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キヤノンのRFマウント用レンズが、シグマとタムロンから登場する意味を考える

  • 2024.04.26

何かとニュースの多かった2024年の4月23日、シグマと、タムロンから、同時に同じ意味のニュースが出た。曰く、「キヤノンのRFマウント用レンズを発売します」と。どちらも『キヤノン株式会社とのライセンス契約の下で開発・製造・販売』とのことだから、当然のことながらキヤノンと、シグマ、タムロンの間で綿密な打ち合わせがあった上での情報公開なのだろう。この発表は何を意味するのだろうか?

キヤノンRFマウント対応レンズ追加のご案内(シグマ)
https://www.sigma-global.com/jp/news/2024/04/23/010361/

タムロン初の「キヤノンRFマウント」用 小型軽量の大口径F2.8超広角ズームレンズ 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD(Model B060)
https://www.tamron.com/jp/news/detail/b060rf_20240423.html

RFマウントとは何なのか?

キヤノンがRFマウントを発表してから、およそ5年が経つ。

その間、キヤノンはマウントの仕様を公開して来ず、他社製レンズを受け入れて来なかった。これは何を意味しているか? また、今回なぜ、RFマウントが公開されたのか、そのあたりについて考えてみよう。

まず、なぜキヤノンはEFマウントを捨てて、新しいRFマウントを作らなければならなかったか考えてみよう。

デジタルカメラになって、EVF(電子ファインダー)の性能が上がると、ミラーやペンタプリズムが不要になる。すると、マウントとセンサーの間隔が近い『ショートフランジバック』が可能になる。マウント口径は大きい方がいいし、レンズをマウントする時の剛性も上がる。

※このあたり、レンズ収差とか、いろいろな問題・解決方向が山盛りで、我々のようなシロウトが考えるほど単純ではないようなので、あくまでザックリいえば。

また、昔よりレンズとカメラは高速でさまざまな通信を行っており、端子の数も増えている。

レンズ交換式カメラの場合、ユーザーのレンズ資産も大切だが、どこかで区切りをつけて、新世代のマウントを設計する必要がある。それが、キヤノンの場合、2018年発表のEOS Rに搭載されたRFマウントだったというわけだ。

これまで、RFマウントで販売されたレンズを振り返ると

ちなみに、最初に発表されたレンズは、

RF24-105mm F4 L IS USM——15万5000円
RF50mm F1.2 L USM——32万5000円
RF28-70mm F2 L USM——42万円
RF35mm F1.8 MACRO IS STM——7万5000円

の4本で、「RFレンズ高ぇ! 手が出ない!」と、筆者などは思ったものだ。

今にしてみると、これらのレンズは、「明るくて、短い」。

つまり、これまでにない、「明るくて、短い」レンズを作れることが、RFマウントの設計的特徴だったので、それをアピールしたかったのだと思う。

また、EOS-Rはいろいろとまだ熟成し切っていないところもあったので、カメラ本体のハードウェアとしても、その後のEOS R5や、EOS R6 Mark II、EOS R3……といった世代の登場を待つ必要があったのだろう。

そして、世代を追うごとに、「意外とコンパクトな望遠」や、「職業カメラマンが使えるF2.8で揃う大三元」などのさまざまなレンズが充実していったというわけだ。

ボディ内、レンズ内合わせて8段の手ブレ補正というのも大きな武器で、これがあれば安価な暗いレンズでもかなり明るい状態で撮影できる。たとえば、1/250と同じような絵を、手ブレ補正の威力を使って1秒のシャッターでブレずに撮れるということなのだから、安価な暗いレンズでも悪くない絵が撮れる(F値を小さくできるワケではないから、ボケる絵が撮りたければ、明るいレンズを買わざるを得ないが)。

だから、RF24-105mm F4-7.1 IS STM(7万3150円)や、RF100-400mm F5.6-8 IS USM(9万3500円)というようなレンズもそれなりに使える。もちろん、RF24-105mm F4 L IS USM(18万4800円)や、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM(41万5800円)の方が、ボケが美しく、シャープだが、筆者のように『絵作りよりも取材なので、ブレずに写ることが大事』という場合は、前者でも、たいへん役に立ってくれるのだ。後者には値段もあるが、重いというデメリットもある。

また、RF600mm F11 IS STM(11万5500円)、RF800mm F11 IS STM(14万3000円)というようなユニークなレンズも出た。これもボケ味とシャープな描画が必要ないなら、手ブレ補正頼りの超望遠を安価に作れるというユニークなレンズだ。

キヤノンラインナップの(だいたいの)完成と、他社製レンズの迎え入れ

と、いうわけで、キヤノンとしては、ひと通り、『RFレンズのメリットの提案』を自社製品で行いたかったのではないかと筆者は思う。

そうこうするうちに、ボディ本体も熟成されてきて、使いやすく、アドバンテージのあるものになってきている。

そこで、RFマウントの他社への技術提供、ライセンス提供……ということになったのだと思う。

シグマやタムロンというレンズメーカーが、どういう領域でアドバンテージがあるかというと、「明るい単焦点」などを中心とした趣味性の高い領域だろう。

機能を絞って、必要な機能をより適切な価格で顧客に届ける。シャープな描画、美しいボケなど、レンズ自体の魅力や個性がこれら社外レンズメーカーの武器であるように思う。

逆に、手ブレ補正など電子的な設計が深く関わる部分は、仕様を深く知るキヤノンの方がよく理解しているだろうし。

どんなレンズが、シグマ、タムロンから発表されたのか?

今回登場したのは、いずれもAPS-C(つまり、センサーサイズの小さな、R7、R10、R50、 R100)を前提としたレンズである。

フルサイズセンサーのモデル(R3、R5、R6 Mark II、R8など)に、RF-Sレンズを付けると、センサーをAPS-Cにクロップして使うことになる(狭い領域だけ使うので、APS-Cセンサーモデルと同様、レンズを1.6倍にして使うことになる)。メリットは少ないが、とりあえずレンズを共用することはできる。

現行のキヤノンのRF-Sレンズは、プラスチックボディの安価なズームレンズしか存在しない。ここに、シグマやタムロンの高性能な明るいレンズがラインナップされるのは、嬉しいニュースだろう。

ちなみに、導入が発表されたのは以下の7本。

SIGMA
(2024年7月)
 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
(2024年秋以降順次)
 10-18mm F2.8 DC DN | Contemporary
 16mm F1.4 DC DN | Contemporary
 23mm F1.4 DC DN | Contemporary
 30mm F1.4 DC DN | Contemporary
 56mm F1.4 DC DN | Contemporary

TAMRON
(2024年内)
 11-20mm F/2.8 Di III-A  RXD (Model B060)

35mm換算でいえば、広角ズーム、標準ズーム、広角から中望遠といった領域。

RFのAPS-Cユーザーからすれば上質なレンズが増えるのは嬉しいが、R7でスポーツを撮っているユーザー以外の、R10、R50、R100ユーザーからすると、「予算があれば、いつかはフルサイズ」と思っている人が多いだろうから、ここで上質なレンズに投資するかどうか? というところが悩ましいポイント。

おそらく、一応、フルサイズセンサーモデルに付けて撮ることもできるが、その場合に、どのぐらいの使い勝手になって、どんな絵が仕上がってくるのかも気になるところ。筆者はAPS-CのR10と、フルサイズのEOS R6 Mark IIを持っているので、広報機材としてレンズが借りられるようになったら、ぜひ試してみたいと思っているので、レポートをお楽しみに。

フルサイズ用レンズは出るのか?

ちなみに、今回ラインナップされたレンズは、設計自体は、他のLマウント、Eマウント、Xマウントなど用として販売されているものが多いので、おおまかな価格や性能は、それらのレンズを調べれば分かりそう。

作例を見ると素敵な写真がたくさんアップされているので、試用が楽しみ。

そして、次に気になるのはフルサイズ用レンズが出るかどうか……。

シグマの50mm F1.2 DG DNとか、RFマウントで使えたら素敵だと思うのだが……。

単に、「APS-C用のちょっといいレンズをラインナップしたかった」というだけなのか、それとも「RFレンズのライセンス公開」のさきがけだったのか。今後の情報を楽しみに待ちたい。

(村上タクタ)

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