いつから「レギュラー古着」と呼ばれるようになったのか?
中目黒にある古着店「マンチーズ」オーナーの酒井賢一さんによれば「レギュラー古着」という言葉が使われはじめたのは、90年代から2000年代初頭ごろのこと。もちろん当時から30年弱が経った今では、そのワードに含まれる範囲やアイテムは大きく変化していて、当時はレギュラー古着にすら属さなかったものが、「レギュラー」と呼ばれるようになっていたり、はたまた「ヴィンテージ」にまで登り詰めていたりするケースもある。冒頭で述べたように、かつての最後期アメリカ製リーバイスのデニムやチャンピオンのリバースウィーブも、約30年が経った今「レギュラー」から「ヴィンテージ」となった。
どうして「レギュラー古着」と呼ばれるようになったのか?
これは編集部調べ(というよりも風の噂)なのだが、かつて海外から送られてきたベールに、“Regular”と書いてあったことを受けて、古着店のバイヤーたちがなんとなくそう呼び始めたことがきっかけらしい。
※ベールとは圧縮された大量の古着が入った梱包のことで、海外から送られてきていた。古着の買い付けにおいては、一着一着バラ売りというよりも、ベールでまとめてバイイングすることのほうが一般的。
つまり、「デニム」などでまとめられた人気のベールと区別すべく、特別な付加価値もなにもない「いつもの(=Regular)ベールだよ」とバイヤーたちに知らせるための言葉だったかもしれないということだ。
どこからどこまでが「レギュラー古着」なのか?
市場にめったに出回らないレアなアイテムこそが、金銭的価値もその希少性に比例して高まり、「ヴィンテージ」と呼ばれると思われがちだが、スタイリストのシュンサクさんは、「希少性と金銭的価値は実はあまり関係ないのでは」と推測する。どれだけ市場に出回っているかよりも、「金銭的・市場的価値に優れたもの=ヴィンテージ」であり、逆に言えば、「金銭的・市場価値がまだ明確ではないもの=レギュラー」だと言う。さらに「現状では市場価値がまだ明確になっていないから比較的安価で手に入れられるけれど、ものとしての完成度というか納得感みたいなものがしっかりあるものをレギュラー古着と呼ぶ印象です」と続ける。例としてギャップやジェイクルーなどが典型的なレギュラー古着だ。
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服を選ぶ理由が「高いから」、「旧いから」、「レアだから」というのがヴィンテージの大きな楽しみ方であり、それも古着の一側面であることには間違いない。しかし、古着本来の魅力は何の「しるし」もないアノニマスなものにこそ詰まっていると思う。いまでは多くの古着に「しるし」がついてしまったが、もっと我々は純粋に古着を楽しみたいと願っている。
2月16日発売の『2nd 4月号』では、そんな「しるし」のない古着がテーマだ。本記事にも登場した「マンチーズ」酒井さんとスタイリスト・シュンサクさんらの対談記事では、よりレギュラー古着への理解を深めることができるし、レギュラー古着のカタログだってボリューム満点だ。原点回帰的な古着の面白さが詰まった最新号、ぜひご一読いただきたい。
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