次々に新しい技術が生まれ高性能化していった80年代。日本の自動車史のなかでこれほどまでに濃く人々がクルマに熱狂した時代はほかにない。そんな懐かしいクルマたちは過去のものなんかじゃない! ということで、今こそ乗りたい名スポーツカーをクローズアップ。部品の供給がなくなりつつあるなか、紹介するのはどれもオリジナルを貫いているものばかり。オリジナルを貫くことって、こんなにもカッコイイものだった。
【SKYLINE】GT-Rは名乗れずとも史上最強の称号を手にしたDR30スカイライン
「ジャパン」と呼ばれた先代のC210の後を継いで、1981年8月に発表されたのがR30スカイラインだ。「GT-Rを名乗れなかった悲運のスカイライン」。DR30はそう例えられることがある。しかし、それはDR30の外側しか知らない者の戯言。DR30にGT-Rの称号は必要ない。DR30であることこそが何よりも価値があることなのだ。
【1984】NISSAN 「SKYLINE」 HT 2000 TURBO INTERCOOLER RS・X(日産 スカイライン HT 2000ターボインタークーラー RS・X)
保管状態が良いこともあるが、ユーティリタスでフルレストアしたボディはまるで新車のよう。ドアノブは再メッキ加工が施されるなどこだわり抜かれている。
ブラック&レッドの2トーンカラーがSKYLINE スポーティな雰囲気を盛り上げる。室内も徹底的な仕上げが施される。ステアリングはポールニューマン・バージョンと同じ本革で巻き直され、イエローステッチで仕上げたユーティリタスオリジナルのアイテムだ。
【SAVANNA RX-7】スポーツカーの資質を高めた唯一無二のロータリーマシン
マツダが追い求めたのは感性に訴えかける真のピュアスポーツカー。卓越したハンドリングとフットワーク、そしてハイパワーのロータリーターボ……。マツダの技術を結集して生み出されたFC3Sは希代の名車として今も語り継がれている。
【1989】MAZDA「SAVANNA RX-7」INFINI(マツダ サバンナRX-7 アンフィニ)
ブラックとシェードグリーンが定番で、ホワイトのアンフィニ 3は約50台しか生産されなかった希少車。アンフィニのベースとなるGT-Xのリアスポイラーは後期でウイングタイプに刷新。アンフィニもそれを継承。
∞(アンフィニ)エンブレムをホーンボタンに配したφ370mmのMOMO製ステアリングを専用装備。アンフィニ 3では新たに、ドライバーの身体を支えるニーパッドをセンターコンソール側とドア側に装備している。
アンフィニ専用のバケットシートは、2段階のリクライニングができ、乗り降りしやすい形状となった4用に変更している。
【COROLLA LEVIN】ドライバーの意のままに操れるテンロクFRスポーツ
軽量かつコンパクトなボディにDOHCエンジンを搭載し、後輪で駆動。ここまでスポーツ性に優れたパッケージングは、現代ではお目にかかれない。当時の若者たちを魅力したライトウエイトFRスポーツは、今なお輝き続けている。
【1986】TOYOTA「COROLLA LEVIN」3DOOR 1600 GT-APEX(トヨタ カローラレビン 3ドア 1600 GTアペックス)
オプションの純正スポーツパッケージ装着車のため、リアスポイラーとサイドステップも装備。足まわりはTRDのショックアブソーバーとRS☆Rのダウンサスを装着し、適度にローダウンされている。
ステアリングはオーナーの好みでナルディ・GARA3に交換されているものの、ほぼオリジナルの状態を維持しているインパネ。前期のカラーは上下2トーンだったが、後期ではブラックの単色に変更された。
【MR2】ヒトとクルマがひとつになれる国産量産車初のザ・ミッドシップ
レーシングカーや世界の名だたるスーパーカーが採用するミッドシップ。わが国でもNSXやS660などがそうだが、国産量産車初のミッドシップはMR2だった。そのクイックなハンドリングに、多くの若者が魅了されたのだ。
【1989】TOYOTA「MR2」G-LIMITED(MR2 Gリミテッド)
リアスポイラーのLEDハイマウントストップランプは、88年の一部改良で追加。取材車両は、カヤバのショックとダウンサスで適度にスポーティな味付けに。
スポーツカーらしい、包まれ感の高い室内空間。ナルディ・GARA3のステアリングとピボットのシフトノブは、オーナーの好みで交換。なお後期で、センタークラスターとコンソールの形状が変更された。
シートはレカロのSR-3 ASMリミテッド。セミバケットながらホールドは抜群で、長距離ドライブも苦にしない快適性が魅力。上質感のあるシート地も特徴だ。
【CR-X】人車一体の走りが味わえるFFライトウエイトスポーツ
初代でFFライトウエイトスポーツという新たなジャンルを切り拓き、2代目でそのポテンシャルを大幅に高めたCR-X。ホンダスポーツの本格的な始まりはこのクルマからだった。
【1989】HONDA「CR-X」Si(CR-X Si)
全長は現代の軽自動車よりも360mm長いだけの3755mm。車両重量は1トンを軽く下回る880kg。この軽量コンパクトなボディが痛快でポテンシャルの高い走りを発揮する大きな要因だ。純正部品を集め、ほぼオリジナルの状態まで仕上げた。
ホンダのM・M(マンマキシマム・メカミニマム)思想を具現化した室内。コンパクトなボディながらも居住性は確保され、新設計のラップラウンドインテリアにより圧迫感の少ない室内空間を実現。
80年代を盛り上げた代表的なスポーツカーの数々。今なおその魅力は失われるどころか、ますます彩り豊かに輝いている。
photo/Akio Hirano 平野 陽
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