実録! デニムの色落ちレポート【真夏の修行編】

ジーンズ愛好家がもっとも楽しみなのは新品のデニムを穿き込んで育てること。育てる? どういうこと? な人もいるかもしれないけれど、デニムは穿き込むことで色落ちし、生地が変化し、穿き手それぞれのライフスタイルが刻まれるかのように経年変化していくのがおもしろさのひとつ。とくにジャパンブランドのデニムは、ヴィンテージジーンズさながらの生地や仕様を踏襲しているモデルが多く、経年変化の美しさは群を抜く。そこで、1本のジーンズがどのように色落ちしていくかをレポートするのがこの記事なのです。

色落ちレポートするのはこのモデル。

レポートするのは雑誌ライトニングと日本のデニムブランド「ピュアブルージャパン」がコラボし、誌面で受注販売したマルチインディゴ・クラシックストレートが実験台。

通常のインディゴ染めの生地と、本藍染めデニムの2種類の生地を使っている(さらにポケットスレーキにはライトオンスのデニムを使用)ので、それぞれの色落ちもレポートしていきたいところ。

シルエットはクラシカルなスタイルをイメージしたゆったりとしたストレートなので、バリバリのヒゲは出ないと思うけど、生地の凹凸が激しいスラブ感のあるデニムはピュアブルージャパンならではの色落ちが期待できる。

ちなみに前回の記事は下記で確認されたし。

実録!! デニムの色落ちレポート【猛暑の夏前編】

実録!! デニムの色落ちレポート【猛暑の夏前編】

2023年08月23日

1カ月穿き込んで洗濯、そしてそこからさらに1カ月の穿き込み。

これを穿き始めたのは2023年の5月、そして今回のレポートは約2カ月穿き込んだ7月時点の状況。前回裾上げ後に一度洗濯をして、各所にパッカリングが出てきたくらいで、さすがに2カ月では目に見えるほどの変化は無いと思っていたら、よく見ると日常生活でこすれる部分などには色落ちがうっすらと確認できる。

というのも日本全国を襲った猛暑日の最中(この記事を執筆中も猛暑ですが)、週5日程度穿いているとさすがに汗をかくこともあって、耐えきれず洗濯したってのも色落ちした理由なのかもしれない。

全体の青みはまだまだ新品のジーンズといったところだけど、前回の洗濯で生地にたくさんの毛羽立ちが見られたのも、そこから穿き込むことで毛羽立ちもいつのまにか気になるほどでは無くなってきたことに気がつく。

じつはデニム特有の最初に現れる毛羽立ちは、染まっていないヨコ糸にまとわりついている余分な毛羽が穿いたり洗濯したりすることで、糸から離れて出てくるもの。

要するに余計な毛羽なので、生地が傷んでいるわけではなく、穿き込んでいくことで次第に出なくなっていく。インディゴに染まっているタテ糸は、染色時に余分な毛羽が落ちていくため、染まっていない紡績しただけのヨコ糸は、白い毛羽が穿き始めには出てくるってわけだ。

ディテールを見てみると2カ月の穿き込みではあっても、少しずつ経年変化をしていることが判明。まだパッと見では生地が馴染んだ程度に見えるけど、着実に変化はしてきている。

まだまだ猛暑が続くけれど、暑さをデニムへの情熱という熱さに変えて、めげないように穿き込みしていく所存(笑)。

ディテールをチェック!

バックヨークやバックポケット上部などにパッカリングが出てきた前回。さらに1カ月の穿き込みで、パッカリングの凸部分にはうっすらと色落ちが。またバックポケットの上部のそれぞれの端が隠しリベット仕様なので、ここも色落ちが始まっている
腿のフロント部分にはうっすらと白い点落ちが見え始め、タテ落ちしていきそう。前回気になっていた生地の毛羽立ちも気がつけば気にならない程度になってきて、ここからさらにはっきりとタテ落ちが出てくるのではと期待が膨らむ
外側のサイドシーム部分には生地のセルビッジが裏側に使われていることで生まれるアタリが出てきた。チェーンステッチで仕上げた裾の縫製部分も凸部分は色落ちが始まって、メリハリのある裾になっていきそう

【基本データ】
トータル穿き込み期間:約2カ月
穿き込み頻度:猛暑日のなか、週5日程度(汗)
トータル洗濯回数:3回

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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