「デザインアンダーグランド」主宰・松崎順一さん
42歳で脱サラし、2003年より家電の蒐集家として独立。ラジカセを中心に’70年代以降の家電の蒐集・整備・カスタマイズを手がける。イベント企画や著書も多数。www.dug-factory.com
インテリアにもオシャレ日本が世界に誇る発明品。
近年、ハイレゾに代表される高品質のデジタル音源に対して、より生音に近い音が再現できると、音にこだわるミュージシャンやオーディオ愛好家にカセットテープ人気が再燃している。なかには、新譜をアナログレコードに加えてカセットテープでリリーするアーティストも少なくない。
カセットテープ人気の再燃とともに、再生メディアでもあるラジカセの人気も再燃中のようだ。
実際に、2020年7月より渋谷の東急ハンズに「デザインアンダーグランド・シブヤベース」なるヴィンテージラジカセの修理・販売の専門店も登場した。
店主・松崎順一氏はヴィンテージラジカセ修理販売歴20年以上という、界隈では知らぬ者がいない権威でブームの立役者でもある。
「ラジオとカセットはそれぞれ海外で生まれたものですが、それを合体させたのが日本です。ラジカセが生まれたのは1968年のことですが、うちでは僕が勝手に言っているんですがデザインや機能的にも素晴らしい “ラジカセ黄金期” である1975~’85年の日本製を中心に扱っています」
確かに今見ると、メカっぽくて骨太なデザインはインテリアにも最適。家にかつて青春時代に自分で編集したテープが大量に眠っているという人にはオススメだ。
整備済みを選んで故障リスクを回避せよ。
松崎さんがラジカセの修理・販売を始めた約20年前はごく一部の人を除いてほとんど見向きもされなかったそうだが、ここ数年は修理も半年待ち、販売品も人気が高く価格も上昇傾向だそう。
価格はレア度や市場の人気で変わるが1台2万円台から高い物だと20万円を超える物もある。
街のリサイクルショップなどでは安価な物も見かけるが、多くはジャンク品なので注意が必要だ。
「ジャンク品は修理の必要がありますが、もうパーツがないのでメーカーでも直せません。でも、僕はこれまでに何千台と修理してきたので大体壊れる場所も把握していますし、ないパーツは作るのでしっかりと動く状態で販売しています」
安価なジャンク品を入手して、いざテープを入れたら動かなかったり、またテープが絡まって2度と聞けなくなるあの悲劇を繰り返さないためにも、整備済みの物を選ぶのがポイントだ。
この人気がどこまで続くかはわからないが、アナログレコードと同じくこの先もなくなることはないはず。ただし、ラジカセは徐々に数が減少し、それに伴い価格上昇も予想されるだけに、気になる人は見つけ次第ゲットが吉だ。
市場価格を知る!
1969年頃に日本で生まれたラジカセ。1975 ~’85年のラジカセ全盛期の頃には各メーカーが年に1~2回は新作を制作していたため、在庫数でいえば日本には相当数眠っているはず。
だが、そのほとんどがジャンク品で、パーツの入手も不可能なので素人ではなかなか修理しづらい。入手するならマニア向けに修理して販売するショップや個人からが得策。安い物だと2万円前後でも入手可能。
AIWA TPR-101
VICTOR RC-212S
SONY CF-1480
SONY CF-5950
SONY CF-6500
SONY FX-300
COLUMBIA RN-3500M
National RQ-535
SHARP GF-535
SHARP MR-990
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約10年前からテープ人気の影響でヴィンテージラジカセも需要が増加傾向。まだ市場に在庫は多数眠るが、多くがジャンク品のため修理が必要。きちんと整備された人気モデルの美品は価格も上昇傾向だ。気になるラジカセに出会えたら、迷わず購入が吉かもしれない。
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「Lightning2022年6月号 Vol.338」)
Text/M.Terano 寺野正樹 Photo/H.Yoda 依田裕章 取材協力/ デザインアンダーグランド www.dug-factory.com
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