デニムと同じ志向で考えられた先染め生地。
束ねた糸をインディゴ染料に浸け、さらに空気に触れることで酸化反応を得る。この工程を何度も繰り返し、濃色のインディゴブルー糸が作られる。強く撚って作られた糸は表面だけが染まり、芯に白が残る。これを経糸にして綾織で織り上げていった生地がインディゴブルーのデニムとなる……。
ムラ感の強いスラブヤーンと呼ばれる糸をインディゴ染料でロープ染色を何度も繰り返し、それを編み立てた生地で作られたカット&ソー。当然、デニムと同じようにこの生地を構成するインディゴブルーの糸にも芯に白い部分が残っている。
つまり、これはデニムと同じ考え方で、先染めされたインディゴブルーの糸を使っているカット&ソーというわけだ。着用と洗濯を繰り返すことでインディゴブルーの褪色という経年変化が起こり独特な表情を楽しめるのが特徴。
製品になったものを後から染めた場合、デニムのような繊細な色落ちはしない。美しい経年変化を目指したからこそ、先染めにこだわった。先染めの糸は、編み機にインディゴの色を残してしまうため、他の色のものが編めなくなってしまう。工場の稼働効率を考えたとき、先染め糸は避けたいのが本音のはず。
しかし、美しいインディゴブルーにこだわるなら、避けては通れない方法。覚悟を持って、定番的に先染めインディゴの生地を編み続けなければならないのである。単一種の生地のために存在する編み機を持つということが、どれほど贅沢なことか。
日を追うごとに少しずつ、着用者のクセに合った表情の変化が現れ、数年後には劇的な変化となっている。着用時に擦れることが多い、首周りや袖口のリブ編み部分は針抜きの仕様なので、表面に凹凸があり、より色落ちのコントラストが強くなる。
ソリッドで、じつにシンプルなデザインのカット&ソーには、インディゴブルーへの強烈なこだわりと偏愛が詰まっているのだ。
【DATA】
pure blue Japan HARAJUKU
Tel.03-3408-6644
https://www.purebluejapan.jp
※情報は取材当時のものです。
(出典/「CLUTCH2023年11月号 Vol.93」)
Photo by Akira Kuwayama 桑山章 Text by CLUTCH Magazine編集部
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