日々ガレージインテリアになるアンティークもコレクションしている。
若い頃から好きなモノが変わらず、アンティークショップやスワップミートなどで手に入れたインテリアは膨大。もはや詳細は自身でもわからないものあるほどだ。
メインとなるガレージは平屋で横に長い。まさにガレージのために建てられた物件。クルマ好きにとっては夢のようなスタイル。外観には横長のオールドサインをセットする。
ガレージに使っている建物は複数個存在。それぞれに雰囲気を変えてインテリアからそこに置くクルマまでコーディネイトされる。長い年月をかけてやらなければできない。こちらは郊外にあるかつてのガスステーション風の外観。
ガレージの中はというと、ネオンクロックや、モーター系、飲料系のサインプレート、それに旧車のライセンスプレートなど、コレクションが増えるにつれて、隙間が無くなっていく(笑)。どれもヴィンテージやアンティークのものだ。
かつて業務用として使われていた巨大な看板もこつこつと集めていけたのもガレージがあったから。ここはオイルやガソリンメーカーが多数。
外観もほぼほぼサインで埋め尽くされている。
敷地内にある1800年代に建てられた別の小屋の中は時代感を考えてゴールドラッシュ時代に使われていた金鉱夫たちの道具をディスプレイしている。
こちらがガレージのオーナーのマイケル。家族はゴールドラッシュ時代にカリフォルニアに移り住み、広大な土地を受け継いだという。
よく見るとガレージにはモーター系アンティーク。それ以外のエリアにはワークウエアやタバコなどの日用品のアンティークサインをチョイスしている。その棲み分けも勉強になる。
扉に掛けられたワークウエアはマイケルの曾祖父から受け継がれたリアルヴィンテージを飾る。
メインガレージの中央には’61年式シボレー・コルベットが。バンパーレスの精悍な顔だ。
無数のディアホーンで飾られた壁にも注目だ。
マイケルが自身で建てたという小屋は「カントリーストア」をテーマにインテリアをチョイス。
ガレージとはひと味違ったローカルなドライグッズストアをイメージしてインテリアもディスプレイ。もちろん使っている雑貨などはすべてアンティークというこだわりだ。
2.1950年代のガスステーションをガレージとして使う夢の空間。|Owned by Gary Coffenberry
アメリカのクルマ好きでも、クルマだけでなく、ガレージ空間にも力を入れている愛好家に聞くと、旧きよきガスステーションを自宅で再現するのが夢だと語る人は多い。その多くは自宅の庭に当時風の建物を建てたりするのが基本だが、ここに紹介するゲーリーは当時ガスステーションだった物件をそのままプライベートなガレージにしている。もちろん、中には国内外の旧車が並び、インテリアもアンティークを中心にしっかりと“旧きよき” している。
ガソリンポンプも当時をイメージしてディスプレイ。
アメリカのこぢんまりは日本人の感覚ではかなり広い(笑)。これだけクルマを置いてもまだまだスペースに余裕があるのがうらやましい!
壁にはアンティークのサインボードから道路標識などが無造作にディスプレイされる。新しいアイテムをゲットしたら少しずつ追加しているのだそう。
趣味のフィッシングに使う道具もキレイにディスプレイして、使わないときはインテリアとして機能させる。神経質な性格がここでは大事。
旧きよきガスステーションとくればアメリカ車があるかと思いきや、BMWやダットサンなど、あらゆる旧車が好きだというゲーリー。
写真の’39年式フォードがもっとも派手。ボーイズレーサーからホットロッドまで、クルマの趣味は広範囲である。
シェルの旧式ガソリンポンプを外に設置しているだけに、ガレージ内でもシェルのアンティークサインは巨大なモノをセレクトして一番目立つようにレイアウトする。コーディネイトにも抜かりがないのはベテランコレクターらしさ。長年の収集歴の賜物だ。
アンティークといっても実際に使うことで、当時のガスステーションの雰囲気そのままを演出する。ピカピカのアイテムでは逆にウソっぽい演出になってしまう。
インテリアまでこだわったガレージを持っている人は必ずと言っていいほど趣味は旧車のレストア。ゲーリーもこ
つこつと時間を見つけてはクルマをイジっている。
ガレージのパーテーションは金網を置いて圧迫感は出さない工夫。アメリカではどこでも見る金網だけど、これが逆に日本人の目から見るとカッコよく見えてしまうから困ったものである。
ここが1950年代にガスステーションだったころの写真を持っているっていうのがさすが。当時はリッチフィールド
(現在のARCOの前身)のショップだった。
ここがガスステーションになる以前は貸しガレージだったときの資料写真。写真に写るのは1920年代の消防車。こういう資料が現存しているのがおもしろい。
3.空間演出の根源はモータリゼーションへの愛。|Owned by Dave Ellis
ガレージインテリアもここまで行けば圧巻という例がデイブのガレージ。アメリカのモータリゼーションを小さな頃から敬愛していた結果がこれ。クルマに関するあらゆるアンティークを収集していたら、ミュージアムも舌を巻くほどのガレージに。実際のクルマだけでは飽き足らず、ここまで集めに集めたアイテムは、もはや本人も詳細まで憶えていない。ここまでやるかという意見はさておき、ガレージインテリアの最終形のひとつとして参考にしていただく。
室内だけでは場所が無くなって、コレクションがガレージの外壁にまで進出している。
室内には旧車のステアリングが天井からぶら下がり、ショーケースには旧いアメリカ車のミニカーをあらゆる種類でコレクト。掃除するときはどうしてるの?
愛車の1955年式ビュイック・センチュリーの派手さがわからなくなるほど、車庫内の壁も派手。一面に旧いライセンスプレートを敷き詰めている。
1950年代に一般的だったクロームレッグのダイニングテーブルやチェアを使って当時のダイナーをイメージした一角も存在する。これはマネしたい!
父親がテレビ関係の仕事をしていたため、小さな頃は子役として活躍。そのころの写真も飾る。幼少期から育ち方が違うのね。
ホットロッドマガジンやカークラフトなど、アメリカのクルマ雑誌のバックナンバーは古書店もびっくりのコレクション。旧車の資料として保管する。確かに、本棚に収納するより、このタイプのラックに収納すれば見せる収納になっていい感じ。
アメリカにかつて存在した数多くのオイル、ガソリンメーカーは気がつけば合併や統合を繰り返して減少していった。今は無きブランドの缶は希少価値も高い。
ガレージ関係のコレクション歴は50年以上という筋金入りのデイブ。意外にも最初の収集はボーイスカウトのスカーフだった。
無造作に置かれているようでしっかりと考えられたディスプレイはガレージの外でも健在。雨の少ないカリフォルニアではアンティークの劣化も遅い。
各社で特徴があったエンジンのバルブカバーもこうやって並べることで壁を彩るインテリアになることを学ぶ。中にはヘミエンジンの稀少なバルブカバーもある。
アメリカのメジャーなカー用品店であるペップボーイズ(マニー、モー、ジャックの3人)の初期看板。アメリカ以外でもコレクターが存在するアイテムである。
アンティークのガソリンポンプも多数所有。旧車のグリルなども無造作に放置してあり、広大なジャンクヤードみたい。
当時は愛車に取り付けて、所属するカークラブを表現するためのプラークも壁一面にディスプレイ。プラークもアメリカのクルマ好きには多くのコレクターが存在する文化のひとつ。カークラブが数多く存在したロサンジェルス周辺のモノがほとんどだ。
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いかがだったでしょうか。三人三様のこだわりのつまったガレージは参考にしたくなるアイデアが満載! それぞれどんな人が使っているか、というテーマがあって、それに合わせて収集されたヴィンテージやアンティークで飾られていた。そうやって、テーマを決めることで、きっとあなたもアメリカのフリーマーケットを訪れたときに、これまで以上にガラクタ……宝探しが面白く感じられることだろう。奥深きガレージ作りの参考にしてみてほしい。
(出典/「Lightning 2020年9月号 Vol.317」)
Text/S.Koike 小池彰吾 Photo/T.Tawarayama 俵山忠(Seven Bros.)
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