今回は塊根植物愛好家にも人気のサボテンを紹介する。
サボテンながら塊根植物好きにも愛される品種。
塊根植物愛好家の間でも、特に人気の高いサボテンとして知られるコピアポア・シネレア。
蝋質のブルームが乗った白い肌と黒い棘が特徴的で、日本では「黒王丸」(こくおうまる)の和名で呼ばれ、近年の植物ブームの中でも常に注目され続けているサボテンです。
今回は、そんな黒王丸について少しご紹介させていただきます。
南米チリのアタカマ砂漠に自生する稀少サボテン。
黒王丸の故郷は南米チリのアタカマ砂漠。この砂漠地帯の斜面や丘に自生していて、何十年もかけて仔吹きし群生株へと成長していきます。
小種名のシネレア(cinerea)は、灰色という意味を持つラテン語(cinereus)に由来するそうです。灰色に由来する名のとおり、肌が蝋質の白いブルームに覆われています。
黒く艶やかな棘も特徴であり、白い肌と黒い棘による美しいコントラストは和名の「黒王丸」の名にふさわしい姿といえます。
ちなみに、自生地のアタカマ砂漠は年間の降水量が数ミリから数十ミリと、ほとんど雨が降らない地域として知られています。
いくらサボテンといえど、水分が全くない状態で生き続ける事は不可能です。ほとんど雨の降らないアタカマ砂漠ですが、太平洋沿岸に位置する海岸砂漠でもあり、海からの湿った空気が流れ込むことで、沿岸の地域は朝夕に霧が発生するそうです。
この霧が地表にもたらす僅かな水分と極まれに降る雨のおかでで、厳しい環境下でも逞しく生き続けていると考えられています。
カキ仔でも古木のような佇まい。
アタカマ砂漠のみに自生する黒王丸ですが、現在は自生地で野生の個体を採取することが禁止されているため、現地球と呼ばれるような株(原産地で育った野生の株)は入手ができなくなっています。
こちらの個体は、10年以上前に輸入され、日本国内で長年大切に育てられている個体から株分けされたカキ仔(子株)です。
親株の特徴を受け継いだ白い肌と黒く太い棘は、カキ仔ながら古木の様な雰囲気が漂います(この画像の個体は6万4900円)。
野生の個体は採取されませんが、こちらのようなカキ仔や種子から育成された実生株の流通があるため、黒王丸の入手は日本でも可能です。
小さな実生株であれば、数千円から1万円前後の個体もあり、育成自体も特段難しい品種ではありませんが、白い肌に育て上げるには水遣りの量の見極めや、長い年数を要するため、やや難易度が求められるといえます。
しかし、長い年数をともに過ごしながら手塩にかけた個体には、きっと代えがたい愛着が生まれるはずです。
私も大好きなサボテンである黒王丸。
最近は、一時期と比べ実生株も入手しやすくなってきたように感じます。
入手しやすくなったこのタイミングに、実生株からの育成もオススメのサボテンです。
【DATA】
BIZARRE GREEN
長野県長野市篠ノ井布施高田879-1
TEL026-247-8160
営業時間:11時~20時 火曜定休
https://www.bizarre-green.com
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