服に使われる主な化学繊維
合成繊維
ポリエステル|世界で最も多く作られている合成繊維
扱いやすさや、その便利さから世界で最も生産されている合成繊維「ポリエステル」。フィラメントをそのまま生地にすることも可能。ステープルは天然繊維など他の繊維とも良く馴染むので、さまざまな混紡生地に使用される。
[ 特徴 ]
1.濡れても繊維の強さは一定。摩擦に対しても強い。合成繊維の中では比較的熱に強い
2.型くずれに強い
3.長時間日光にさらしても強さはほとんど変わらない
4.吸湿性が少ないので洗濯しても伸び縮みせず、速乾性有り。シワもつきづらいので、アイロンかけはほとんど必要なし
5.熱可塑性がありプリーツや折り目は洗濯しても取れづらい
6.薬品に強く、虫、かびの害を受けない
アクリル|柔らかな触り心地はまるでウール
柔らかく、温かな触り心地を保つ、合成繊維の中でも1番羊毛に似た性質を持った繊維のため、ニットなどウールの代わりとして使われることが多い。綿やウールなどと混ぜ、お互いの長所を生かした生地も多く作られている。
[ 特徴 ]
1.ウールよりも軽くて、毛の嵩が高くウールに似た風合いを持つ
2.保温性が高く、暖かい
3.ウールと同様に弾性回復率(伸ばした後にどれだけ元に戻るか)が高く、シワになりにくい
4.発色性が高く、染めやすい
5.太陽光線に当っても、ほとんど影響を受けない
6.薬品に強く、かびや虫害を受けない
ナイロン|世界で初めて作られた合成繊維
アメリカのデュポン社が開発した世界初の合成繊維「ナイロン」。当時の「石炭と水から作られた、鋼鉄よりも強く、蜘蛛の糸より細い」といったキャッチフレーズの通り、他の合成繊維と比べ摩耗や折り曲げに強く、しなやかさを持つ。
[ 特徴 ]
1.繊維自体も丈夫で、摩擦や折り曲げなどに特に強い
2.質量が絹の約80%、綿の約70%と軽い
3.ほとんど水を吸わないので速乾性がある
4.弾力性が高く、しわになりにくい
5.薬品、油に強く、海水にも強い
6.カビ、虫の害を受けない
再生繊維
レーヨン|絹のような光沢を持つ、世界初の化学繊維
木材パルプを原料としており、綿や麻と同じセルロース。吸湿、吸水性に優れているため染料の染まりもよく、ドレープ感がある柔らかな質感はシャツの素材としても人気。レーヨンは光の意味の「Ray」と木綿の「Cotton」の造語。
[ 特徴 ]
1.吸湿・吸水性があるので染まりやすく、色柄ものに向いている
2.他の繊維と馴染むので混紡、交織によく用いられる
3.サラッとした肌ざわりは下着、裏地や夏の服との相性が良い
キュプラ|シルクに似て、繊細な糸は極上の肌触り
レーヨンとの違いは、素材が木材パルプではなく、コットンリンターを使っている点。光沢があり、非常に細い糸で肌触りが良いため、トリコットや薄地の生地によく使われる。摩擦に弱いため、ゴシゴシ擦ったり、固く絞るのは禁止。
[ 特徴 ]
1.非常に細い糸を作ることができる
2.柔らかな触り心地と絹のような風合がある
3.染色性がよく、洗濯や日光で変色しにくい
半合成繊維
アセテート・トリアセテート|天然繊維と化学繊維のいいとこ取り
素材はレーヨンと同じく、木材パルプを使用しているが、薬品と合わせ化学反応により繊維とするため、植物性繊維と合成繊維の性質を併せ持つ。アセテートよりも、トリアセテートの方が湿潤時の形態安定製や耐熱性に優れ、安定性が高い。
[ 特徴 ]
1.比重は綿、レーヨン、キュプラなどよりも軽く、ウールに似た風合いを持つ
2.絹のような光沢と感触を持ち、また発色性に優れる
3.適度な吸湿性、保温性、弾力性がある
4.熱可塑性がありプリーツや折り目は洗濯しても取れづらい
※情報は取材当時のものです。
(出典/「2nd 2024年5月号 Vol.204」)
Photo/Aflo Text/Yu Namatame Special Thanks/Japan Chemical Fibers Association
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