01…Brooks Brothers / BD SHIRT|ベーシックだからこそ色褪せないアメトラ好きの必需品。
当時から、インポート品や古着に傾倒していたという島倉さん。古書店で買った1970年代の雑誌を読み〈ブルックス ブラザーズ〉に惹かれて青山へ訪れたという。「18才の頃『ブルックス ブラザーズ』青山店で初めて購入したBDシャツは個人的な思い入れも含めて、僕にとって1番の名品ですね。
やはり襟のロール具合や作りの良さはもちろんですが、地厚のオックスフォードやブロードなど生地によっての細やかな作り分けが名品たる所以だなと感じます。前職ではシャツを作っていたこともあってかなり研究したんです。どこまで計算されているのか分かりませんが生地によってボタンの位置が数ミリ移動していたり、襟芯の有無などの細やかな作り分けが本当に見事なんですよ。
そういった細部へのこだわりがこんなに長く愛される理由だと思いますね」
Recommender:チルローブ/島倉弘光さん|神保町の名店「メイン」を営む「カントリー貿易」を30年勤めた後に独立。現在は古着のECサイト「チルローブ」を運営している。
02…Alden / PENNY LOAFER|Tシャツと短パンに合わせても「大人」として成立させる道具。
『オールデン』というブランドのカリスマ性や、チノだろうとデニムだろうとどんなパンツに合わせてもいい塩梅になるその絶妙なバランス感から、「アメトラの雄」と呼ばれて久しい名作、ペニーローファー。ネイビーブレザーやチノパンツに合わせれば、アメトラスタイルの模範解答の出来上がりだ。しかし、鈴木さん曰く、このローファーの魅力はそこではないという。
「15年ほど前、崩して履くことに憧れて購入したので、正統に合わせることはほとんどしてきませんでした。極端に言えば、Tシャツとショーツにオールデン。ここでスニーカーを履くと子供っぽいし、英国の老舗革靴ブランドだと、逆にカッチリしすぎるんですよね。
ドレス靴なんだけど、ほどよくアメリカ的なラフさがある。その振り幅の広さが、名品と呼ばれる所以だと思っています」
Recommender:エクスプローラー/鈴木誠治さん|アメリカものを幅広く網羅する名古屋の名店「エクスプローラー」。鈴木誠治さんは、バイイングから別注商品の企画も行っている。
03…POLO RALPH LAUREN / 2B BLAZER|イタリアの艶っぽさとは異なるアメリカ特有の色気。
「2つボタンでグッと開いたVゾーン、シェイプしたウエストや肩パッドが入ったショルダーなど、それまでのアイビー的なブレザーに比べ現代的で格好よく見えたんですよね」。部活で支給されたジャケットがどうしても気に入らず、その代わりに購入したという人生初のテーラードジャケットがこの「ポロ ラルフローレン」のブレザー。
時間が経つほどに、そのよさを実感していくことになる。「仕事柄、様々なジャケットに袖を通してきましたが、見れば見るほど〈ポロ ラルフローレン〉のブレザーはいいですよね。イタリアものにはない、アメリカにしか出せない艶っぽさ、色気が「ポロ ラルフローレン」のアイテムにはあると思うんです。
それは自分の製作活動でも大きな影響を受けていて、僕の根幹にある“格好いい”という感覚はラルフローレンから学びましたね」
Recommender:DCホワイト/石原協さん|2016年にスタートした日本のトラッドブランド「DCホワイト」ディレクター。大学までラグビーに打ち込んだ生粋のラガーマン。
04…U.S. Army / 43 KHAKI|現代のモノ作りに影響を与えるチノパンのスタンダード。
アメトラに欠かせないパンツと言えばチノパンを思い浮かべるが、その発祥がミリタリーなのは周知の事実。国の数だけ存在するようなベーシックなアイテムだが、その中でもUSアーミーの[43 カーキ]は特別。「この時代ならではのトロッとした滑らかな生地感、ズドンと太いストレートシルエットが気に入って購入したんです。
[43 カーキ]の両玉縁バックポケットは、現代ではスラックスなどのドレスパンツに見られるディテール。[45 カーキ]と呼ばれる後継では片玉縁になってしまうので、軍パンらしからぬ丁寧な作りもトラッド的だと思うんです。サイドは巻き縫いになっていて、穿き込むことで浮き出てくるパッカリングなどは、いまのチノパンのベーシックとなっていると思います。
そのあたりも含めて、チノパンの手本と呼ぶにふさわしいと感じますね」
Recommender:グリニッジ/瀬戸章汰さん|英国ブランドを主に取り扱う「グリニッジ」のプレスだが、アメリカ古着が大好物。休日は、お目当てを探して古着店を巡回している。
(出典/「2nd 2024年11月号 Vol.208」)
Photo/Norihito Suzuki
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