1.タフで使い勝手がよくて買い直せるのがワークウエアの本質。|「HITS.Co」中嶋敏嗣さん
高所作業者の仕事に従事しながら個人名義HITS.coとして内装のデザインから施工、オリジナル家具まで製作する中嶋さん。西海岸カルチャーにも精通する彼のワークウエア選びは、やはりアメリカを向いていた。
「基本的にワークパンツはディッキーズを愛用しているのですが、頑丈で使い勝手がよく、すぐに買えるというというのがワークウエアの本質だと思うんです。あくまで作業着なので実用優先。内装業だと脚立を登ることも多いので、ストレッチの効いたフレックスはかなり便利。冬は必ずカーハートのワークベストを上に着ます。外で作業するわけじゃないから、このボリューム感で十分ですね」
この日着ていた秋冬の防寒アウターとして使っているカーハートのワークベストは、バイク乗りが使っていた古着を中嶋さんのオリジナルワッペンでカスタマイズしているもの。
2.薄くて動きやすいライトオンスがベスト。|「ブラスシューカンパニー」松浦稔さん
東京を代表するシューリペア&カスタムショップであるブラスシューカンパニーの代表を務める松浦さん。オリジナルブランドのクリンチの製作も手掛けており、日々靴作りと向き合っている。そんな松浦さんのワークウエア選びは実にシンプルだ。
「屋外で作業するわけではないので保温性はまったく必要なく、自分が求めるのは動きやすさです。そうなると多少タフさは劣るかもしれませんが、ライトオンスの生地を使ったワークウエアに行き着きました。靴をリペアするように破れたら直せばいいだけですし、ヴィンテージでもまったく気にせずに使っています。接着剤などで汚れてしまうので、頻繁に洗濯をしますが、エイジングを楽しむって意識はないかもしれませんね」
着用のカバーオールは1910年代のカバーオールをモチーフにしたBSCユニフォーム。タフなコットンツイルを使っており、ヴィンテージのような佇まい。オーバーオールはブラスシューカンパニーのオリジナルであるBSCユニフォームのウエストオーバーオール。ライトオンスデニムを使っているのがポイント。
3.アメリカンガーデナーが求めるものはトゲが刺さらない頑強さ!|「オーシャンサイドガーデン」代表・井坂道永さん
常にカリフォルニアの最先端のドライガーデンを造成する井坂道永さん。
「もともとサボテンが好きで、その庭を造りたい! から始まったんです。もちろんアガベやユッカもやりますが、近年は世界的なトレンドになっているカクタスガーデンが中心ですね。あとは最近の新しい流れとして、アロエも取り入れ始めました」
そんなリアルワーカーがチョイスするウェアにはこんな明確な理由が。
「この環境だとトゲの問題に行き着くんです。いかに刺さらないかを基準に探し続けた結果、行き着いたのがカーハートのダック地でした。ただ頑強性がある生地は、基本的に厚手で保温性が高いので年中使用できません。夏場は薄手のものを選んだり、季節に合わせて種類や素材を使い分けています」
愛用のグローブは日本未入荷のカーハートのガーデニンググローブ。最近アメリカに行った際に気に入って購入した。頑丈な作りで他と比べてトゲが刺さりにくいのが特徴で、作業時にとても重宝しているそう。
4.日本ブランドのワークウエアが実は機能的!作業着は動きやすさとシルエットで選ぶ。|「J-MOTORS」瀬法司敏功さん
ヴィンテージカーのメカニックであり、アメリカのヴィンテージプロダクツのコレクターとしても知られるJ-MOTORSの瀬法司さんだが、作業着は現行品がほとんどだと言う。
「ヴィンテージのワークウエアを集めていた時もありますが、実際の作業では機能と丈夫さが最優先なのでヴィンテージは向いていない。珍しい物は壊れたら買い直せないし、歳をとってより機能を気にするようになりました」。
瀬法司さんが重要視するのは作業のしやすさとシルエット。そこで最近はヴィンテージを意識した日本のワークウエアを愛用している。アメリカのワークウエアに比べてシルエットがスッキリとしたモノが多いので、デザインはヴィンテージそのままで日本人の体型に合うのがチョイスの理由だ。
金属加工の作業時には’40sのデニムエプロンを愛用。溶接機やグラインダーを使う際は、火花で作業着に穴が開いてしまうのでデニムエプロンが必須。’40sらしいシンプルなデザインが◎
5.オイル跡が滲むワークウエアにリアルなアメリカの雰囲気が漂う。|「SALT SHAKER」鈴木亮佑さん
浜松のヴィンテージカーショップ『ソルトシェイカー』の鈴木さんは、仕事の日も休日も365日アメリカのワークウエアに身を包むリアルワーカー。鈴木さんのクルマのスタイルには時代感への思いが強く感じられるが、ワークウエアに求めるのはタフな素材であることと安価に買い直せること。そしてできる限りMADE IN U.S.A.であることにこだわっているのだと言う。
「Hot RodやKustomが好きでこの仕事をしているし、休日も旧車に乗るから出先で何かあった時に、お洒落しているからクルマの下に潜れないってわけにはいかない。だから結局毎日ワークウエアなんです。綺麗に着るより目一杯使って汚した方が本来の着こなしだと思います。アメリカのカーガイたちもきっとそうでしょ」
溶接やグラインダーの作業時はデニムエプロンを愛用。静岡・愛知でのみ展開するホームセンター「ジャンボエンチョー」で買えるデニムエプロン。アメリカ製ではないが、壊れても安価に買えるということもワークウエアの重要な条件。
◆
動きやすさや丈夫さなどの実用性を追求して、それぞれのワークスタイルに合わせて選んだこだわりのウエア。結果としてそれがカッコよさにつながっている。
(出典/「Ligthning 2021年11月号 Vol.331」)
Text/S.Sato 佐藤周平、Y.Yoshida 吉田佳央、Y.Kinpara 金原悠太 Photo/S.Kai 甲斐俊一郎、Y.Yoshida 吉田佳央、M.Watanabe 渡辺昌彦
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