ワンステージで全アクトを自由に堪能できる会場設計が最高!
音楽の力で秋田県男鹿市にたくさんの人を呼ぶこと、男鹿の知名度を上げること、そして地元に誇りをもつことを目的に、『男鹿ナマハゲロックフェスティバル』(以下、男鹿フェス)は2010年より本格的に開催。今年で12回目となる男鹿フェスが、秋田県男鹿市の船川港内特設ステージにて、7月29日(土)、30日(日)の2日間にわたって催された。
新型コロナの影響で2020年、2021年は開催中止。2022年は厳しい規制の下での開催となり、なんの規制もない従来の形での開催は実に4年ぶり! 会場にはこの日を長く待ちわびた男鹿フェスファンが集結し、この地で再び会えたことの喜びを分かち合った。
秋田市からクルマで1時間弱。男鹿市の海沿いに位置する、抜群のロケーションに恵まれたこの会場。ワンステージですべてのアクトが楽しめるように設計され、ステージ前の広いフィールドをスタンディング、椅子・シート、テントとエリア分け。それぞれの楽しみ方で無理なく1日を過ごせるよう配慮がなされている。
飲食ブースには地元飲食店を中心とした店舗が並び、カレーや唐揚げといった定番のフェス飯から、海産物や比内地鶏、秋田牛を使用したメニューやしょっつる焼きそば、ババヘラアイスに日本酒と、秋田グルメが堪能できて、ライブ以外のお楽しみも盛りだくさん。
「ただいま」「おかえり」の挨拶が交わされる演者と観客の幸福な関係が魅力。
ギラギラと太陽が照りつけながらも、心地よい潮風が吹きつける、絶好のフェス日和の初日。ナマハゲたちが威勢よく太鼓を鳴らすOxNxDxA ~男鹿ナマハゲ太鼓推進協議会~のステージでフェスが幕を開けると、バックドロップシンデレラ、オメでたい頭でなによりとにぎやかなステージが続き、序盤から大盛り上がり!
陽が高くなった頃、男鹿フェス初出場となるALIがダイナミックかつグルーヴィーな演奏でオーディエンスを踊らせると、「コロナ禍で我慢を強いられていた時は悔しい思いをした」と語るキュウソネコカミが、観客を巻き込む全力のパフォーマンスで会場を沸かす。男鹿フェス開催直前に秋田を襲った豪雨災害の募金を呼びかけた、打首獄門同好会の心意気にも心打たれた。
この日印象的だったのが、出演アーティストのMCに「ただいま」や「やっと帰ってこられました」といった言葉が多かったこと。そして、そういった言葉に対する「おかえり」や温かい拍手といったオーディエンスのレスポンスを見て、皆が男鹿フェスに特別な想いをもっていることがよくわかったし、ここが一度参加したらまた戻って来たくなる温かみのある場所だということがよ~くわかった。
そして、声出しも解禁されて、オーディエンスの「おかえり」の言葉だけで、演者のモチベーションが上がるのは間違いないし、そこで見せる最高のパフォーマンスにオーディエンスが全力で応えることで、ライブはさらなる爆発力を生む。長い長い我慢の期間を経て、誰に遠慮することもなく拳を突き上げて、歓声や掛け声を合わせ、みんなが自由に音楽を楽しむ風景が戻ってきたことが本当にうれしいし、最高の音楽とみんなの笑顔があふれる光景がすごく尊く感じた。
ライブ最強バンド怒涛の演奏、美しい歌声が会場を包む。
夕刻、ステージに登場したのは湘南乃風。問答無用、盛り上がり必至のキラーチューンを畳み込み、フィールドが強烈な熱気を上げる。「睡蓮花」のタオル回しで会場中をひとつにすると、04 Limited Sazabys、SiMとライブ最強バンドのアクトが続き、男鹿フェス初日はいよいよ終盤戦へ。
すっかり陽も落ちた頃、大歓声に迎えられてステージに降臨したのは、男鹿フェス初出演となるHYDE! 圧倒的存在感で会場を自身の色に染めると、もはや彼の独壇場。山嵐の武史(Ba)も参加するバンドの爆音に映える美しく力強い歌声、激しさと色気を併せ持つパフォーマンスで魅了し、ラストはL’Arc~en~Ciel「HONEY」を披露し、会場を熱狂の渦に包んだ。
初日の大トリとして登場したのは、ORANGE RANGE。「以心電信」、「ロコローション」、「上海ハニー」と、ヒット曲を惜しげなく披露して、この日のクライマックスを生んだ彼ら。会場中が歌声を重ねた「花」の美しさ、ラストに熱狂を生んだ「キリキリマイ」で初日をしっかり締めくくり、2日目へバトンを渡した。
29日のセットリストをまとめたプレイリストをSpotifyで公開中。ぜひチェックしてみてほしい。
アツく盛り上がった初日のレポートはいかがだっただろうか? 次回は7月30日(日)のレポートをお届けするのでお楽しみに!
文:フジジュン 撮影:スタジオレンズマン