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契約書の落とし穴も検出! アドビAcrobatのAIで書類が『質問できる書類』に

日常的に我々が使うPDF。今回はこのPDFを自由自在に取り扱えるアドビのAcrobatの基本的な知識と、作業を効率化してくれるAcrobat AIについてアドビのDocument Cloud プリンシパルプロダクト マーケティングマネージャーである立川太郎さんにお話をうかがった。

PDFを巡る誤解と真実

みなさん、『PDF』とはどのようなものだと理解されているだろうか?

筆者は、昔から出版業務でPDFに関わることが多かった。たとえば、アドビInDesignでデザインや文字入稿中の雑誌の誌面は、我々編集者にはPDFで提供される。だから、PDFは『画像やテキストのレイアウトが崩れずに、見た目通りに表示されるファイル』というぐらいの認識だ。多くの人もそうなのではないだろうか?

そもそも、PDF(Portable Document Format)は、アドビが開発したファイル形式だ。後に仕様を公開し、ISO(国際標準化機構)によって正式に規格として承認された。現在では世界中で当たり前に使われており、MacやiPhoneの画面表示においてもPDFの描画技術が使われている。一般的な規格だから他社も使えるが、それでも仕様については当然のことながら、アドビが一番熟知していると思っていいだろう。

見たまま保存、見たまま共有

PDFの何が優れているかといえば、ドキュメントのルックス、つまり見た目を極めて正確に保つことができる点である。ベクターデータはベクターデータとして、ビットマップデータはビットマップデータとして保持されるため、画質の劣化なく、拡大縮小にも強い。加えて、解像度を調整して扱いやすくする(ファイルのデータサイズを小さくする)ことも可能だ。

多くの人は、PDFは「編集できない」ものだと誤解しているが、アドビのAcrobat Proなどのツールを使えば編集も可能である。必要に応じて編集を防ぐためのロックをかけたり、PDFの内部に記録されるメタデータ(作者名や作成日時など)を削除したりすることもできる。

PDFにしておけば、デザインや文字は改竄できない……と思っていたが、最近のアドビのテレビCMで『アドビのAcrobatを使えば修正もできるし、逆にパスワードロックをかけることもできる』ということを知った人も多いのではないだろうか? Acrobatの機能はそれだけではなくて、ファイルを結合したり、署名するためのフォームを準備したり、印刷用の仕様を調えたりと実にさまざまなことができる。

PDFの仕様について良く理解していないと起こる失敗というのもある。

たとえば、配布データに記載されていた個人情報に墨ベタの四角を置いてもデータは消えない。Acrobatで墨ベタ四角を取り除けば元データが見えてしまうのだ。Acrobatには『PDFを墨消し』という機能があり、それを使えばちゃんとデータを削除できる。

また、PDFには製作者や製作時間を記したメタデータが残っている。謝罪会見で配布されたPDFデータが「実は本人ではなく代理店が作っていた」ということが露呈してしまうケースもあった。社会人として、PDFの性質を理解しておかないと、思わぬ失態をさらしてしまうことになるというわけだ。

ドキュメントを扱うならPro版にしてもいいかも

Acrobatには、誰でも無料で使えるAcrobat Readerと、有料のAcrobat Standard、Acrobat Proがある。詳しくは下記を参照のこと。

ちなみに、Adobe CCのコンプリートプランを契約している人は、Acrobat Proまでは契約に含まれているので、追加費用なく使うことができる。

しかし、2025年から追加された日本語版の『Acrobat AIアシスタント』はさらに別途費用(年契約時月額680円)が必要となる。

「さらに追加費用とは、アドビさんも重税を課される……」とは思うのだが(笑)、使用してみるとこれが便利なのだ。特に書類を頻繁に扱う法務系の仕事の人や、総務、経理などの人は絶対に月額680円以上の価値はあると思う。

契約書の差分検出に力を発揮

まずは一般的なところで言えば、要約、翻訳、コメント付与など、生成AIが得意とするタスクに対応する。しかし、特筆すべきは、これがPDFを前提に設計されているという点である。

また、とっても重要なのは、汎用生成AIと違って、社外秘の資料などを安心して読み込ませることができること。我々でメディアで言えば情報解禁前の情報も読み込ませられる。ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)に登録されているので、その点は安心して使える。

実際に使ってみて最も便利だと感じたのは、契約書など書類の比較機能である。複数のバージョンがある契約書をAIに読み込ませ、要約させたり、どこに注意すべきかを指摘させたりすることができる。また、差分の検出も可能であり、どこが更新されたのか、変更されたポイントにジャンプして確認できるのは非常にありがたい。

このような機能は、法務部門や経理部門、あるいは文書管理を担当するビジネスパーソンにとって非常に有用だろう。

長い英文のQ1とQ2の決算書類を読み込ませて、差分をチェックしてもらい、さらに注意すべき点をアドバイスしてもらった。読み込むのに時間がかかるような書類であれば、これは、途方もなく便利。
比較だけでなく、注意すべきポイントを聞いたりすることもできる。

ドキュメントを読み込ませることで、そのドキュメントが質問にも答えてくれる魔法のドキュメントになるような感じだ。

スプレッドシートや英語の長文にも対応

契約書だけでなく、スプレッドシートをPDF化したデータに対しても、AIは数値の変化やトレンドを読み取ることができる。たとえば決算報告書に含まれる表をもとに、どこが伸びているか、注目すべき点はどこかを抽出してくれる。

また、英語の資料を日本語で要約させることもできる。海外の論文や契約書など、情報量が多く専門性が高いドキュメントに対しても有効であり、AIによる要約は、実務上かなり助けになる。

筆者の仕事に近いところということで、資料を読み込ませて、それを元に2,000文字の記事を書かせてよう。

『Creator Connect』がローンチされたというアドビの発表資料と、Z世代のマーケティング調査。

新サービスの発表資料と、対象読者として想定したZ世代のマーケティング資料を読み込ませて、以下のプロンプトを使った。

以下をふまえて、2000文字程度のブログ記事の構成案を生成してください。箇条書きは一切使わず、すべて文章にして、ウェブ記事として使えるものにして下さい。

【テーマ】Creator ConnectをZ世代が活用するメリット
【読者層】初心者向け
【目的】Z世代にCreator Connectに興味を持ち、実際に使ってもらうこと
【トーン】ブログ風
【キーワード】Creator Connect加入のメリット
【見出しの数】5 つ

その結果、出来上がったのがこちら。

なかなか秀逸な出来である。このまま我々プロの記事として使えるかどうかというといろいろな意見はあるだろうが、少なくともこれを叩き台として書き進むことはできる。省力化には役に立ってくれそうだ。またプレスリリースをベースに記事化するだけというような定型的な記事であれば、これで十分かもしれない。

ビジネスパーソンにとっての必携ツール

Acrobat AIアシスタントは月額680円(年契約時)という価格で利用できる。個人にはやや高く感じるかもしれないが、日常的にPDFを扱う職種、たとえば法務、会計、編集などの業務では、十分にメリットを感じられる価格だと思う。スタッフが契約文書を2つ広げて差分を探すために何時間も使っているのなら、即座にAcrobat AIアシスタントを契約するべきだろう。

ChatGPTのような汎用AIとは異なり、PDFに特化している点がこのサービスの肝であり、日常業務の効率化という意味では、メリットは大きい。該当するお仕事をされている方は、ぜひお試しいただきたい。

長いPDF書類も、まずは要約してもらって、概要を掴んで、読むべきかどうか判断するのが習慣になりそうだ。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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