スピードフリークの狂宴。サンドフラッツレースがついに関東エリアで開幕!

ついに関東エリア茨城県大洗で、アメリカのカーカルチャーのひとつでもあるカスタムカー、ホットロッドとヴィンテージバイクオンリーのビーチサイドドラッグレースが開催された。それは、TROGや千里浜同様、トラディショナルな世界観にこだわる草レース。大洗のサンビーチから新たなムーブメントが巻き起こるか!?

直線最速のホットロッドを決める日本唯一のビーチレース。

関東エリアでホットロッドのビーチサイドドラッグレースが行われたのはおそらく初めて。ホットロッドが砂埃を巻き上げながら砂浜を爆走できる貴重なレース会場なのだ

2023年3月19日、茨城県東茨城郡大洗町で初開催された『サンビーチサンドフラッツ』。関東のサンドフラッツレースを心待ちにしていたレースファンは多いだろう。

会場となったサンビーチは多くの人が参加しやすい関東エリアという立地や、ゆとりをもって1/10マイルの直線コースを取れる広大な砂浜のスペース、行政の許可を得てレースができる環境など、サンドフラッツレースをイベントとして行う条件が十分に揃う貴重な場所。第一回でありながらレース開催中のほとんどの時間帯、コース横の観覧スペースが埋め尽くされていた様子からも注目度の高さが感じられた。

バイクは年式や排気量によって45クラス/80クラス/オープンクラスの3クラスに分けられた。アメリカ車や英国車のヴィンテージバイクが砂浜を埋め尽くす様子は見ているだけでもワクワクする

ヴィンテージのサンドフラッツレースと言えば、日本では千里浜サンドフラッツが有名だが、サンビーチサンドフラッツも千里浜同様いにしえの草レースの世界観を重要視し、勝敗だけでなくクラシカルなスタイルを追求するレーサーの姿がイベントを盛り上げた。

時代を遡れば、日本で車両を見ることすら難しかったほど旧い年式のバイクやホットロッドが、コースで競争できる機会がまたひとつ増えたことは非常に喜ばしいことだ。もちろんそれはサンビーチサンドフラッツだけでなく、他の草レースにも言えること。そして、コロナウイルスが世界中に蔓延する以前からこのレースを企画し、逆境を乗り越えて無事初開催に漕ぎ着けてくれた主催者の方々に感謝したい。

バイクやホットロッドがフラッグガールの合図と共にスタートし、1/10マイル(160m)の直線でスピードを競うシンプルなルール

年々日本のヴィンテージレース人気は加熱し、トップは非常にハイレベルな争いになっているが、サンビーチサンドフラッツは玄人だけでなく初心者大歓迎、多くの人が楽しめる草レースを目指しているとのこと。まさに間口は広く、奥は深い草レースなのだ。

次回の開催の詳細は現状未定だが、今後も継続してイベントを開催していく計画を立てているようなので、百戦錬磨の猛者もこれから挑戦してみたいと考えている初心者もオフィシャルのインスタグラムをチェックすべし。ヴィンテージレースシーンを底上げするサンビーチサンドフラッツの今後の展開に期待が高まるばかりだ。

日本の草レースシーンが米国のカーカルチャーとクロスオーバー。

広大なスペースを確保できる砂浜が大洗サンビーチの特徴で、3台並走が可能。今回は路面が柔らかく、比較的難易度が高いレースのようだった。

エントリー車両のスタイルは様々。チョッパーやボバー、トラッカーなど、異なるスタイルの車両のバトルも草レースの見所のひとつと言える。

2022年からエルミラージュやボンネヴィルなど、世界最高峰のスピードトライアルに挑戦中のTweakers Racing 坂本氏。自作のWLとナックルヘッドで45クラス/80クラスにエントリーし、80クラス準優勝の結果を残した。プライベーターの域を超えた生粋のスピード狂だ。

坂本氏と同じくTweakers Racingのメンバーでニュージャージーから今回のレースのために来日したダニー。TROGで活躍するレーサーが日本の草レースに参戦するストーリーが熱すぎる。

青森のDUSTERS RACING CLUBの北川氏はアスファルトのドラッグレースにも参戦する自作のアーリーショベルでオープンクラスチャンピオンに輝いた。

2022年の千里浜サンドフラッツで圧倒的な速さを見せつけオープンクラスで優勝した石原氏だが、今回は上の北川氏に敗れた。オープンクラスは3クラス中、最も高年式な車両のクラスだけに抜群の見応え。

ホットロッドは4バンガー/フラットヘッドV8 /エキシビジョン(OHV含む)の3クラスで開催。2022年の千里浜は1台ずつのタイムトライアルだったのでドライバーは並んで走るレースを心待ちにしていたはず。

路面の柔らかさからパワフルなホットロッドほど運転が難しそうだったが、フラットヘッドV8クラスの決勝では、VALLEY AUTO米内氏が車体を左右に激しく降りながらも迫力のある走りでチャンピオンに輝いた。

サイドモータースのホットロッドはストリートでもレースでもとにかく走る。様々なレースやイベントに参加しているだけにスキルの高さが感じられた。

GLAD HANDのL.氏はブランドの看板車である’24年フォード モデルTに乗って東京から自走でV8クラスに参戦!

ヴィンテージ草レースがあれば全国どこでも行くFIRST ARROW’sの伊藤氏もお馴染みのH-D WRとロードスターで砂浜を爆走。

秩父のLOVE HUNTER GARAGEの小峰氏はバイクとホットロッドでダブルエントリー。走る姿がとにかく楽しそう!

人数は少ないが女性レーサーも参戦し、注目を集めた。男性レーサーが多い舞台で、負けずに熱い走りを見せる女性レーサーの姿は実にクールだ!

(出典/「CLUTCH2023年6月号 Vol.91」)

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