今注目の「SK8 Tシャツ」は、滲み出るストリートのハチャメチャさが面白い。

よく’90年代はストリートカルチャーの最盛期と言われる。特に今やレジェンドとなったスケーター達が好きに自分を表現し、新たな文化が生まれていった80年代末からの90年代初頭は、まさに激動の時代と呼ぶに相応しい。ここで紹介する当時のSK8(スケートボードの略)Tシャツから、そんな当時の「自由」な雰囲気を感じとってほしい。

あらゆるものをグラフィックに落とし込む、何でもアリな自由さも魅力。

「Repair Tonka」オーナー・T シャツコレクター・櫻井祐介さん|靴&バッグの修理クリーニングショップ、Repair Tonkaのオーナーを務めながら、生粋のTシャツフリークとしても知られる。SK8Teeのストックは、優に600枚を超える  Instagram:@dhedzz

スケートボード界にとって、’90年代初頭はストリートスタイルが確立するなど、まさに激動の時代だった。櫻井さんはそんな当時のTシャツに魅せられた1人。

「どんなところからもサンプリングしてきて、勝手にグラフィックに落とし込んじゃうっていう何でもアリなところだったり、ちょっと ? がつくものも多く、すごく社会に対してのアンチテーゼを感じたんです。パウエルなどで見られたスカルのグラフィックなど、カッコよくてカチッとしてた’80年代と比べても明らかな変化が現れていたので、それが一番最初に感じた’90年代の魅力でした」

またSK8Tシャツは、コレクションアイテムとしてもすごく価値があるものなのだと話す。

「デッキで使われているグラフィックでも、Tシャツで同じものがあるとは限らないですし、逆にこのデッキグラフィックのTシャツがあったんだ! という発見もあります。それに当時はエラー品やテストプリント品も流通させてましたし、同じグラフィックでもボディやプリント違いがたくさんあるんです。

良い意味で適当だったからこそ、掘り甲斐という意味でも魅力に溢れてるんです。ストックも博物館レベルになってきたので、自分のお店でポップアップをやったり、いつかは壁に全Tシャツを並べた個展をやって、来てくれた人に美味しいクラフトビールでも飲んでもらえたら最高ですね」

【1992年】Blind マルチプリント|表裏両面をマーク・ゴンザレスのアートで埋め尽くしたBlindのマルチプリントスウェット。どれを見てもゴンズらしさ溢れるグラフィックで、メッセージ性の強い文字も独創的でユーモアに溢れる。彼のファンならずとも、思わず気になってしまう一着
あのゴンズのアートが全面に!
当時のSK8 Tシャツは、掘れば掘るほど新しい発見があり、とにかくハチャメチャで楽しい。オリンピック競技にまで発展した今だからこそ、カルチャーを再定義してくれるこれらのアイテムは貴重と言えるでしょう
壁一面に山のように積み重なった櫻井さんのTシャツコレクション。これでもほんの一部で、まだまだ紹介したいものがあるというのだから驚きだ

「Repair Tonka」オーナー・櫻井さんおすすめのSK8 Tシャツ10選。

1.【1993~1994年】WORLD 系列 マルチプリント

World Industries、PLAN B、Blind、Bitch、Prime のワールド系列ブランドを一挙にプリント。工場スタッフがテストプリントで作ったものが市場に流通してしまったのだが、複数枚あるのは確認できている。POLICEの文字は謎。

2.【1993年】101 マルチプリント

アダム・マクナットのチャールズ・マンソンをメインに、下にはエリック・コストンのマリファナ。バックはPLAN Bのパッド・ダフィーと、World Industriesのデーウォン・ソン。FUCKED UPは失敗作の烙印だ。

3.【1992年】MSG クリスチャン・ホソイ

Milk Skateboard Goodsのクリスチャン・ホソイモデル。独特なタッチのグラフィックはマーク・ゴンザレス。バックにTRUCKER TRUCKSのロゴが入った曰く付き!? の一枚。

4.【1991年】POWELL PERALTA

ルディ・ジョンソン、ゲイブリエル・ロドリゲス、ガイ・マリアーノがBlindに移籍したこと対するPOWELLからのアンチテーゼ。出元はランス・マウンテンで本人のサイン入り。

5.【1993年前後】THRASHER

THRASHERマガジン系列のプリント工場にてテストプリントで使って捨てられていたものを、当時現場に出入りしていたプロスケーターのミッキー・レイズが拾い、取っておいたTシャツ。それを本人の直筆サイン入りで櫻井さんが直接買い取った一着。まるでリバーシブルのような両面プリントがインパクト絶大。

6.【1989年】POWELL PERALTA

パウエルピクニックと呼ばれる珍しいグラフィックが2つ入ったマルチプリントTシャツ。世界でもこれしか見たことがないことから、状態は悪くても、大切に保管している逸品なんだとか。

7.【1989年】WORLD INDUSTRIES

SMAとWorld Industriesが混在してた時代のTシャツ。バックにsplit personalityが入った貴重な一枚。黄色と青も存在するが、どちらにもこのバックプリントは入っていない。

8.【1992年】MSG チームT シャツ

 

ミルクスケートボードのチームTシャツ。グラフィックにGONZと書いてあるが、なぜマーク・ゴンザレスのグラフィックが採用されているのかは不明。タグはHanesのBEEFY

9.【1989年】FOUNDATION ROCCO SUCKS

KILLやSUCKSの文字が入った、スティーブ・ロッコを思いきりディスったTシャツ。当時のロッコは相当なやり手だったことから、一部の人間には相当嫌われていたのではないかと推測できる。

10.【1992年】WORLD INDUSTRIES ロドニー・ミューレン

ナチスドイツの支配者だったヒトラーを、犬に仕立て上げてしまうという攻撃的なグラフィックのロドニー・ミューレンモデル。当時らしい、政治色の強い、メッセージがこもったパンクな一枚だ。

(出典/「Lightning2023年11月号 Vol.355」)

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