10年の沈黙を経て蘇ったハマーは高い環境性能と1000馬力を得た。
ハマーといえば湾岸戦争時などには、当時の映像で砂漠地帯を走る姿を見ることができた軍用車。もともとはアメリカのAMゼネラルというメーカーが軍用で開発したHMMWV(ハンヴィ、High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle)というモデルで、その走破性の高さと軍用に特化したスパルタンなスタイルを普段使いで所有したいというコアなユーザーの要望が高まったことが知名度を高めたモデル。そんな声に呼応して民生版として販売されたのが1992年。その後、GM(ゼネラルモータース)がAMゼネラルから販売権を得て1999年からハマーH1として販売され、2006年に販売が終了したという歴史がある。
さらには派生モデルとして、同じくGMから乗用車ベースのH2(シボレータホがベース)やH3(シボレー・コロラドがベース)といったハマーの弟分モデルも生まれ、日本にも多くの個体が輸入されアメリカンSUV人気を支えていたけれど2010年にハマーブランド自体が消滅していた。
H2やH3は今でも中古車として、かつて日本も輸入されたモデルをわずかながら見かけることはあるモデルだけど、実は本国アメリカでは10年以上の沈黙を破りハマーの名前は復活しているのだ。
ハマーといえばワイルドで豪快なディーゼルエンジンを搭載したH1のイメージが今でも強く残っているけれど、2021年にGMの持つブランドのひとつであるGMCからEVとして生まれ変わって販売されている。
EVといってもフロントにひとつ、リアに2つ搭載するモーターによって1000馬力をたたき出すという力持ち。往年の悪路走破性はさらに高めた仕様になっている。
おもしろいのはSUVモデルにオプションで搭載できるクラブウォークという機能。クラブとは蟹のことで、ステアリングを回すと4輪が同じ方向を向いてほぼ平行移動を可能にするという4輪操舵システムである。
そんな刷新された新世代ハマーはアメリカで発売されたピックアップのエディション1の限定モデルは10分で売り切れたという注目度であった。
当初はピックアップボディのみの販売だったけど、2024年モデルからはSUVボディも登場する。現代のハマーは戦場に行かない環境第一のモデルへと転生し、GMCが言うところのスーパーピックアップとしての新たな歴史を歩み出した。
SUV仕様も2024年モデルから投入される。
車体後部のオープンベッドをクローズドにしたSUVモデルが2024年モデルから追加され、こりゃGMCも本気だぞと思わせるハマーの新ラインナップとなる。それまでは既存のSUVやピックアップトラックの派生モデル的なイメージが強かったけれど、ハマーとしての歴史をしっかりと継続させていこうという意志を感じる。環境問題にセンシティブなアクティブ層にはうってつけのモデルになりそう。もはやドロドロとV8エンジンの咆哮を轟かせるばかりがアメリカ車ではないのだ。往年のV8を積んだクラシックなアメリカ車は週末の楽しみに、ウイークデイはEVのハマーで軽やかに走るなんていうライフスタイルも可能になった。
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