【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【前編】

250㏄からリッタークラスまで、幅広いラインナップを擁するスズキのアドベンチャーツアラー・Vストロームシリーズに776㏄エンジンを搭載した新型が登場する。イタリア・サルディーニャ島で行なわれた海外試乗会でいち早く乗ってきたぞ!

▼【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【後編】はコチラ

【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【後編】

【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【後編】

2023年08月30日

Vストロームとしてロード性能に抜かりなし! フロント21インチの新規軸デュアルエクスプローラー

現在、アドベンチャーツアラーというバイクの種類が世界的に空前のブームを迎えている。アドベンチャーツアラーとは、世界一周のような壮大な旅を行なうためのバイクで、その性能は“世界中のあらゆる道を走ることができる”ということに尽きる。世界のあらゆる道とは高速道路であり、一般道であり、未開の地には未舗装路もある。場所によっては何百㎞もガソリンスタンドがないような場所を走ることも。また旅が壮大であれば旅の荷物も多い…。そのため、旅に求められる要素を全部載せしたバイクになっている。

2023年現在、アドベンチャーツアラーのブームは成熟期にさしかかっており“世界一周を標榜する”という王道路線はもちろんだが、ロードスポーツ性能重視、オフロード性能重視といった、一つの長所を際立たせるアドベンチャーツアラーが増えてきた。それらのキャラクターは、フロントタイヤのサイズを見れば一目瞭然。王道路線が、どんな道でもある程度走りやすい19インチのフロントホイールを採用するのに対し、ロードスポーツ性能重視ならフロント17インチ、オフロード性能重視ならフロント21インチという具合になっている。

さて今回紹介する、Vストローム800DEを見てみよう。フロントタイヤのホイールサイズは21インチ。つまりオフロード性能重視型である。…のだが、スズキのVストロームシリーズとしてはかなり特殊。そもそもVストロームシリーズにはロードスポーツ性能重視タイプが多く、長兄のVストローム1000(現在の1050)が登場したときには“ステルビオ峠最速を目指しました!”なんて公言していたくらい。ちなみにステルビオ峠とはアルプス越えの九十九折の舗装路だ。

Vストローム800DEの“DE”とはデュアル・エクスプローラーの略で、その意味は“オンロードもダートロードも両方(デュアル)探索できる冒険者(エクスプローラー)”だ。Vストロームの中でもオフロード要素を強めたシリーズが“DE”ということである。Vストローム800DEで走り出してみる。一つ断っておきたいのは今回の試乗はイタリアで行なわれた海外試乗会であること。試乗したモデルは海外仕様で、いずれ国内に導入されるモデルとは、反射板の有無などわずかだが仕様が異なっている。

Vストロームファミリーである以上、まず気になるのはオンロード性能だ。かなりハイペースで海沿いのワインディングを走ったのだが、これがものすごく具合がいい。通常、アドベンチャーバイクのキャラクターをオフロード性能方向にふると、ロードスポーツ性能がスポイルされる。大きなタイヤサイズや柔らかめのサスペンションセッティングからくる不安定感もあるが、一番はフレームの横方向の剛性面。滑りやすいダート路面の上でしっかり路面をつかむにはそれだけしなやかな車体が必要だからだ。

一方、グリップのいい舗装路でスポーティなコーナリングをしようとすると、ダート路面とは比べものにならない大きな応力がかかる。そのためオフロードでの走りやすさを重視すると、オンロードでは限界が低く、ちょっと攻めようとすると心許なく感じてスロットルを開けられなくなるのだ。そこへいくとこのVストローム800DEは、ものすごく峠を攻めやすいのだ。もちろん純然たるロードバイクほどではないが、旅先で気持ちよさそうなワインディングに出会ったら、しっかりとスロットルを開けて駆け抜けられる。

開発者によればこのあたりのロードスポーツ性能は、リヤホイールに17インチサイズをチョイスしたり、溝のパターンを専用に設計したタイヤにあるという。フロント21インチのオフロード重視の“DE”であっても、Vストロームシリーズとしてのオンロード性能に抜かりはないというわけである。

“DEˮのオフロード性能はVスロトームシリーズ最強

となると今度はオフロード性能が気になる。これだけワインディングの走りがいいと“ダート路面での走りはどうなのよ?”と思ってしまうのだが、これも結果からいうとかなり楽しめた。確かに車体そのものは、オフロード性能重視したモデルに比べるとちょっと剛性が高めな印象。ぶっちゃけアプリリア・トゥアレグ660や、ヤマハ・テネレ700よりも剛性が高い。だが、前後にコンパクトなパラレルツインエンジンを採用したおかげで、車体の荷重バランスがよく、フロントタイヤがしっかり路面をとらえてくれる。おかげでダート路面が怖くないのだ。

しかも、それに加えてトラクションコントロールのデキが秀逸。Vストローム800DEには、1~3レベルで介入するトラクションコントロールに加え、未舗装路(グラベル)専用の“Gモード”を装備している。砂利道が不安ならトラコンを“3”もしくは“2”で走れば、ほぼリヤホイールが空転することがなくなり“1”にすると後輪がズザッとほんの一瞬流れるようになる。オフロード走行が得意な人なら、トラクションコントロールをオフにすることもできるが、おもしろいのは新採用のGモードだった。

このGモードでは、トラクションコントロールが介入しながらも、ある程度の空転を許容するような制御を行なうようになっている。なぜそんな中途半端な制御を行なうのか? この手のアドベンチャーバイクに乗り慣れてくると、パワースライドと呼ばれる、あえてリヤタイヤを空転させて走るコーナリングがしたくなるもの。このパワースライドでは、スロットルをワイドオープンして、リヤタイヤを空転させるわけだが、ハイパワーなバイクではこの空転具合の制御がとても難しい。

ところがこのVストローム800DEに搭載されたGモードなら、ある程度の空転は発生するものの、制御されて扱いやすくなっているためライダーはものすごく安心してスロットルを開け続けられる。あこがれのパワースライドを気軽に楽しめるのが、Gモードというわけである。成熟期を迎えたアドベンチャーツアラーだが、電子制御技術の劇的進化と相まって、なんだかすごいギミックが登場した。

気になるV-STROM800DEのディテールは後編で!

▼【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【後編】はコチラ

【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【後編】

【海外試乗会体験記】イタリア・サルディーニャ島でSUZUKI V-STROM800DEの驚くべき性能を知る【後編】

2023年08月30日

SUZUKI V-STROM800DEのスペック

全長×全幅×全高
2,345×975×1,310(㎜)
軸間距離
1,570㎜
シート高
855㎜
車両重量
230㎏
エンジン・排気量
水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・776㎤
燃料タンク容量
20ℓ
燃費(WMTC)
22.7㎞/ℓ
タイヤサイズ
F=90/90-21・R=150/70-17
価格
132万円(税込)

SUZUKI V-STROM800DE 製品ページ

【DATA】
スズキお客様相談室
0120-402-253
https://www1.suzuki.co.jp/motor/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「タンデムスタイルNo.252」)

この記事を書いた人
タンデムスタイル編集部
この記事を書いた人

タンデムスタイル編集部

初心者にも優しいバイクの指南書

バイクビギナーがもっとも知りたい、ハウツーや楽しいバイクライフの提案がつまったバイク雑誌。タイトルの"タンデム"は本来"2人乗り"の意味だが、"読者と編集部をつなぐ"、"読者同士の輪が広がる"といった意味が込められているぞ。バイク選び、ライディングギア選び、ツーリング、メンテナンス情報のほか、チャレンジ企画も大好評!
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

Pick Up おすすめ記事

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

時とエイジングを刻む。VAGUE WATCH&Co. × CONSIGLIERE THE 1ST SPECIAL WATCH

  • 2026.07.02

時計は時間を刻むもの。本来の目的はそれで十分だが、「エイジングするものに囲まれて暮らしたい」という自称革ジャンの伝道師・モヒカン小川はベルトにもこだわる。そんな彼が愛用するヴァーグウォッチとシルバージュエリーブランド「コンシリエーレ」のコラボウォッチには毎日身につけた分のエイジングが刻まれている。 ...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...