※レビュー機材を先んじてお預かりしてますが、製品の発売は11月初旬(業界的には10日ぐらいまでのこと?)とサイトにはでています。
ドル建てなら理解しやすい価格設定
Apple Pencil(USB-C)は1万2880円(税込・以下同)。Apple Pencil(第2世代)1万9880円、Apple Pencil(第1世代)1万4880円と較べると安いとはいえ1万円超えだ。
これはUSドルで考えると分かりやすくて、それぞれ、79$、129$、99$となっている。つまり、129$の第2世代より、99$の第1世代は安くて、79$のApple Pencil(USB-C)はもっと安いというワケだ。毎度のことながら円安はツライ。
3種類のApple Pencil。適合機種が複雑
適合機種は一般の方にはかなり分かりづらくなっているので、Apple Pencilを購入する時には、かならずよく確認してから購入のこと。
なるべく分かりやすく書くと
Apple Pencil(第1世代)——Lightningコネクターを持つApple Pencil対応機種(2015年のiPad Pro以降)の機種とiPad(第10世代)
Apple Pencil(第2世代)——iPad(第10世代)を除く、USB-CコネクターをもつiPad。
Apple Pencil(USB-C)——USB-CコネクターをもつiPad。
ということになる。
どうもiPad(第10世代)がイレギュラーだ。これは欧州の規制のおかげで、もともとLightningコネクターで開発されていたiPad(第10世代)がUSB-Cとなってしまい、整合性を乱したのではないだろうか?
でなければ、文教用のiPad(第10世代)とLightningコネクター対応のApple Pencil(第1世代)で売っていればいいことになる。
そしてApple Pencil(第2世代)と(USB-C)を、新世代の上位機種と廉価モデルとしてラインナップ……とすれば、不自然ではなかっただろう。
ところが、iPad(第10世代)をUSB-Cとしたために、Apple Pencil(USB-C)に対応することになり、ラインナップがややこしく……というシナリオではないだろうか?
使えないiPadの側面には着かない……という芸の細かさ
実は、iPad ProやiPad Airなど、Apple Pencil(第2世代)適応モデルの側面には、Apple Pencil(USB-C)も付けることができる(充電はできない)。
しかし、iPad(第10世代)には、Apple Pencil(第2世代)をちゃんと付ける事はできない。マグネットの位置(N/S極の配列)が、異なるようなのだ。ちゃんと、適合しないものは着かない……となってるところは、細かい配慮だと思うのだが。
次のiPad(第11世代)はどうなるのだろう? この複雑さを残したままなのだろうか? それとも非接触充電を採用し『Apple Pencil(第2世代)(USB-C)に対応』となるのだろうか? そうなれば、Lightningコネクターを持つApple Pencil(第1世代)を退役させて、もう少しシンプルなラインナップを実現することができるのだが。現状では、iPad(第10世代)で筆圧感知できるようにするためだけにApple Pencil(第1世代)をラインナップしておかなければならない。
しかし、iMacのMagic Mouseや、Magic KeyboardにはLightningコネクターを残しているので、アップルが欧州に制限されないデバイスまでLightningコネクターを廃する予定なのかは、もう少し様子を見ないと分からない。
筆者は、なるべく純正品を使いたいとは考えている。法律的にNGではなくても、微妙な性能上の安定性があるかもしれないし、万が一のトラブルの時にも何が悪いのか分からなくなる。また、デザインや仕様を模倣したような製品には、意匠やモノ作りに対するリスペクトがないと感じるからだ。一方で、収入がまだ少ない若い人や、学生の人たちにとって、3〜4000円で買える模倣品が魅力的に思えるのもよく分かる。純正品には純正品なりのクオリティがあるし、意匠的な正当性もあると思うが、そうも言ってられないこともあるかもしれない。
ちなみに、模倣品のApple Pencilも筆圧感知機能はないが、どのiPadでも使えるというメリットがあったりもする。ということは、Apple Pencil(USB-C)もそのように出来たはずだ。せめて、旧来のLightningコネクター装備のiPadでも使えるようにしてくれても良かったのではないだろうか?
メモ用途が中心で、絵は描かないというならApple Pencil(USB-C)
Apple Pencil(USB-C)は、筆圧感知を持たないだけで、性能的には完全に他の2種類のApple Pencilと変わらない。解像度の高さも、レイテンシーも、同じ性能だ。
筆者は絵を描くので筆圧感知は必要だと思うし、それこそがApple Pencilの美点だと思うので、こういうモデルの必要性は感じないが、周囲には「絵は描かないので筆圧感知は不要」という人は一定数いらっしゃるので、そういう人に配慮したモデルだと思われる。
実際メモ書きに使ってみたが何の不安もないし、USB-Cケーブルさえあれば、電源アダプターやモバイルバッテリー、iPad本体からも充電できるというのは便利だ。
たしかにGoodNotesやMetaMoJi Noteなどを使って、学校や仕事で、手書きでメモを取るのが主な用途なのであれば、筆圧感知は不要ということになる。筆圧感知のセンサーはPencil側にあるので、それを低レイテンシーでiPad側に伝える必要がある……ということで、この部分を省略すればたしかに多少安くなるし、Apple Pencil(USB-C)には一定のニーズがあると思える。
あなたが、もし「絵は描かないので、筆圧感知は不要。メモを書いたりするのが使用目的」と考えていて、iPad(第10世代)、もしくはUSB-Cコネクターを持つiPadを利用してるのなら、Apple Pencil(USB-C)はお勧めできる製品だ。
iPad(第10世代)用として買った後、iPad AirやProにステップアップしても使い続けられるのもメリットといえるだろう。
ちなみに、文教用に廉価なApple Pencil(USB-C)がお勧めという声もあるようだが、筆者は子どもたちには、可能であれば筆圧感知機能のあるApple Pencilを使わせてあげて欲しいと思っている。
多くの子どもたちの中には、絵画の才能を秘めた子がいるかもしれないし、「力を入れたら太い線が描ける」というフィードバックを体験するから、そういう微妙な力加減を使った表現ができるようになるものだと思うからだ。
だから、他のレビュアーの人の意見とは違うかもしれないが、このApple Pencil(USB-C)は、あくまで大人のための道具だと思うのだ。
(村上タクタ)
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