レザーブランドの雄「天神ワークス」発《CLAYTY(クレイティ)》と “春レザー”。

革好きならばその名を知らぬ者はいないレザーブランドの雄、天神ワークス。「レザーエイジング」というカテゴリーを世の中に認知させ、最近では、天神ワークスと全く異なる趣を持つブランド「CLAYTY(クレイティ)」を立ち上げた。

いまなお進化を遂げる天神ワークスのクリエイティブの源は、どこにあるのか。週末の夜にはBAR になるという「CLAYTY」のショップでグラスを傾けながら天神ワークス/ CLAYTYの代表である髙木さんに、お話を伺った。

天神ワークス/CLAYTY代表・髙木英登さんに訊く、“革”で表現するということ。

東京・北千住にあるCLAYTYの旗艦店。黄色で統一されたポップな空間はNYのアパートメントのような雰囲気。奥にBARカウンターが設置され、週末の夜にはBARがオープンする。対談は、落ち着いたこの雰囲気のCLAYTYのBARで、酒を飲みながら行われた。天神ワークス代表・髙木さんの興味深い革の話に、本誌モヒカン小川の酒もすすむ。CLAYTYを仕切る鬼木さんは、バーテンダーとしても大活躍!

モヒカン小川(以下モヒ) 今日の対談はお酒を飲みながらなので、飲み過ぎないよう注意します(笑)。

髙木英登さん(以下髙木) 普段、小川さんと北千住で飲んでる時みたいな感じで話をすればいいんですよね?

モヒ いやいや、今日はもうちょっとマジメな話をお願いします(笑)。あらためて、CLAYTY立ち上げ、そしてショップオープンおめでとうございます。バーがあると聞いて、最初はびっくりしたんですが、何の違和感もないですね、最高です。

髙木 ありがとうございます。ショップの雰囲気や在り方も含めて、天神ワークスとCLAYTYは、はっきり分けたかったんです。

モヒ CLAYTYがBARなら、天神ワークスのショップはファクトリーも併設しているので、どちらかというと「手打ちそばの店」みたいな感じですよね(笑)。

髙木 そうなんです(笑)。非常感覚的な表現なんですが、そもそも僕の中で、天神ワークス=クラフトワーク、CLAYTY=アートワークという住み分けがあるんです。アメリカンヘリテージの世界を、職人の手仕事で忠実に再現する天神ワークスと、僕のフィルターを通してみた世界を、革を使って自由に表現するCLAYTY。おのずと、ショップの在り方も変わってきます。小川さんが、天神ワークスの店を「手打ちそばの店」と感じたのは、まさにその通りなんです。お客様の目の前に、その商品を作っているファクトリーがあり、そのモノ作りの熱量みたいなものも含めて、アイテムの凄みを感じてもらえればいいなと思っています。

それに対してCLAYTYでは、あらゆる考えやカルチャーを持った人たちが、CLAYTYを媒介にしてここに集い、ボーダーレスに交錯し、共鳴し合う場になればいいなと思い、このショップを作りました。

モヒ そもそも「CLAYTY」というブランド名には、髙木さんのどのような想いが込められているんでしょう?

髙木 CLAYTYの“CLAY”は、感性・天性という意味で、“TY”はスラングで「サンキュー=感謝」という意味を持っています。もっと自分の感性を信じ、感覚的に物事の本質を掴み取りたい、そんな想いを込めました。

モヒ CLAYって、クレイアニメのあの “クレイ”ですか?

しなやかで軽い0.7㎜のベジタブルタンニン鞣しのキップレザーを使った人気のレザーコーチジャケット“デュシャン” 18万1500円(カラー別途)。CLAYTYのアイテムは、すべて現代アートのアーティストの名前が冠されている。ちなみにデュシャンは、コンセプトアートの先駆者、 マルセル・デュシャンから取った

髙木 そうです。もともとCLAYとは粘土のことです。粘土って、どんなカタチにもなりますよね?自由に、何物にも縛られず、どんなものにもカタチを変えることのできる柔軟性、それこそが、僕の思うCLAYTYの在り方であり、基本コンセプトなんです。

革という素材に長年向き合ってきて、もう一度その可能性を見つめ直すというか、新しいベクトルで捉えてみたくなったんですよ。天神ワークスで大切にしているのは、「モノに対する素材感」です。アメリカンヘリテージをベースに、着込んだ先にあるエイジングを念頭に入れ、重厚感のある肉厚なステアハイドを使って作っていくわけですが、お客さんには、その素材感やエイジングを堪能してもらいたい。

CLAYTYは、その対極に位置します。天神が「伝統・重厚感」とするなら、CLAYTYは「自由・軽快さ」ですかね。柔軟で軽いキップレザーを使って、革とまったく関係のないモチーフでどんどん遊ぶ。モチーフがヘリテージかどうか、ということに縛られることはありません。CLAYTYでは、「カッコいい」「軽い」「合わせやすい」といった、ファッション的な“ファーストインパクト”を大切にしています。そうしてお客さんが手に取り、着込むうちに、素材の素晴らしさに気付いてもらえればなと。なので、天神とCLAYTYでは、素材である革に対するアプローチの順序が、まったく違うんですよ。

1940年代のスポーツジャケットをモチーフとした天神ワークスのJW03 (20万3500円)。こちらも上のデュシャン同様、キップレザーを採用しているが、厚みを1.2㎜ほどにし、素材感をより意識した作りとなって いる。ブランド哲学の違いが、こうしたところにも現れている

モヒ 同様に革という素材を使っていても、2つのブランドには大きな違いがあるんですね。確か髙木さんは、美大出身で、絵を描かれていたんですよね? そういったことも、何かモノ作りに影響しているんでしょうか?

髙木 それはあると思いますね。そもそも天神ワークスが目指す「レザーエイジング」とは、革というキャンバスに、オーナーが自分の生き様や歴史を描いていく、壮大なアート活動だと思っています。

CLAYTYは、現代アート、絵画で言えば抽象絵画に近いかもしれません。ちょっと絵画の話をすると、抽象画はセザンヌから始まりました。19世紀にチューブ入りの絵の具が開発され、自由に外に持っていくことが出来るようになったんです。「絵は室内で描くもの」という枠が取り払われ、自由を手に入れたと同時に、それまでの伝統を破壊し、新たな作風が誕生します。それが“印象派”です。それまでの伝統をぶち壊して、新たな世界を構築する点は、CLAYTYもそれに倣いたいと思っています。「え? なにそれ?」と驚きをもって言われること、それこそがCLAYTYにとって最高の誉め言葉なんです。

モヒ なるほど。絵画の話も興味深いですね〜。河岸を変えて、詳しく聞かせてください! 腹も減ってきましたし。

髙木 いいですね〜、では大国ホルモンに行きましょうか!

天神ワークス& CLAYTYの“春レザー”解禁!

天神ワークスとCLAYTY。インタビューで語られた、異なるベクトルを持つこの2つのブランドには、この季節に使いたいレザーアイテムが目白押し。そこでここでは、ウエアから革小物まで、おすすめの“春レザー”を紹介する。並べてみると、天神ワークスとCLAYTY のテイストの違いも見えてくる。

【CLAYTY】POLLOCK(ポロック)

‘70s〜’90sにあった数々のドリズラーライプのジャケットから着想を得て、0.7㎜に漉いた渋鞣しのキップレザーで仕上げたポロック。オリジナル同様、裾はゴム入りの仕様でフィット感を高めている。ポロックとは、“アクションペインティング” で有名なジャクソン・ポロックから拝借。17万5000円(カラー別途)

【CLAYTY】BASQUIAT(バスキア)

ブルックリン生まれの画家、ジャン=ミッシェル・バスキアの名を冠したフーデッドパーカ。1.1㎜厚のキップレザーを採用し、ライニングにはシンサレートを内蔵し防寒性も高い。1960年代のディテールを盛り込み、ストリートスタイルにマッチしたデザインが魅力。20万3500円(カラー別途)

【天神ワークス】TOTE BAG TT02(トートバッグTT02)

サイドにポケットが付き、使い勝手のいいレザートートバッグ。ボディにはソフトな国産地生、底面にはヘビータンニングレザーを使用した。女性にもおすすめ。7万5900円(カラー別途)

【天神ワークス】SHOULDER POUCH SP02(ショルダーポーチSP02)

A4サイズがすっぽり収まる便利なショルダーポーチ。フロントデザインが’40年代のワークウエアのディテールを彷彿させる。柔らかい国産地生の革を使用。7万5900円(カラー別途)

【天神ワークス】NAPRON BAG NB01(ナプロンバッグNB01)

エプロン型の有機的なラインが美しいレザーバッグ。3種類ものレザーを組み合わせた凝った仕様が魅力だ。ポケットも多く、収納力も抜群だ。6万4900円(カラー別途)

【CLAYTY】ROTHKO(ロスコ)

しなやかな0.7㎜厚のキップレザーだからこそ実現した巾着型バッグは、男女を問わず使えるデザイン性の高さも魅力。アメリカンミリタリーのバッグから着想を得た。ブラック・タン・ブラウンの3色展開。3万5750円

【天神ワークス】C’MAN WORKER BOOTS(シーマンワーカーブーツ)

アメリカのワーカーたちに愛されてきたクラシカルな装いのワークブーツ。シャープで美しいフォルムで、スタイルを選ばない汎用性を兼ね備える。価格未定

【天神ワークス】C’MAN ENGINEER BOOTS(シーマンエンジニアブーツ)

オリジナルラストを使用して製作し、スチールトゥ無しのクラシカルなフォルムを持つ。オリジナルの真鍮バックルで、レザーと共にエイジングを楽しめる。価格未定

【天神ワークス】C’MAN SHOES(シーマンシューズ)

堅牢でベーシックなオックスフォードをイメージした意欲作。日本人の足型に合わせた美しいナローラインのオリジナルラストを採用した。2㎜厚のヘビータンニングレザーで、履き込むほどに風合いが増す。7万4800円(カラー別途)

【天神ワークス】LEATHER BELT(左)BE303 /(右)BE302(レザーベルト)

レザーベルトも天神ワークスの人気アイテム。ともに5㎜の極厚レザーにブラス製バックルを装着し存在感も抜群。(左)BE303(右)BE302ともに1万8700円(カラー別途)

【天神ワークス】CRAFTSMAN VEST CV02(クラフトマンベストCV02)

日本有数のタンナー、栃木レザーで鞣したヌメ革を採用したクラシカルなデザインのベスト。着込むほどに、写真のような美しいエイジングを見せる。11万2200円(カラー別途)

【天神ワークス】(上) LW06 LONG WALLET(下) LW08 ROUND ZIP WALLET(ロングウォレット/ラウンドジップウォレット)

レザージャケットと並び、天神ワークスを代表するアイテムがウォレット。栃木レザーの最高級の革を使い、卓越した職人技が丁寧に仕上げた逸品。(上)LW06/4万4000円、(下)LW08/5万1700円(カラー別途)

【天神ワークス】LW09 DOUBLE SNAP LONG WALLET(ダブルスナップロングウォレット)

天神ワークスオリジナル真鍮製ホックを採用したダブルスタップタイプのウォレットで、上が4年使い込んだ状態。使うことが楽しくなるエイジングを見せる。4万7300円(カラー別途)

【問い合わせ】
天神ワークス
TEL03-3870-8658
http://www.tenjinworks.com

CLAYTY 
TEL03-6806-1175

【おまけ】撮影のオフショットを公開!


対談の様子を少しだけ紹介! 革ジャン愛の深い二人の会話、生配信とか今後あるかも?!

(出典/「Lightning 2020年5月号 Vol.313」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
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