ヘルメットにも味わいを。ハンドペイントで描き出す、経年によるひび割れと味。

経年変化による艶引けやクラック、サビは、風合いや味といわれる魅力のひとつ。持ち主の歴史を刻んだ風合いを職人の手作業によるエイジングで再現した逸品は、ヴィンテージ同様に唯一無二の存在感を放っている。

職人が手作業で仕上げた、唯一無二の風合い。

「TT&CO.」代表・高橋広之さん|2000年にカスタムショップ「TT&CO.」をスタート。ヴィンテージヘルメットに魅了されたことをキッカケに、自らもヘルメットを手がけるようになった。旧車好きで、ヴィンテージレースにも参戦している

「昔は『旧車』じゃなくて、『中古』って呼ばれていたんですよ。新車が買えないから、中古車を手に入れてイジっていました」

懐かしそうに語るのは、ヘルメットをメインにバイカーアイテムを展開する「TT&カンパニー」代表の高橋広之さん。江戸川区の下町出身で、昔から古いモノに親しんでいたという。

「幼い頃は裕福じゃなかったので、新しいモノを買ってもらえなかったんです。スーパーカーライトの自転車が流行ったんだけど、自分は蕎麦屋の中古の自転車を修理して乗っていました(笑)」

旧いモノをできるだけキレイにしていたが、バイクに乗るようになると変化していったという。

「旧いバイクに塗装し直したタンクを載せるとバランスがおかしくなるんです。だからワザと汚したりしました。ナンバープレートもピカピカで違和感があるから、外して踏んづけたりしてね。当時はみんなやっていましたよ」

旧いモノにマッチする味わいを追求。そのコダワリは、同社が手がけているヘルメットのエイジング加工にも引き継がれている。

「実際に人間が使い込んだようなリアルさが大切なんです」

試行錯誤を繰り返し、塗装のヒビ割れを再現する「リアルクラックペイント」、FRP樹脂のファイバーグラスのクロス目を露出させる「ファイバーグラスエクスポーズド」という技法を開発。現在、これらの技を駆使したブランド「HIROパティーナアートスタジオ」を展開している。ちなみにパティーナは、英語で「経年変化の味わい」という意味だ。

「当時モノの持つ『凄み』をどこまで出せるか、追求するのがエイジングの醍醐味なんです」

リアルクラックを再現した世界に一つだけのヘルメット。

「オンリーワン」シリーズは「世界に一つとして同じものはない、Only Oneのヘルメット」がコンセプト。さまざまなアーティストによる1個限定のプロダクト。そのひとつが代表の高橋さん自らが手がける「Hiroパティーナアートスタジオ」のヘルメットだ。写真のヘルメットは高橋さんの私物。

チェッカーフラッグをモチーフにしたグラフィックにエイジングを施した。シェルにダメージを与えず、表面にだけクラックを入れるという独自の技術で、リアルな風合いを再現している。

’60年代ヴィンテージのディテールを追求。

スモールタイプの「スーパーマグナム」シリーズ。ヴィンテージをイメージしたエイジング加工モデル「ディストーションシリアスVLタイガー」。職人が手作業でペイントやレザーに加工を施している。予約販売のみ。5万9400円

ペイントにエイジング加工を施し、トリムにはクラックが入った特殊な鞣しの牛革を使用。ロウ引きされた麻糸をシェルに貫通させて縫い付けしている。’60年代のヴィンテージモデルをイメージした「革巻き」という独特な膨らみが特徴。

職人手づくりの技を極めた少数限定生産品。

12月23日から予約販売を開始した「ザ・リアルクラックインペイント&スタッズ」。シェルにはリアルクラックペイント、ベルト部分のレザーにもクラックが入った特殊な鞣しを採用。スタッズで装飾された豪華仕様だ。9万9000円(税込)

【DATA】
TT&CO.
東京都江戸川区新堀2-1-8 1F
03-6638-8805
営業/13:00~17:00
休み/水・日曜
https://www.ttandco.com/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年2月号 Vol.346」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

70を超えるレザーブランドが集う! 「Leathers Day TOKYO 2026」が五反田TOCビルで9月26・27日開催!

  • 2026.08.30

雑誌『Lightning』と兄弟誌『2nd』『CLUTCH Magazine』の3誌による、レザー好きのための大規模イベント。4度目を迎える今年は、初の東京会場での開催が決定! 普段なかなか手に取って実物を見ることができないブランドや、このイベントでしか手に入らないアイテムが揃う特別な2日間。さらに...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

Pick Up おすすめ記事

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4人が集結! EDWINと考えるトラッド学

  • 2026.09.15

本誌でも何度も紹介してきたEDWINのコンセプトショップ限定アイテムは、普遍的なデザインとそのクオリティの高さから2ndが理想とするトラッドスタイルともばっちりハマる。今回は初の試みとして、2ndとEDWIN両チームの世代の異なる4名で“EDWINで作るトラッド”を考えてみた。 20代らしくアクティ...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...