USB-Cケーブルにはいろいろあるのだが
さんざんUSB-CやThunderboltの規格に関する記事を書いているし、一般の人よりは知っているつもりだが、それでも手元にあるケーブルのスペックを把握しているかというと、そうとも限らない(汗)
ケーブルの性能はおおまかに言うと、流せる電力容量と、データ通信の性能の規格がある。これは別に考えた方がいい。
電力容量は、どんなUSB-Cケーブルでも60W(20V/3A)までは流せる。E-markerの入った5Aケーブルなら100W(20V/5A)までは問題ない。また、最新の規格では240Wまで通るようになっている。MacBook Pro 16インチのアダプターが140Wなのはご存知の通り。
データ通信の性能は、何も書いてなければ、USB 2.0(480Mbps)であることが多い。MacやiPhoneの充電ケーブルはあくまで充電用……という解釈らしく、規格はUSB 2.0である。しかし、iPhone 15 Proの仕様はUSB 3(最大10Gbps)ということなので、付属のケーブルではiPhone 15 ProのUSB-Cコネクターの最大データ転送速度の1/20しか発揮できないということになる。
ちなみに、USB 3という表記はアップルが、「『USB 3.1 Gen 1』とか『USB 3.2 Gen 2×2』とか、『USB4 Gen 3×2』とか、複雑で一般の人には分かりにくいから、ウチは『USB 3』『USB 4』というシンプルな表記にするね!」というものらしく、正確にはiPhone 15 Proは『USB 3.2 Gen 2』である。一般ユーザーの方に分かりやすく……というのは大切だが、余計に事態を複雑にしている気もする。
(ちなみに、規格としては『USB 3.2 Gen 2×2』の時はUSBのあとは半角アケるのだが『USB4』は半角アケない。アップルは『USB 3』『USB 4』と、どちらもアケるというややこしさだ。筆者は、いちおう全体の規格の話をしているのか、アップルの話をしているのかで区別しているつもりだが、間違って書いてても見逃していただきたい(笑))
ともあれ、付属ケーブルでは、『USB 3.2 Gen 2』であるiPhone 15 ProのUSB-Cコネクターのフルの性能は発揮できない。
「どうなんそれ?」と思うが、純正付属品をUSB 3.2 Gen 2にすると、ケーブルの調達コストが上がって、全iPhone 15 Proの価格が上がってしまう。ケーブルでデータ転送する人は自前で調達してね……ということだろう。
筆者も、USB 3.xと断言できるケーブルは持っていなかった
ぜひ、みなさんもご自身でお持ちのケーブルを確認してみていただきたい。
筆者の場合、Thunderboltディスプレイに付属のThunderbolt 3ケーブルや、Thunderboltハブ、Thunderbolt SSDなどに付属の専用ケーブルに付属のThunderboltケーブル以外は、だいたいUSB 2.0ケーブルだった。
あれだけ、USB 3.xがややこしいという話をしていたのに、実はUSB 3.x(と明確に断言できる)ケーブルは持っていなかったのである。ちなみに、100Wを超える電流を通すケーブルも持っていない(ようである)。
あまりに安いケーブルは、詐欺であることが多いので注意
ということで、USB 3.2 Gen 2ケーブルを買うことにした。
ここで、ひとつ注意しておかないといけないのが、Amazonには『USB 3.2 Gen 2』と書いておきながら、そのスペックを満たしていないケーブルがたくさん販売されている。ケーブルメーカーさんによると、ケーブルに内蔵する認証チップを買うと、1000円なんかでは絶対に作れないのだそうである。
Amazonというブランドは、その下で販売されている商品が、表記通りかどうかについては責任を持たない。
「1000円を切る価格で売ってるUSB 3.2 Gen 2ケーブルはおそらくウソ」ということで、お気をつけいただきたい。自衛手段は、信頼できるブランドから買うしかない。
本当に、Amazonの本件とか、Facebookの広告の詐欺の横行ぶりとか、『プラットフォーマー』を名乗るシリコンバレー企業の矜持の低さには驚かざるを得ない。
UGREENの製品を買った
というわけで、UGREENのPD対応 240W/5A、4K / 60Hz映像出力、USB 3.2 Gen 2(10Gbps)のUSB-Cケーブルを購入した。2099円だった。
UGREEN USB Cケーブル【PD対応 240W/5A急速充電4K / 60Hz映像出力 10Gbps 1m】USB 3.2 Gen 2
https://amzn.to/3vf58Zu
ちなみに、これだけの電力を通すとなると、やっぱりそれなりにコネクターは大きくケーブルも太い。安全性確保のために必要なことなのだ。
筆者の場合、実用の用途の他に、こういう記事を書く時にボトルネックにならないケーブルが必要という事情もある。
ここで、60Wを超えて、63.5Wという数値が出ているのは、このケーブルを使っているからなのである。
というわけで、必要に応じて、確実に短時間で充電して、高速データ通信をするために、ぜひこのケーブルを入手しておいていただきたい。
(村上タクタ)