今も昔もスポーツカーの代名詞でありクルマ好きであれば、1度は憧れるであろうPORSCHE。なかでもPORSCHEブランドの核を担う「911」は長い歴史と共に世界的に見ても金字塔と呼ぶに相応しい銘車だ。とくに1963年に登場し、約10年もの間、生産された初代いわゆる「ナローポルシェ」は、その美しいフォルムから愛されてきた。その最終型’73カレラRS仕様の1台を紹介する。
限りなくオリジナルに近いトリビュートモデル。
1963年。歴史的名車として、語り継がれるPORSCHE 911が誕生した年である。911の長い歴史の中で、とりわけ銘車として名高いモデルがある。それがナナサン・カレラだ。
1973年に発売されたPORSCHE 911カレラRS 2.7は、ホモロゲーションモデル、つまりレース車両同様に開発され、数量限定で生産されたモデルだ。そのほか、初代911の総称であるいわゆるナローポルシェの一般的な最終型としても知られるのが、1973年までに生産された車両であることを考えると、PORSCHEの歴史の中で、銘車のなかの銘車ともいうべきモデルだろう。
今回紹介するクラシックカーは、希少車、ナナサン・カレラ仕様にモディファイされたクルマ。しかし単なるモディファイではない。まずベースとなる車両は、1973年式の911T。オリジナルのナナサン・カレラRSも、500番以降は、911Tベースに作られているため、限りなく本物に近いルックスとタッチを目指したトリビュートモデルであること。この完成度の高さはもう2度と出逢うことはないだろう。
1973 PORSCHE 911T (Carrera RS tribute)
1973年式の911Tをベースに、73年カレラRS仕様にモデファイした車両。ボディはすべて分解後、入手困難なオリジナルのRSフェンダーに交換、ボディーの各部もオリジナル通りに補強。フロントバンパー、スカートなどは、あえて911S用をチョイスし、エンジンはオリジナルの2.4Lから2.8Lに排気量をアップするなど、ナナサン・カレラへの強い想いが伝わるカスタムとなっている。
オールレザーのバケットシートは、ドライビング中、吸い付くようなフィッティングの良さだけでなく、インテリアにも高級感を添える存在。
カレラ・ストライプとして親しまれているサイドのラッピング。
スパルタンな走りで楽しませてくれるナナサン・カレラ仕様。車内の密閉度が高く、開閉時には、ほどよい重量と密閉される空気感もPorscheならでは。
美しいエンジンルーム。エンジンはオリジナルの2.4から2.8に排気量アップ。
【DATA】
VINTAGE SHONAN
Tel.045-300-3750
http://www.vintage-shonan.co.jp
(出典/「CLUTCH2023年4月号 Vol.90」)