1.【POWELL PERALTA(パウエル・ペラルタ)】チームビデオの製作で一世を風靡した伝説のスケートチーム。
博士号を持つジョージ・パウエルとプロスケーターのステイシー・ペラルタによって1978年に設立。’80年代にはスティーブ・キャバレロ、トニー・ホーク、マイク・マクギル、ランス・マウンテン、トミー・ゲレロらを擁したスケートチーム、BONESBRIGADE で世界を席巻。現在のスケートの基盤を築いたスケートブランドとなった。
Steve Caballero”Dragon Pig”(1983)
まだフィッシュテールに形状になる前、スティーブ・キャバレロの初期モデル。ヴァーナン・コートラント・ジョンソンによるドラゴンのグラフィック。
Steve Caballero”Dragon and Bats”(1989)
同じくヴァーナン・コートラント・ジョンソンによるドラゴングラフィックのキャバレロモデルの後期。様々なカラーが出ているがこのカラーはかなりレア。
Tony Hawk”Iron cross” 7PLY(1988)
1988年のデッキながら初期モデルは1983年にリリースされたトニー・ホークの人気のグラフィック。このピンクカラーはなかなかお目にかかれないレアモデル。
Per Welinder”Nordic Skull” 7PLY(1988)
北欧にルーツを持つパー・ウェリンダーらしいモデル名。当時はロドニー・ミューレンに匹敵するフリースタイラーでストリート用に作られた一本。
Tommy Guerrero”Flamming Dagger” XT(1987)
他モデルに比べノーズが丸みを帯びたトミー・ゲレロモデル。トップロゴに記載されたXTの文字は高耐久モデルを示すものだったが、その分重みも増してしまった。
Mike McGill”Skull Snake Skin” XT(1987)
スカルに蛇が巻き付いたマイク・マクギルのモデルで、こちらもXT(Extra Tough)仕様。他モデルも含め、当時のPOWELL はスカルモチーフが多かった。
Mike Vallely”Elephant” 7PLY(1988)
マイク・バレリー本人のサインが入ったシグネチャーモデル。彼のモデルと言えば象をモチーフにしたものが多いが、それはこの頃にはすでに始まっていた。
Tony Hawk モデルのステッカー
トニー・ホークのモデルによく描かれている人気のスカルグラフィックをそのままステッカーに。モチーフは名前がホークなだけにもちろん鷹。
チームモデルのTシャツ
バナーと同じデザインがプリントされたPOWELL PERALTA のチームモデルのT シャツ。書かれたサインはライダーだったランス・マウンテンによるもの。
Rodney MullenモデルのT シャツ
チェスボードをモチーフにしたロドニー・ミューレンのモデル。彼自身がチェス好きだったのか、デッキでも様々なカラーがリリースされている。
POWELL PERALTA のバナー
1981年製のPOWELL PERALTA のデッドストックバナー。ヴァーナン・コートラント・ジョンソンのデザインで初期のキャバレロモデルと同じ龍がモチーフ。
Mike McGillモデルのTシャツ
マイク・マクギルが16 歳の時にBONES BRIGADE 入りをしたことを記念して製作したTシャツ。サイドに置かれた証明書が価値の高さを物語っている。
2.【SANTA CRUZ(サンタクルーズ)】巨匠ジム・フィリップスの圧倒的な世界観。スクリーミングハンドのロゴでおなじみ!
1973年にアメリカ北カリフォルニアのサンタクルーズにて設立。元々はサーフブランドとしてスタートしたものの、後にサーフボードの余剰資材を用いて制作した頑強なデッキが支持を集めるようになる。アーティストにジム・フィリップスを起用したことで、永遠の名作“スクリーミングハンド”が生まれ、爆発的な人気を得た。
Jeff Kendall “Atom Man”(1990)
同じくBLACKTOP シリーズのジェフ・ケンダルモデル。アメリカから発射されたミサイルを捕まえているところに強いメッセージ性を感じる。
Rob Roskopp “face”(1988)
タイトル直球の顔を前面に描いたロブ・ロスコップのモデル、フェイス。BLACKTOP シリーズは表面を光沢のある黒でコーティングしたもの。
Tom Knox “Ghoul”(1989)
SANTACRUZ といえばジム・フィリップスだが、これはケビン・マーバーグによるデザイン。よく見ると炎がKNOXになっていたりと手が込んだグラフィック。
Natas Kaupas “Bull Dog”(1987)
DOGTOWN のデザインで有名なブルドックアートことウェス・ハンプトンがデザインしたナタス・カウパスモデル。サンタモニカエアラインとのコラボ。
Jeff Kendall “Snake”(1989)
ジム・フィリップスとジャスティンフォーブスデザインのジェフ・ケンダルモデル。よく見ると蛇の柄にKENDALとSANTA CRUZ の文字が隠れている。
Jason Jessee”Neptune shark Tail”(1988)
ジェイソン・ジェシーのシグネチャーモデル。彼のモデルがは太陽の神を象ったモデルが多く出ているが、これは海を司るネプチューンがモデル。
Corey O’Brien “Reaper”(1987)
死神が火の玉を放つグラフィックはコーディ・オブライエンのシグネチャー。スクリーミングハンドに次ぐ人気を誇るデザイン。
Jeff Grosso “Demon”(1987)
ノーズの先端をカットしたようなシェイプのジェフ・グロッソモデル。天使が人を襲う悪魔を縛り上げるグラフィックはジム・フィリップスによるもの。
Steve Alba “Tiger”(1990)
シェイプがダブルキックになる直前、1990 年リリースのスティーブ・アルバのシグネチャーモデル。彼のモデルはSALBA と書かれることが多い。
SANTA CRUZ のロゴバナー
ブランドの定番ロゴをあしらったバナー。これも’80 年代当時のオリジナル。シンプルなデザインだからこそ圧倒的な存在感。
Jason Jessee「Sun God」のモデルプレート
ジェイソン・ジェシーモデルによく描かれている太陽の神が描かれた楯。ジム・フィリップスによるテストプリントとも言われているが真偽は定かではない。
Jeff Kendall モデル「Atom Man」のTシャツ
デッキと同じ柄で強いメッセージ性を放つジェフ・ケンダルモデルのTシャツ。当時は同じグラフィックで様々なアイテムが作られていた。
3.【VISION(ビジョン)】スケートと音楽をクロスオーバーさせたブランド。
1976 年にカリフォルニア州のオレンジカウンティで誕生。’80 年代にはマーク・ゴンザレスやデュアン・ピータース、マーク “ゲーター” ロゴスキーら一癖も二癖もある人気ライダーを抱え、パンクロックスピリットを感じる大胆なグラフィックでスケートボード×ミュージックカルチャーをミックス。独自のスタイルを築き上げた。
Mark Gonzales “Man and Woman”(1989)
マーク・ゴンザレス自らがデザインしたデッキ。フロントには若かりし頃の本人が描かれている。当時から彼の独特な世界観は変わらない。
VISION ’80s デッドストックシューズ
’80 年代に人気を誇ったワッフルソールのハイカットシューズ。VISION がシューズを作ると、よりハードコアな印象を受ける。
“スタイル”を確立した’80年代スケートカルチャー。
スケートボードは自分がやって楽しむものであることに間違いはないが、アートの視点で見てもとても面白い。ここで紹介したPOWEL PERALTA やSANTACRUZ、VISION のギアは世界有数のスケートボード・コレクターであるジェルヴァゾニ・ローランさんの膨大なコレクションの一部に過ぎない。
「最初は自分が子供の頃に乗っていたトニー・ホークのデッキが欲しくなって知り合いのスケートショップに聞いたことが始まり。それから当時のグラフィックについても調べていったら様々なストーリーがあってとても奥が深いことに気づきました。次から次に欲しいものが出てきて、気付いたらとんでもない数になってしまいましたね(笑)」
もともとプライベートで絵を描くほどアートが好きだったローランさんは、こうしてスケートボードが持つアーティスティックな側面に惹かれていった。
「サーフィンやスノーボードの場合は実際に乗ってもグラフィックが傷つくことはありませんが、スケートボードはちょっとスライドトリックをしただけですぐ削れてしまうから、昔のオリジナルデッキがグラフィックもそのままで程度がいい状態で残っていることはほとんどないんです。世界的にも珍しいアイテムなんですよ。やっぱりそういうものって欲しくなるじゃないですか」
そのような貴重なコレクションの中でも、今回紹介した’80年代のデッキは特にアーティスティックだという。
「’70年代に生まれたプールライディングのおかげで、デッキの裏面を見せられるほどトリックが進化しました。そこからグラフィックを施すようになったのですが、最初はマジックで書いたり、ロゴだけをあしらったシンプルなものでした。それが’80年代になると色使いからイラストまでカラフルでポップになるんです。そこのヒストリーは本当に面白いですよ」
’80年代という時代は音楽やファッションとスケートボードが結びつき始めた時代。だからデッキのグラフィックにはストリートカルチャーのルーツが詰まっていると言っても過言ではない。
▼60年代、70年代のスケートボードの変遷はこちらの記事をチェック!
(出典/「Lightning 2018年4月号 Vol.288」)
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