時代を超えて受け継がれるアロハシャツブランド「ケオニ・オブ・ハワイ」って?

「サンサーフ」が手掛けるハワイアンシャツ(アロハシャツ)の「ケオニ・オブ・ハワイ」の魅力はそのアーティスティックなパターン。この「ケオニ・オブ・ハワイ」誕生の裏には、ひとりのテキスタイルデザイナーの存在があった。

ハワイの服飾史にその名を轟かせたテキスタイルデザイナー“ケオニ”。

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ヴィンテージのアロハシャツの名作として名高いゴーギャン・ウッドカット。フランスのポスト印象派の画家、ポール・ゴーギャンの作品をコラージュした独創的なテキスタイルを使ったこのシャツは、ヴィンテージファン垂涎のモデルとして世界に知られている。

その生みの親がハワイの服飾史に名を遺す伝説的なテキスタイルデザイナー、ジョン・“ケオニ”・メイグスである。ジョン・“ケオニ”・メイグスは、20世紀半ばのアロハシャツ最盛期に活躍したデザイナーだ。

洗練された彼のデザインは当時から現代まで高い評価を得ており、ハワイのスーベニアとして生まれたアロハシャツがアートとして評価されるきっかけを作った。

上写真のアロハシャツは、ジョン・メイグスが1940~’50年代に描いた、当時は製品化されなかった未発表作品のデザイン画をもとに、「サンサーフ」の技術で具現化した「ケオニ・オブ・ハワイ」の貴重な初期作だ。

右端と右から4番目のシャツが、ゴーギャンの版画をメイグスがコラージュして生み出した傑作「ゴーギャン・ウッドカット」である。

アロハシャツがハワイと日本の架け橋になった。

このように、1996年、「サンサーフ」を手掛ける東洋エンタープライズの小林社長は、ヴィンテージを収集するなかでメイグスが存命していることを知り、すぐに現地を訪問。彼の手元に保管されていた1940年代に描いたという未発表作品を、「ケオニ・オブ・ハワイ」の名のもとにアロハシャツとして製品化したのである。

これをきっかけに、メイグス自身もアロハシャツのデザインを再開。ケオニ・オブ・ハワイというブランドの成長を支えてきた。

その後、高齢なメイグスの体調を考慮し、「ハワイ文化の象徴であるアロハシャツをハワイと日本の架け橋に」という彼の想いは国内外のアーティスト達に引き継がれ、2001年以降は単なるコラボではないアーティストの「作品」として「ケオニ・オブ・ハワイ」は作られ続けてきた。その、作品たちを見ていこう。

国内外のアーティスト達に引き継がれた「ケオニ・オブ・ハワイ」。

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2002 John Severson “CLOUD BREAK”
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2004 永井博 “BEACH 3:PM”
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2005 Terry Johnson “BAD-N-NICE BEACH DELUXE”
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2005 三代目 彫よし “春一番”
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2006 湯村タラ “TARA GIRLS”
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2007 山口マサル “空想アロハサーカス団”
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2015 小島功 “河童っぱ”
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2015 柳原良平 “ハワイへ行こう!”

そして、今年(2018年)は女優としても活躍するアーティスト蜷川みほさんと、国内外のグラフィックデザインを手がけるDORA ISHIKAWAさんの2名のアーティストにその想いが新たに受け継がれ、新たな作品もリリースされている。

時代を超えて受け継がれているブランド「ケオニ・オブ・ハワイ」のアロハシャツは今年も見逃せない。

【DATA】
サンサーフ(東洋エンタープライズ)
TEL03-3632-2321
http://www.sunsurf.jp/

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(出典/「Lightning2018年7月Vol.291」)

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ADちゃん

ストリート&ミリタリー系編集者

Lightning本誌ではミリタリー担当として活動中。米空軍のフライトジャケットも大好きだけど、どちらかといえば土臭い米陸軍モノが大好物。そして得意とするミリタリージャンルは、第二次世界大戦から特殊部隊などの現代戦まで幅広く網羅。その流れからミリタリー系のバックパックも好き。まぁとにかく質実剛健なプロダクツが好きな男。【得意分野】ヴィンテージ古着、スケートボード、ミリタリーファッション、サバイバルゲーム
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