まずは「吊し」の状態をおさらいしておこう。
レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。
通常のインディゴ染めの生地(14オンス)と、本藍染めデニム(バックヨークとベルトループに使用)の2種類の生地を使っている(さらにポケットスレーキにはライトオンスのデニムを使用)ので、それぞれの色落ちもレポートしていきたいところ。
シルエットはクラシカルなスタイルをイメージしたゆったりとしたストレートなので、バリバリのヒゲは出ないと思うけど、生地の凹凸が激しいスラブ感のあるデニムはピュアブルージャパンならではの色落ちが期待できる。
ちなみに前回までの記事は下記で確認されたし。
クルマのオイルで汚れてしまったのでさすがに洗濯しました。
よく、濃淡のはっきりとした色落ちのジーンズを穿いている人にインタビューすると、ほとんど洗濯しないと。先日アメリカのデニムブランドであるテラソンのオーナーのトニーにも聞いたところ、毎日、自分好みの色落ちになるまで穿き続けると言っていた。しかも洗濯は水で手洗い(洗剤は使わない)と、かなりストイックなことを言っていた。
確かに、まだジーンズがワークウエアだったころは乾燥機も無い時代。そんなに頻繁に洗濯なんかしていないだろう。
つまりヴィンテージジーンズがメリハリのある色落ちをしているのは洗濯をあまりしていないからという仮説も成り立つような。
そんなわけで今回チャレンジしている色落ち実験は、なるべく洗濯をしない方向で進めているってわけ。個人的には気になったら洗濯してしまう性格なので、そんな衝動をファブリックミストでごまかして、今月も洗濯しない(約)状態でがんばっていたのだけど、事件がおきた。
それは愛車のメンテナンス取材でプロに教わりながらメカニック作業をすることに。一応エプロンで作業をしたんだけど、さすがクルマイジり。地面に寝転がったり、クルマの足周りでゴソゴソと作業をしたことで、見事に油汚れやら廃棄ガスのすすやらでジーンズがかなり汚れてしまった。
実際の記事がこれ。
さすがにこのまま穿き続けるのは気分も上がらないし、周囲の人に対してもよろしくない。というわけで夏の終わりから我慢していた洗濯をすることに。今回もあえて家庭用の洗濯機を使い、家庭用のなんてことない洗剤で洗濯。何カ月ぶりだろ。
ジーンズを裏返しにして洗い、乾燥機はかけず、裏返しにして天日干しと何も特別なことはしないでみた。
するとやはり洗濯したてのジーンズは生地もパリッとしていて穿き心地も気持ち良い。さらに経年変化を見てみると、普段こすれやすい部分はインディゴのフェードが顕著に。
ヒゲ落ちもはっきりと出たし、腿のタテ落ちも白い点落ちが増えてはっきりとしてきた。
それに穿き始めたころに感じていた生地のゴワゴワとした感覚も皆無で、まさにシュリンク・トゥー・フィットを実感。穿き込みも半年を越えて、いよいよ自分のモノになってきた感覚を味わえるようになったぞ。
というわけでいつものように各ディテールの変化も見てみよう。
フロント部分のタテ落ちはかなりはっきりと。濃淡も表現されてきた。
膝の部分はタテ落ちが現れただけでなく、洗濯したのも手伝って膝小僧は白く色のフェードが進行。さらに生地は膨らんで膝がポッコリと出るように。クルマイジりで付着したガンコな油汚れは完全に取れず。まあこれもアジですな。サイドシームのセルビッジのアタリもイイ感じになってきた。
フロントの腿部分にはヒゲ状に生地のクセが記憶されてヒゲ落ちもしてきた。それだけでなくフロントポケットから腿にかけてのタテ落ちが進行。白い点がタテ状に、まるで雨のように連なることではっきりとした色落ちが確認できるようになった。「けっこう穿いてますね」と言われるレベルになってきた。
フロントポケット周りも生地にクセが付き、それに沿ってヒゲ落ちが現れた。ポケット口はかなり色落ちして白みが強くなっている。普段モノの出し入れをしているだけに、半年以上の穿き込みで雰囲気が出ることを実感。
バックポケットの右側は、普段ここに入れているロングウォレットのカタチに色落ちがはっきりと出現。隠しリベット仕様なので、左右のポケット口の左右上端はどちらもリベットのカタチにはっきりと色がフェードしてきて、もうすぐ縫製糸が切れるかも。ちなみにバックヨークに採用される本藍染めデニム生地はうっすらと全体的に色がフェードしていて、メインのデニム生地とはまた違った雰囲気になっている。もっとも負荷が掛かるヒップ部分だけど、糸切れなどのダメージはまだ見受けられない。
【基本データ】
トータル穿き込み期間:約8カ月
穿き込み頻度:週6日程度
トータル洗濯回数:5回
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