USAカルチャー通5人が、この道にドップリ浸かるきっかけになったモノが知りたい!

  • 2023.02.21  2019.07.30

「あるモノに出合ったことで、人生が大きく変わった!」なんて経験、誰しもあるのではないだろうか? 映画、ジーンズ、バイク、本……きっかけとなったものは人それぞれ。アメリカンカルチャーのさまざまなジャンルに精通した5名の気になる「人生を変えたモノ」とは、何だったのだろうか?

1.『ザ ファットハッター』代表・菊池章仁さん×’40年代頃のハットの木型

文化服飾学院を卒業後、帽子メーカーで企画などを手がける。その後、25歳という若さで独立し、2016年より『ザ ファットハッター』をスタート。日本を代表するハットのクラフトマンである。

『ザ ファットハッター』の菊池さんは服飾の専門学校を卒業後、大手帽子メーカーに就職。そこでキャリアを積み、20代で独立した。数多くの人気ブランドのOEMなどを手がけるなど順風満帆な印象ではあるが、あるジレンマに悩まされていた。そこで転機となったのが「人生を変えたモノ」との出合いだった。

「基本的に信頼できるファクトリーに生産を依頼していたので、自身のハンドメイドで1から作るということはしてなかったんですよ。OEMの取引先から特殊なオーダーがあっても、工場の設備や技術に任せることしかできないことにジレンマを感じていて。そもそも日本にはハットの原型となる木型を製作できる工場がありませんでした。そして10年ほど前にアメリカ出張で、1940年頃の木型に出合います。それを日本に持ち帰って、このようなものを作って欲しいと様々な工場を訪れました。そして紆余曲折を経て、どうにか木型を製作し、ハッターとして活動することになったんです」

1940年代のハット用木型。

ハットを作る上で欠かすことのできない木型。これは1940~’50年代に使われていたもの。本来はブリム用の木型もセットだが、このクラウン部分のみ見つけることができた。LAのフリマで売られていた。

2.『フェイクアルファ』店長・澤田一誠さん×’50年代のアメリカ映画に登場した『デュラブル』のライダース

1996年に入社した最古参スタッフ。2002年に店長職となり、アメリカへのバイイングも担当。フェイクアルファの顔であり、テレビ東京の『開運! なんでも鑑定団』の鑑定士としても活躍している。

東京・渋谷の老舗ヴィンテージショップ『フェイクアルファ』の顔である店長・澤田さんが10代の頃から頻繁に見始めた1950年代を舞台にしたアメリカ映画。そこに登場した俳優たちが身に着けていたライダースジャケットやジーンズが澤田さんの人生を決定づけた。特に『ザ・ワイルド・ワン』でジョニーが着用していたライダースジャケットは、澤田さんの執拗なまでの検証によりデュラブル社のものであることが判明。ヴィンテージ好きにとってはもはや常識的な知識になっているそうだ。

「マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンなどの俳優たちの劇中のスタイルのカッコ良さに憧れを抱いていました。少し不良っぽい映画が好きだったんですね。特に『ザ・ワイルド・ワン』に関しては、ジョニーが着用するライダースジャケットがどこのメーカーのものなのか、何度もレンタルショップでビデオを借りては観て検証することを繰り返していました。そのうちVHSを自分用に買うのですが、後のDVDやブルーレイディスクなど、表紙が違うだけで買っています。ディスクによっては特典映像もあるので隅々まで観ていますね」

『ザ・ワイルド・ワン』を何度も検証し、突き止めたデュラブル社のライダース。

1953年に公開されたアメリカ映画『ザ・ワイルド・ワン(乱暴者)』でマーロン・ブランド演じるジョニーが着用していたデュラブルのライダースジャケット。厳密には同タイプではないが、澤田さんが最初に買ったデュラブルの「#33」モデル。エポーレットにはワンスターの愛称の由来となった星型の鋲が付けられている。

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3.『スピークイージー』オーナー・山村将史さん×カザール955

1980年・神戸市生まれ。ヴィンテージ眼鏡の専門店として2012年に『スピークイージー』をオープン。日本でのフレンチヴィンテージ眼鏡の草分け的存在として知られる。今年、阪急メンズ東京7階に2号店をオープンさせた。

神戸の『スピークイージー』はアメリカンヴィンテージとともに、数多くのフレンチヴィンテージフレームが並ぶ、ヴィンテージ眼鏡の名店だ。オーナーの山村さんは、日本におけるこの分野の先駆者として知られる。「人生を変えたモノ」との出合いはアメリカの短大を卒業後、5年間過ごしたニューヨークだった。

「留学を斡旋する会社の都合で、留学先はテキサスでした(笑)。短大を卒業後はスターバックスやアイスクリーム店でアルバイトをしていたんですが、語学勉強を名目にニューヨークに移り、2003年からアパレルショップで働き始めました。そして、以前からカッコいいと思っていた念願のカザール955を購入したんです。最低賃金で働いていたのでギリギリの生活でしたが、当時はまだヴィンテージ眼鏡というカテゴリーがなかったので安く買い求めることができ、5年間で約500本を買い集めました。途中からペルソール、レイバン、アメリカンオプティカルやタートなども集め、その延長でフレンチのヴィンテージにも手を出し始めました。僕が一番好きなフレームは、セルなら1940~’50年代のフランスのもの、メタルなら1920~’30年代のアメリカのものです。でも、ヴィンテージの眼鏡に興味を持つきっかけになったのは『カザール955』だったんです(笑)」

カザールのヴィンテージの中でも特に好きだった「カザール955」。

残念ながら当時手に入れた「カザール955」は手放してしまったが、現在でもショップには数多くの1980~’90年代製カザールをストックする。全てニューヨーク時代に手に入れたものだ。「955というモデルはカザールにとってはおとなしめで品のあるデザインが魅力的でした。ヴィンテージ眼鏡を買い集める、興味を持ったきっかけです」

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2021年11月01日

4.スタイリスト 原田学さん×’7080年代製アウトドアバッグ

1972年生まれ。京都生まれ。メディアでの仕事を始めた1995年はヴィンテージブーム真っ盛りだが、’70sモノやバイカー系、ワーク系など王道以外を提案するなど、古着の世界を開拓し続けてきた個性派。

数多くのメディアで活躍するスタイリストの原田さんは、中学生の頃から洋服に興味を持ち、芸術短大を卒業後に上京。渋谷のインポートの洋服店で3年間アルバイトしながらアパレル業界のネットワークを広げ、’95年頃からテレビ出演するタレントの衣装を手配したり、翌年からはファッション誌の連載の手伝いなどを開始した。そんな原田さんの「人生を変えたモノ」は、今の原田さんの仕事のスタンスにも通じている。

「当時は雑誌などで流行しているモノを紹介するのが当たり前でしたが、流行りとは関係なく、自分たちの周りで面白いと思うモノを紹介しようと思っていました。だから、グレゴリーのバックパックがもてはやされていた時代に、他のアウトドアブランドの違う形のバッグを紹介したんです。今でも基本的には王道よりもB級や脇役が好きです。最も好きなヴィンテージは、’50年代ではなく、‘70~’80年代ですね」

王道ではなく脇役ブランドの’70~’80年代製アウトドアバッグ。

グレゴリーがもてはやされていた’90年代後半、原田さんは認知されていない他のアウトドアブランドのバッグをあえてメディアで紹介。そうして裾野を広げていった。左はジャンスポーツで、右はジェリーのもの。今でもこのような旧いバッグを旅行に使うそう。

5.『デラクシーカスタムズ』オーナー・高田泰文さん×3台のヴィンテージバイク

1971年生まれ。千葉市の田舎町にある工房でアメリカンカルチャーに裏付けされたスタイルを中心に英国車のカスタムを手がける。自身も各地のヴィンテージダートレースに参戦。

千葉で20年以上、カスタムショップ『デラクシーカスタムズ』を営む高田さん。乗り続けてきた3車3様のバイクが「人生を変えたモノ」だ。3台に共通するのは市場価値やスペックに捉われない、自分なりのヴィンテージモーターとの付き合い方だ。

「僕の乗り物は癖のあるものばかり。いまの乗り物とは操作が全く違うので普通に乗りたい人からしたら面倒くさいでしょう。でも、その時代特有の操作性やメカニズムを味わいながらゆったり乗るのが楽しいんです。どれも普通に買えば安いものではないですが、僕はボロからのスタートでいい。自分の手を汚すことをヴィンテージモーターとの付き合い方の醍醐味です。僕は資本金競争にはそもそも縁がないですから(笑)」

1926 FORD MODEL-T

不動の状態からエンジンやミッション、デフなど全て自分で整備を行いレースにも参戦した車両。市場価格やスペックに捉われず、自分でいじってゆったりと操作性を楽しむという乗り物の新たな楽しみ方を教えてくれた車両だと言う。「アメリカにはモデルTにこだわって乗り続けているおじさんたちがいっぱいいて、中には若い頃にホットロッドに乗って、いまストックのモデルTを自分で直しながら乗り続けているような人もいる。いろんな乗り物に乗った人たちの最後の楽しみ方の一つだと思うんです」

1974 TOYOTA STOUT CUSTOM CAMPER

不動車だったスタウトをベースに、仕事以外の時間で約3年かけて荷台に幌を立て、自作の棚や椅子、ベッドなどを詰め込んだハンドメイドキャンパー。バイクのオフロードレースに参加する際のトランポや、遠方のキャンプにも使っていて、金額的な価値観でなく自分らしい楽しみ方を追求する高田さんのスタイルを最も表している車両と言えるだろう。「僕には豪華なキャンパーは似合わない。レースに行く時はバイクも積めるし、キャンプでも必要なモノは揃っている。田舎者のオヤジがくつろぐにはこれくらいがちょうどイイんです」

1925 SUNBEAM 2

自転車やクルマも生産していた今は亡き英国メーカー。今のバイクにはない’20s特有の操作性やメカニズムを味わえる貴重な車体。華奢で軽量なため、歩きながらの押しがけで簡単に始動する。「車両のスペック的に30~40㎞でも十分気持ち良く走られるのがいまとなっては心地よいですね」

(出典:『Lightning 2019年7月号』)

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