要約すると、Sonosは欧米で普及しているスマホ時代のスマートスピーカー。スマホ、タブレット、PCと連携して、家中の音響をつかさどる。Oneなどは、1台からでも使えて、2台にすればステレオペア、ウーファーを組み合わせることもできるし、背後に追加すれば5.1chサラウンドも構成可能。その拡張性が素晴らしい。
で、この発表会は、Sonosブランド全体を知らしめると同時に、RayとSub Miniという2台の日本家屋にピッタリの新製品を発表する場でもあったのだ。
音質に主眼を置いたスマートスピーカー
いわゆる、Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーは、どちらかといえば音声認識するアシスタント的なスマートスピーカーとしての側面が強い。
AmazonはAmazon Echoで買い物をして欲しいし、GoogleはGoogle Homeで検索をしてもらいたい。それぞれの企業が『ユーザーから集めたい情報を得る』ために、製品がデザインされている。もちろん、今は音質のいいモデルも用意されているが、そこが主目的というワケではない。
対して、Sonosは『新世代のホームオーディオ』であることが製品のテーマだ。つまり、音がいいし、家のどこでも快適に良い音を楽しめる。それがSonosなのだ。
USの住居環境と、日本の違い
実は、アップルのHomePodが発表された時に、HomePodの性能を充分に活かせる環境で試聴したことがある。
広い場所で、複数台のHomePodを連携させて鳴らすと、実に素晴らしい音がする。腹の底に響くような重低音が部屋中に広がり、踊り出したくなるようなサウンドを奏でてくれる。
が、それは、アメリカのホームパーティの会場のような広い場所があってこそなのだ。庭に開けたリビングで、何台ものHomePodが設置され連動してる。そういう場所でならとても楽しいのだが……筆者の家のような狭いマンション住まいだと、本領を発揮することは難しい。
自宅では、HomePodをステレオペアで使っているが、いつも「Hey Siri ! 音量を10%にして」「Hey Siri ! 音量を12%にして」と微妙なラインで調整して聞いている。賃貸マンション住まいでは、昼でも14%、夜なら10%が限界というところ。つまり、HomePodの本領である「大音量で重低音を響かせる」という使い方はほとんど無理なのだ。
一度、勇を奮って短時間30%ぐらいで鳴らしてみたことはあるが、近所から怒鳴り込まれるのではないかと思って、すぐにやめた(笑)
本領を発揮した時のパフォーマンスを知っているだけに、残念なことだ。
対して、Sonosは大音量にしなくても良質な音を聞かせてくれる。
現在、原稿を書いてる仕事場はOneをステレオペアにして使っていて、リビングはテレビにBeam(第1世代)にSubを組み合わせて使っているのだが、どちらも実に快適に音を楽しめている。
Subもあるから大音量で鳴らしても迫力ある音を楽しめるのだが、大音量で鳴らす機会はほとんどない。普段は音量は絞っている。しかし、小さい音でもSubはいい仕事をして、しっかりと音の厚みを作ってくれている。オン/オフしてみるとよく分かる。
ワンルームマンションにもフィットするRay
で、今回発表された製品のひとつが、Sonos Ray。
Sonos Ray
https://www.sonos.com/ja-jp/shop/ray
テレビと一緒に使うSonosのサウンドバーにはこれまで、Arc、Beamがラインナップされていたが、その下にRayが位置づけられるというワケだ。
そもそも、最近の薄型テレビ、製造コストの大きな部分はどうしてもディスプレイに寄せられるので、音質には充分な予算が使われていない。さらに薄さが重視されるので、どうしても音の迫力は乏しくなってしまう。
単体で聞いてると気付かないが、サウンドバーを接続すると、その変わりっぷりに驚く。日常のテレビ視聴や、Netflixなどでの映画視聴、スポーツ観戦などの体験が大きくグレードアップされるのだから、サウンドバーは絶対買った方がいいアイテムのひとつだ。
最上位モデルはArcで12万9800円(税込)。これは80インチなど大型のテレビにフィットする。5万9800円(税込)のBeamは、一般家庭の大きめのテレビにフィットする。40〜60インチぐらいのテレビにちょうど良いのではないかと思う。
しかし、先にも述べたHomePodの例と同じく、日本の住宅事情ではあまり大音量で音を聞くわけにはいかない。そこにRayはフィットすると思うのだ。
3万9800円(税込)という価格もうれしい。
Beamだと、そうはいってもある程度の大画面と部屋の広さが欲しい感じだったが、Rayはあらゆる人にお勧めできる。ひとり暮らしの部屋で30インチのテレビを見てたって、Rayを組み合わせると、テレビ視聴のグレードがグッと上がる。
スマートスピーカーの機能は上位モデル同等
スマホやPCの外部スピーカーとしても使えるから、家でBGMを聞きたい場合にも便利。さらに、単体のスマートスピーカーとしても動作するので、デバイスから再生しなくても単体でAmazonミュージックなどを楽しむこともできる。
それらのセットアップもスマホのSonosアプリから設定できるから簡単。
光ケーブルで接続でき、2つのツイーターと2つのミッドウーファーで迫力のある音を楽しめる。さらに上位モデルと同じく、スマホのマイクを使って部屋の音響環境をテストをするTrueplayにも対応しているので、部屋に合った音を楽しめる。
もちろん、Subをはじめとした他のSonosと組み合わせてグレードアップすることもできる。その最初の1台に、リビングのテレビに組み合わせられるRayは最適だといえるだろう。
Subのコンパクト版Sub Miniもとてもお勧め
もうひとつ、今回発表された製品がSubのコンパクト版、Sub Mini(6万4800円)だ。
Sonos Sub Mini
https://www.sonos.com/ja-jp/shop/sub-mini
上位モデルのSubは重さ16kg、9万4800円。
今回の発表会のように100畳ぐらいある50人ぐらいの人がいるスペースの音響でさえ2台のSubで賄われていたんだから、Subがいかにパワーがあるかはご理解いただけると思う。あると嬉しいが、正直、日本の住居環境ではオーバースペックではあった。
そこに登場した6.35kg、6万4800円のSub Miniは実に手ごろ。
これなら、あらゆる人にお勧めできる。正直、日本家屋であればSub MIniのパワーで充分だと思う。
ワンルームでのひとり暮らしも含め、あらゆる人にお勧め
筆者の自宅は3LDKの賃貸マンションなので、RayとSub Miniでも充分賄えると思う。
広いリビングをお持ちで、テレビも50インチ以上の大型、一戸建てで大きな音も鳴らせる……というご家庭ならBeamやArcとSubの組み合わせがお勧めだが、そんなご家庭ばかりではない。
というわけで、日本の住宅事情にやっとピッタリフィットしたSonos RayとSonos Sub Miniの登場は大歓迎だ。これで、あらゆる人にSonosをお勧めできるようになった。
(村上タクタ)
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