メガネの歴史に名を残すこの復活劇を見逃すな。
1921年、櫛の産地としても有名な町、フランス・オヨナで生まれたマックスピティオン。例に漏れず当初はセルロイドなどを使った女性用の櫛を製造するところからスタートしたこのブランドも、1940年代にはその技術と素材を転用して、メガネの製造を始める。独特な極太フレームでミステリアスな魅力を放っていた同ブランドの名は瞬く間に国境を越え、世界へと知れ渡っていくことに。
しかし、創業者であったマックス・ピティオン氏が1981年に業界を引退。ブランドはその歩みを止めたかのように思われたが、ヴィンテージ好きから根強い人気を獲得していたこともあり2013年に一度待望の復活を果たす。だがこれも5年ほど継続したのちに生産を終了。
多くのファンが肩を落としていた矢先、再復活のアナウンスが突如轟いたのである。発起人は、ジュリアスの名を冠してタートオプティカルを復活させたことでも知られるタミー・オガラ氏。ヒストリーからアーカイブまで、すべての版権を創業者の息子であるバーナード氏から譲り受け、満を持しての再出発。
鯖江産のメガネとしてアップデートを遂げつつも、オリジナルを忠実に再現したそのクオリティの高さに、先に行われた展示会でメガネ業界に衝撃を与えた最注目ブランドだ。2月11日より一部セレクトショップで販売をスタートする。
「マックスピティオン」とは? 簡単に解説!
櫛の生産で有名な「オヨナ」で誕生。
Oyonnaxと書いて、和文では「オヨナ」と呼ぶ、フレンチアルプス付近の自然豊かな小さな町。ここでマックスピティオンは誕生した。樹脂産業が盛んなオヨナは、櫛の名産地とされており、メガネづくりの聖地・ジュラ地方からもほど近い。
創業者、マックス・ピティオン。
1921年、仏・ジュラ地方にあるオヨナで生まれたマックス・ピティオン。父であるエミールは1920年代に櫛の生産を、1940年代にセルロイドメガネの製造をはじめる。マックスは1945年から工場で働きはじめ、ビジネスを拡大していった。
シルモの創設メンバーに。
1967年にオヨナ地方ではじまり、現在に至るまでパリで毎年秋に開催されてい るメガネの国際見本市「シルモ」。世界最大級の規模を誇るこのイベントの、なにをかくそう創設メンバーのひとりが、マックス・ピティオン氏だったのだ。
復活させたのはザ・ライトのタミー・オガラ。
ザ・ライトのタミー・オガラさんは、ジュリアスタートオプティカル復活の立役者でもあり、ネイティブサンズなどのオリジナルブランドも手がける、いまの日本のメガネ界における最重要人物。全版権を買い取り、満を持して本ブランドをスタート。
世界一のクオリティを保証するメイド・イン・鯖江。
タミーさんが代表を務めるザ・ライトは、世界的なメガネの聖地・福井県鯖江市に2棟の自社工場を持つ。もちろんマックスピティオンが製造されているのもここ。特にガラ入れを得意とするこの工場で、何度も丁寧に磨き上げたフレームは見れば見るほど絶品だ。
H2:1stコレクションはスペシャルパッケージで! 「ポリティシャン」以外のモデルもチェック。
販売がスタートしたばかりの1stコレクションにのみ特別仕様のケースが付属。今後も2nd、3rdとコレクションは続いていくだろうが、この試みは今回だけだ。
上)CROWN PANTO
新生マックスピティオンらしいなめらかなエッジと、直線的なクラウン部分のコントラストが美しい。一層厚めのフレームもいまの気分にマッチ。7万400円
中)PANTO
日本ではボストンと呼ばれる、シンプルなパントシェイプも、特有の丸みと肉厚さでしっかりと存在感を放つ。ほかのモデルと比較しても、スタイルを選ばない一本。7万400円
下)WELLINGTON
長らく愛され続ける定番シェイプのウェリントン。アメリカや英国の印象が強いこのフレームも、フロント上部の傾斜や造形美からはフランス的な色気すら感じる。7万400円
【問い合わせ】
プライベートアイズアンドトラッカーズ
TEL070-1577-2666
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年4月号 Vol.193」)
Photo/Yuco Nakamura(Item) Text/Shuhei Takano
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