サンデーメカニックへの道。エキゾーストマニホールドのガスケットを自分で交換するぞ! [事件は現場で起きた編]

旧車に乗っていると、フルレストアされたクルマでもないかぎり、いろいろな要整備案件は出てくるもの。そんな修理やメンテをしながら乗るという作業は必須で、旧車好きにとってはそんなところをひとつひとつ克服してクルマが良くなることがうれしかったりする。そんなメカニカルな作業を少しでも自分でできればクルマへの愛着がさらに湧くのではないか? という想像のもと、サンデーメカニックな人になりたいとふと思った筆者であるラーメン小池。ちょうど愛車に異変が出たので、自分で作業するという無謀な挑戦をしてみるのであった。

その発端はいつもと違う排気音。これはマフラー周りの不具合のサイン。

クルマも人間のカラダと同じで不調があればその異変に気がつくモノ。今回は愛車の1974年式AMCジープ・チェロキーのエンジンを掛けて「おや?」っとなる。いつもより排気音がうるさく、車体後部のマフラーからだけではなく、前方からも排気音がするような。

しかも運転しているとパワーもいつもより出ていない気がする。これって排気が漏れてない? という素人なりの判断。

そこで主治医のBuddy Auto(バディオート)の水野さんに相談すると。おそらく「へダースのガスケットの劣化」だと。と言われてもクルマ好きでなければ「?」な専門用語。

わかりやすく説明すると、へダース(エキゾーストマニホールドやエキマニ、タコ足とも呼ばれる)とはエンジンの排気ポートに取り付けられているエキパイ(エキゾーストパイプの略)のマニホールドのことで、マフラーに繫がっている各気筒から出る排気を集合させてマフラーへと流すパイプのこと。

ガスケットとは金属同士のつなぎ目の密閉性を高めるために使うシール材のことである。要するに排気熱でシール材が劣化して排気が漏れているのではないかという疑い。

実は私のクルマは社外品の高効率のへダースにカスタムされていて、排気効率は高まって馬力は上がるし、排気音は心地良いけれど、ガスケットが消耗や劣化が早いのだ。おそらくそこが怪しいというわけ。

といっても、現車の症状を確認して診断なければ状況がわからないため、とりあえず診てもらい、ガスケットの交換であれば指導してもらえれば素人でもできるのか? と聞いたら「できると思うよ」との回答が。というわけでこの企画が生まれたのである。

果たして上手にできたのか? という「メカニック素人のただのアメリカ旧車好きの奮闘記」が幕を開けたのである。

筆者の愛車である1974年式AMC Jeep Cherokee。アメリカ車ならではの6.6LのV8エンジンを搭載したフルサイズモデル。しかもチェロキーの初代モデルという、今となっては珍しい1台。どうやら、どこかから排気が漏れている様子
クラシックジープひと筋のBuddy-Auto(バディオート)の代表である水野さんが今回の先生。国家資格の2級ガソリン自動車整備士の資格を持ったプロのメカニックでもあり、今回の作業を指導してくれる

まずは症状をしっかりと診断しましょう。

よくアメリカ人のクルマ好きと話をすると「自分で直した」とか「自分で組んだ」という話を聞く。アメリカでは趣味でメカニック作業をする人が珍しくなく、アメリカ好きの私はいつか自分も簡単な作業くらいは自分でやりたいと思っていた。まあ、クルマ好きなら誰もが憧れるところ。

というわけで、まずは車両を持ち込んで診察。エンジンをかけてチェックしてみる。

先生の診断は運転席側のへダースからの排気漏れは間違いないことが。ただ、考えられるのは排気漏れはガスケットの劣化(人間でいう軽傷)だけでなく、へダースの割れ(重傷)や、取り付けボルトが緩んでいるだけ(ケガ程度)の可能性もあるため、まずは取り付けボルトをすべてチェックしてみると、緩みは確認できず。

ということは残るは軽傷か重傷(笑)。というわけでへダースを外してガスケットのチェックをしなければいけないとのこと。ここからリアルなメカニック作業が必要に。

これが心臓部に鎮座するAMC製401V8エンジン(6.6L)。エンジンをかけると確かに排気音が正常ではない。というわけで耳を頼りに病巣をあぶり出す
排気音から「怪しい」と推測したのが運転席側の排気ポート(写真の金属製のパイプが伸びている付け根部分)。もちろん見た目ではわからないので、パーツを外して目で確認することに。いよいよ本格的なメカニック作業が必要に 

へダースを外して、ガスケットを診ることに。もちろん簡単ではなかった(汗)。

へダースはタテ置きのV型エンジンの場合は左右にある排気ポートにレイアウトされていて、このエンジンではそれぞれ6つのボルトで取り付けられているだけなので、素人考えで簡単な作業かと思いきや、これが想像以上に大変。

まずはへダースの上を通る4本のプラグコードを抜く。プラグコードは最後に同じ場所に挿し直さなければ点火の順番が変わってしまうので、元に戻せるようにハズしてへダースの取り付けボルトにアクセスする。

やっとボルトにアクセスできるが、ここは熱を帯びる部分なので、ボルトが錆びやすく、金属の膨張や固着もしやすいために、かなり力が必要な作業。しかも奥側のボルトに工具をアクセスさせるために、エンジン周りのチューブや他のパイプなどを縫うように腕を通さないといけないという難所だということが発覚。やはり簡単ではなかった。

自分でできるところまでやると提案したことを後悔し始める(笑)のであった。

手前(フロントノーズ)側のボルトには上からのぞき込めば工具がアクセスできるが、奥(ファイヤーウォール)側は脚立に登って腰を曲げてやっと届くという難所。しかも他のパーツを避けながら腕を伸ばし、ボルトもかなり硬く締まっているので、かなりの重労働に。ヘトヘトですわー
やっとの思いで外すことに成功した6本のボルト。排気の周りのパーツは高熱の排気にさらされるので、金属パーツの変形やサビなどが出やすい。ご覧のようにこのボルトもヘッド部分が錆びている

へダースのガスケットをチェック。

早くもふらふらになりながらへダースの取り付けているボルトを外すと、間に入っているガスケットを抜くことができる。実際に外して先生に診てもらうと、異常なまでのガスケットの劣化や損傷はみられないと。

「えっ? ここじゃないの?」と思ったら、次はマフラー側にあるフランジガスケットをチェックする必要があるとのこと。ガスケットってひとつではなかったのね。今度はへダースのボトム側にアクセスすることに。

ここは車体の下に潜って作業。地面に這いつくばって腕を伸ばしてレンチを操る作業がこれまた重労働。しかもフランジ側は2つのボルトで止まっているだけなんだけど、それぞれのボルトの大きさが違うという。もちろん、ボルトも排気熱で固着&サビ気味。

へダースを留めている6本のボルトを外してガスケットを取り出すことに成功。ただし確認してもらうとそれほど損傷が見られないとのこと。ってことは?
フランジガスケットも確認が必要ということで、今度は車体の下に潜って作業。これがかなりキツイ作業になったことはいうまでもない
写真右にある錆びたパイプがマフラーで、その上端がフランジ部分。こことへダースを接合している間にフランジガスケットが入っている

へダースの取り外しに成功。果たして症状は。

クルマの上から、そして下に潜っての繰り返しでついにへダースを外すことに成功。タコ足と呼ばれている理由がわかるフォルム。外して各部を先生にチェックしてもらうと、マフラー側のフランジガスケットに劣化を確認。おそらく排気漏れの最大の原因はここだと断定。

もっとも重症になるへダース自体の割れは無く、こちらはひと安心。ただ、へダース側にも排気によって黒く染みになっている箇所があり、ここも漏れがある可能性は否定できないとのこと。

ということでへダースのマニホールド側のガスケットと、ボトム側のフランジガスケットの両方を交換することに。

どちらも、交換用のパーツをストックしているところがさすがクラシックジープの専門店。症状は軽傷だったのでひと安心だが、作業は素人にはかなり酷なものであった。

「獲ったどー!」みたいな写真になってしまった(笑)が、やっとの思いでへダースを外すことに成功。上下でボルト計8本を外すだけなのに、かなりの時間を使ってしまう。こうもうまく行かないものかと、世のメカニックの方を尊敬するばかり
へダースのボトム側にある円形のリング(写真の一番下にパーツ)がフランジガスケット。こいつを診てもらうと明らかに劣化が確認できた
フランジガスケットの状態はボサボサした形状に劣化している。おそらく今回の排気漏れの最大の原因はここだと断定。ここも熱によってダメージを受ける消耗品なのだ
へダース側も確認してみると、エンジンの奥側の排気ポートに当たる部分が黒く変色していることを確認。ここもかつてか、現在か、いずれにしても排気が漏れていたことが推測されるので、せっかくだからここに入れるガスケットも新品に交換することに

先生が新たな問題を発見! やはり事件は現場で起きる。

へダースを取り外し、エンジン内部を目視でチェックしていた先生が「エンジンマウントも交換した方がいいね」と。「えっ? どこです?」と、教えてもらうと、エンジンとボディの間にあるマウントのゴムにひび割れが確認できる。これは交換するときにマフラー周りのパーツを外す必要がある場所なので、この際に交換した方が作業的には効率が良いとのことで、追加で作業することに。

もちろん、専門店なので交換用の新品パーツをストックしているのはありがたいが、これも素人が交換できるのか?

良いのか悪いのか追加作業も生まれ、1回の記事に収まらない事態に。

続きは次回の記事でお伝えします。

フレームに載っているエンジンとの間でショックを吸収するためのエンジンマウントにひび割れがあることを先生が発見。ガスケットを交換する前にまずはこっちを交換しようということに。これって素人が交換できるの? ヘビーな作業が増えたことは間違いない(笑)
こちらが新品のエンジンマウント。クラシックジープの消耗品はほとんどストックしているのが専門店の強み。今回使うのはオハイオ州にあるアンカー・インダストリーズ製のエンジンマウント、旧いアメリカ車でもメジャーなモデルとなれば今でもパーツが供給されているのはさすが

【DATA】
Buddy-Auto(バディオート)
神奈川県横浜市港北区新羽町1218-1
TEL045-534-0030

https://www.lucent-jp.com/

https://www.instagram.com/buddyautoyokohama/

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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