昭和40年男たちのメロディが詰め込まれたコンピレーション盤『昭和40年男 俺たちの時間旅行』がリリース!

  • 2024.02.05  2023.09.15

人には音楽の自我に目覚める時期がある。きっかけはテレビやラジオなどのメディア、あるいは兄弟や友人などまわりの影響であったとしても、自分の意志で自分の趣味に合った音楽を選ぶようになる。個人差があるとしても、大概、小学校高学年から中学校に上がったくらいのタイミングである。

昭和40年男の場合、それは1970年代後半にあたる。ちょうど、シンガーソングライターによるニューミュージック勢が台頭し始め、テレビ番組『ザ・ベストテン』の放送が始まった頃。ヒットチャートに歌謡曲や演歌、ニューミュージックやロックが入り乱れ、新しい動きと古い権威がせめぎ合い、にぎやかな音楽シーンが形成されていた。

そんな思春期を迎えた少年たちは当然のこと、新しい動きに興味を示す。アリス、オフコース、甲斐バンド、RCサクセション、クリエイション等々。自分たちの気持ちを代弁したような詩情、激しいロックのビートに心が揺さぶられ、新しい価値観が植え付けられた。同時に、日本に本格的な自作自演型アーティストが到来した瞬間でもあった。

今回、ユニバーサル・ミュージックからリリースされた『昭和40年男 俺たちの音楽時間旅行』は、まさに昭和40年男が音楽への自我が目覚める時期に流れていた曲をコンパイルしたCDである。同世代なら、これを聴けばすぐにあの頃にタイムトラベルし、その曲にまつわる大切な思い出がフラッシュバックできるに違いない。

昭和40年男の心を揺さぶった70年代のニューミュージック

ディスク1は昭和40年男にとっての最重要アーティスト、アリスの「ジョニーの子守唄」で始まる。順当であれば、アリスのブレイク作となった「冬の稲妻」をセレクトするのだろうが、我々世代は「ジョニーの子守唄」のほうに愛着がある。「冬の稲妻」でアリスの存在に気づき、「ジョニー」が決定打となって、LP(アルバム『アリスⅥ』など)を購入し、ファンになる人が多かった。ニューミュージックの魅力を最初に気づかせてくれたのは、間違いなくアリスである。

2曲目の甲斐バンド「HERO(ヒーローになる時、それは今)」は、なんといっても1979年元日の深夜0時から放送された『ゆく年くる年』で流れたCMである。SEIKOの時計のCMだが、それ以上にそこに流れる「HERO」と、甲斐バンドのビジュアルのインパクトが強烈に脳裏に焼き付いた。テレビ史に残るCMといっていいだろう。

続くオフコース「さよなら」と海援隊「贈る言葉」は、「HERO」と同じ79年のヒット曲。もはや説明不可の名曲だが、我々世代にとっては、『3年B組金八先生』のシーンが思い起こされる。もちろん、「贈る言葉」はその主題歌として有名だが、「さよなら」も挿入歌として使用され、ドラマを盛り上げていた。この頃のニューミュージック、ロックバンド勢は、積極的にテレビ出演していたわけではなかったが、彼らの音楽を知る手段として、テレビはとても重要な存在だった。

ドラマ『翔んだカップル』主題歌「僕等のダイアリー」

ディスク1の後半は、かまやつひろし「我が良き友よ」、ダウン・タウン・ブギウギ・バンド「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」、サディスティック・ミカ・バンド「タイムマシンにおねがい」といった、70年代前半から中盤にリリースされたロック寄りの曲が並ぶ。

リアルタイムでは、テレビや街角で聴いたくらいのかすかな記憶だが、その後、後追いで日本ロック史を語るうえで重要であることに気づいた曲といえる。85年の再結成で認知したはっぴいえんど同様、サディスティック・ミカ・バンドも89年に再結成した際の盛り上がりでその偉大さを知った国産ロックバンドである。

ディスク2の冒頭を飾るのは、RCサクセション「トランジスタラジオ」。この曲のリリースは、1980年10月。『ラプソディー』で人気バンドのきっかけを作ったRCの重要なシングルであり、ロックへの扉を開け始めた世代にとってはかけがえのない曲である。「授業中 あくびしてたら口がでっかく なっちまった居眠りばかり してたら もう目が小さく なっちまった」というユニークな一節は、今聞いても色あせない新鮮な響きがある。2曲目は、H2O「僕等のダイアリー」。

H2Oといえば、本来なら「想い出がいっぱい」をセレクトするのだろうが、我々世代にとって思い入れがあるのは、「僕等のダイアリー」だ。それは一にも二にもドラマ『翔んだカップル』の影響である。主演は、芦川誠と桂木文。ここに轟次郎や柳沢慎吾が絡んでくるラブコメだが、これが単なるラブコメにあらず。勢いに任せた斬新企画満載のなかでのNGシーンはとくに新鮮だった。そして、桂木文がなんともかわいかったこと。再放送、もしくはパッケージ化してほしいドラマの筆頭である。

7曲目に収録しているのは、加藤和彦の「だいじょうぶマイ・フレンド」。83年に公開された同名映画の主題歌としてリリースした本作だが、当時は他に、映画に出演した広田玲央名、乃生佳之、渡辺裕之のレコードもリリースされ、共作盤が話題になった。実は、この加藤和彦版は、今では他で聞くことが困難な状況になっており、図らずもここで収録された音源はレアなものとなっている。

11曲目と12曲目は、いずれも玉置浩二が手掛けた曲。前者は安全地帯のブレイク作として知られているが、後者はその少し前に玉置浩二が当時人気だったロック歌手、本田恭章に提供した一曲。大ヒットまでには至らなかったが、歌謡曲とロックの融合具合が実に秀逸であり、耽美な本田の魅力を引き出した名曲として今こそ再評価を促したい。

そしてこのコンピレーションアルバムは、小林旭「熱き心に」で大団円を迎える。阿久悠の優しい男気を描いた詞世界と大瀧詠一のスケール感の大きいメロディが絶妙に組み合わさり、昭和の大スター小林旭の演技者としての表現力が表出された名曲となった。昭和男の賛歌に相応しい同曲は、音楽的にも歌謡曲とニューミュージック(ロック、シティポップ)がクロスオーバーされており、まさに、この盤を締めくくるにふさわしい。

『俺たちの音楽時間旅行~昭和のロック&ニューミュージック編』
ユニバーサル ミュージック
リリース日:2023年9月13日(水)
品番:UICZ-8228
フォーマット:CD2枚組 全30曲収録
価格:3,520円(税込)

TRACKLIST
DISC 1
1. ジョニーの子守唄/アリス
2. HERO(ヒーローになる時、それは今)/甲斐バンド
3. さよなら/オフコース
4. 贈る言葉/海援隊
5. ロンリー・ハート/クリエイション
6. ダンシング・オールナイト/もんた&ブラザーズ
7. たそがれマイ・ラブ/大橋純子
8. Goodbye Day/来生たかお
9. 揺れるまなざし/小椋佳
10. マイ・ピュア・レディ/尾崎亜美
11. 君のひとみは10000ボルト/堀内孝雄
12. 我がよき友よ/かまやつひろし
13. ビートルズが教えてくれた/ザ・バッド・ボーイズ
14. 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド
15. タイムマシンにおねがい/サディスティック・ミカ・バンド

DISC-2
1. トランジスタ・ラジオ/RCサクセション
2. 僕等のダイアリー/H2O
3. Blue Lagoon/高中正義
4. 君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/中原めいこ
5. い・け・な・いルージュマジック/忌野清志郎&坂本龍一
6. マイ・クラシック/佐藤隆
7. だいじょうぶマイ・フレンド加藤和彦
8. STARLIGHT SERENADE鈴木康博
9. ロンリー・ジャーニー Lonely Journey/山本達彦
10. ドラマティック・レイン/稲垣潤一
11. ワインレッドの心/安全地帯
12. サヨナラのSEXY BELL/本田恭章
13. フライデイ・チャイナ・タウン/泰葉
14. 出航 SASURAI/寺尾聰
15. 熱き心に/小林旭

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部