ロンドン市街で開催された「コンコース・オン・サヴィル・ロウ」に行ってみたら、クルマが凄すぎた。

サッカー留学で英国に渡り、ロンドン在住時に自身のアパレルブランドを立ち上げる。そんななか、ひょんなことから日本の出版社と出会い、ブランドをやりながら、日本の雑誌やプロダクツを販売する「クラッチカフェロンドン」のディレクターに。

今や日本生まれの良いモノを英国から世界に発信することになった男が送る、英国のファッション事情や、現地の人たちが着こなすジャパンプロダクツなどなどをゆるーく紹介していくのがこの記事。

今回はロンドンのサヴィル・ロウで開催されたヒストリックカーショーをレポート。

英国人は歴史や伝統を大事にすることが当たり前なのです。

イベントはサヴィル・ロウを通行止めにして開催されるという大胆なスタイル。左右に多数のテーラーが軒を連ねるファッションの聖地のひとつですね。英国らしく曇天なのはご容赦ください

コンコース・オン・サヴィル・ロウは、2023年5月24、25日の2日間に行われたイベント。

ご存知サヴィル・ロウとは、日本の背広の語源になったとも言われているロンドン中心部にあるテーラーが集まっている場所で、世界のファッションシーンでも歴史的な通りです。

場所はピカデリーの横にある富裕層のエリアなんですが、裏にあるリージェントストリートの人混みを避けたいときなんかは、個人的にはよく歩く場所ですね。

そんな歴史のある場所だけに、ヒストリックな名車たちが似合わないはずがありません。

しかも、この2日間はサヴィル・ロウは通行止めになって、レッドカーペットが敷かれて、戦前のヴィンテージカーから最新の電気自動車までを自由に観覧できる道となっていました。

またこの2日間では、テーラーのデモンストレーション(スーツの裁断、メージャーの方法など)や、モータースポーツの著名人の演説から、音楽のライブ演奏、イギリスのパーティフードが食べられたりと盛り沢山。僕はクルマを見るので精一杯の時間を過ごさせていただきましたが……。

なにせ博物館や由緒正しきカーショーにでも行かないかぎりお目にかかれないようなモデルばかり。クルマ好きでなくても、クラシックカーの造形やオーラはきっと楽しめるはずです。

1952 Jaguar C-Type

流れるようなボディラインが文句なしに美しいクラシックジャガー。もともとはル・マン24時間レースに参戦するために開発されたモデルで、見事に1951年のレースで初優勝したという歴史的なモデル。ブリティッシュグリーンが定番ですが、このカッパーカラーも素敵です

1933 MG K3 Magnette

1933年にデビューしたMGマグナのコンパクトバージョンとして登場したマグネットシリーズ。そのなかでもK3モデルはレーシングバージョンで、当時のル・マンやミッレミリアなどの由緒正しきレースで活躍。MGのなかでも伝説的なモデルとして知られているようです

1930 Alfa Romeo 6C 1750

1500ccからパワーアップした1750ccエンジンを搭載して1929年から33年まで存在したアルファ6C 1750。クラシックカーらしいフォルムと当時としては驚くほどのスピードが出たモデル。博物館クラスでしょう

1935 Mercedes-Benz 290A

サイドバルブの直列6気筒エンジンを搭載したメルセデス。4ドアリムジンから2ドアコンバーチブルまでボディスタイルも豊富にラインナップされていました。’30年代のクルマはどれもクラシックカーらしいフォルムで、エンブレムが無ければ私はどこのクルマかすぐにわかりません(笑)

1957 Ferrari 250GT Spyder

スパイダーっていうのは、イタリアで言うところの屋根無しのロードスターってことですね。これはしかも助手席がカバーされて、完全1人乗り仕様というストイックなスタイルです。やはりフェラーリといえばロッソ(レッド)ですかね

2023 Cullum Vanquish 25

オリジナルのアストン・マーティン・ヴァンキッシュを手がけたイアン・カラム氏自身がリスタイリングして25台限定で製造したスペシャルなヴァンキッシュ。ノーマルでも価値が高いのに、これはもはや工芸品です

1964 Shelby Cobra 289

キャロル・シェルビーが英国のACエースのボディにフォードのV8エンジンを搭載することで生まれたのがコブラ。いわば英米のミックスモデルですな。力強いエンジンが得意のアメリカと空力に優れたボディが得意な英国人のスタイルが良い意味で出会ったんですね。名車です

1967 Ferrari 275 GTB4

約3300ccのV12エンジンを搭載した初めての量産型フェラーリがこの275。GTB4はフェラーリの量産車として初めてDOHCエンジンを搭載したといういろいろと歴史的にも大事なモデル。明るいブルーのボディがこれまた新鮮。これは英国向けに生産されたモデルのようで右ハンドル仕様ですね

1967 Ford GT40

打倒フェラーリに燃えていたフォードが生み出したレーシングマシンがGT40。ヨーロッパの各レースに当時から出走していたので、英国でもフォードといえばこのモデルですね。事実英国のアメリカ車愛好家にとってはこれかコブラが人気モデルかと。往年のアメリカ車らしくないところも良いのかもしれません

1968 Lamborghini 400GT

現在のランボルギーニといえば低く尖ったミサイルみたいで、かなりコワモテなデザインですが、まだ1960年代のランボルギーニは、一般的な乗用車の雰囲気が残ってます。このモデルはブランド初の4シーターモデルだったんですね。搭載するエンジンは4000ccのV型12気筒。カワイイ顔して走りは凶暴であることは間違いありません

1991 Aston Martin V8 Vantage

こちらも英国を代表するメーカー、アストンマーティンのヴァンテージ。’90年代のモデルも、もはやクラシックカーの域に近づいてきたなあと実感します。ただ、古臭すぎず、モダンすぎないデザインは現実的で、今でも普通に乗っててもいいなと思いますけど、もはや価格が非現実的になってしまいました。英国でもクラシックカーは高騰しております

また、今回このイベントに行ってきた理由のひとつとして、クラッチカフェでは、ノートンモーターサイクル社(ノートンというブランドのテーラーもあるのですが、別会社だそうです!)とコラボをしているからなんです。イベント会場と同じサヴィル・ロウにオープンしたノートンのポップアップショップに、バイクに合うようなスタイリングが組めるよう、いくつかクラッチカフェからキュレーションをした商品を提案しております。

コンコースのイベントは終わってしまいましたが、クラッチカフェのポップアップはまだ続いておりますので、サヴィル・ロウに行かれる際にはぜひノートンのポップアップショップに行ってみてください。あっ、もちろんノートンの最新のバイクも見ることができますよ!

この記事を書いた人
岡部隆志
この記事を書いた人

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

クラッチカフェロンドン、アレヴォルディレクター。20歳のときに(2000年)渡英。ロンドンで過ごす時間が人生の半分を過ぎたころから日本語力が衰え始めてきた九州男児。中学生のときに購入したアメリカ製のジーンズをきっかけにアメカジにハマるも一番の好物はサッカー。将来の夢はサッカーチームのオーナー。
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