ティム・クックはなぜ熊本にいるのだろうか?
ティム・クック氏のtweetによると、彼は12日(月曜日)夜時点には熊本にいる。熊本でアップルというと、TSMCの工場が建設される話を思い出す人が多いようだが、この工場が動き出すのは2024年だし、そもそも建設されるのは菊陽町であって熊本市ではない。
Great to be back in Japan! Visited the historic Kumamoto Castle and learned about their work to restore this incredible landmark. 🇯🇵 pic.twitter.com/SOGAqnfud4
— Tim Cook (@tim_cook) December 12, 2022
コメントではかなり修復の進んだ熊本城について触れている。一緒に写っている左側の男性は、熊本市の大西一史市長。大西市長は、GIGAスクール構想以前に、震災復旧の予算を使って熊本市の小中学校に一気に2万3460台ものiPadを導入、現在では6万台以上のiPadが利用されており、熊本市を日本の教育のiPad導入の先進地域に押し上げた立役者だ。おそらく、その関連の話で熊本に行っているのではないだろうか?
また、グレッグ“Joz”ジョズウィアック氏は、熊本県立大学で以下のようなtweetを投稿している。
Coding opens the doors to new opportunities. Seeing how the young developers at the Prefectural University of Kumamoto are using Apple technology to create apps that serve and support their communities is a sign of many good things to come! pic.twitter.com/ASmFDkY9TJ
— Greg Joswiak (@gregjoz) December 12, 2022
熊本県立大学の飯村伊智郎博士の研究室では、いわゆる文系である社会科学と、情報科学を扱う生徒たちが、社会課題の解決のためにプログラミングを学んでいる(参考)。この取り組みはすでにアップルのサイトでも紹介されている(参考)。
なんと、日本に約13兆7000億円以上を投資
今朝、アップルが公開したプレスリリースによると、アップルは2018年以降の約5年間で、1000社近い日本のサプライヤーに1,000億ドル(約13兆7000億円)以上を投資しているという。
プレスリリースではティム・クックは「日本を訪れるたびに、私たちのチーム、お客様、デベロッパ、サプライヤーが、教育への取り組み、美しいデザインへの情熱、私たちの地球を守ろうという確固たる努力など、私たちを一つにする創造性と価値を共有しているのを目にしています。再びつながり、私たちの共同作業をたたえ、私たちが作ることのできるさらに明るい未来へと目を向けることは、大きな喜びです」と述べており、それは前述の熊本城でのtweetに通じるものがある。
2019年以降、アップルは日本のサプライヤーへの支出を30%以上増やしているという。これは、地政学的リスクの影響を減らすためでもあると思われるが、iPhoneなどの生産に、日本の技術が必要とされているということでもある。
たとえば、iPhoneのカメラは2011年からソニーのセンサーを使っており、最新のiPhone 14 Proや Pro Maxに搭載される4800万画素のセンサーもソニー製だ。その他にも細幅織物技術を利用して一部のApple Watchバンドを製造している福井県の井上リボン工業株式会社や、金型メーカーの株式会社シンクロンなどの製品も使用しているという。
また、アップルは、環境保全に関して非常に努力してるが、日本でも29社のサプライヤーがアップルの事業を100%再生可能エネルギーでまかなうことを表明している。ソニー株式会社、株式会社村田製作所、株式会社セイコーアドバンス、恵和株式会社、株式会社フジクラ、日本メクトロン株式会社(Mektec)、住友電気工業株式会社などの企業が、風力発電プロジェクトや施設内太陽光発電設備、仮想電力購入契約(バーチャルPPA)により、再生可能エネルギーでの製造を可能としているという。
日本の開発者は約6兆8600億円をApp Store経由で売り上げている
日本は、世界で3番目に大きなApp Storeのマーケットを持つ国でもある。日本の開発者がアプリやデジタル商品から得ている利益は2019年から倍増して、500億ドル(約6兆8600億円)以上となっているという。
ティム・クック氏と、グレッグ“Joz”ジョズウィアック氏は、これらの企業や開発者、学校などを訪ねていることと思われる。CEOになってからのティム・クックの来日は、オープンになっているものでは、2016年10月、2019年12月の2回のみ。これで3度目になる。
ようやく、ティム・クックが来日できる状況になり、日本との絆が深まるのは喜ばしい限りだ。
(村上タクタ)
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