生活を足元から支える足と靴のプロフェッショナル
人間の足は千差万別、十人十色。既成靴の中から、自分に合った靴を探すことは難しい。それも革靴となると尚更だ。日本にはシューフィッターと呼ばれる資格がある。足と靴と健康協議会という一般社団法人が養成、認定を行っている資格だ。
シューフィッターはプライマリー(初級)、バチェラー(中級)、マスター(修士)という3つのグレードに分かれていて、現在シューフィッターとして登録されているのは3700人ほど、その中でも最上位のマスターの称号を持つのは34人と限られている。
シューフィッターの主な仕事は、その名の通り靴のフィッティング。お客様の足を正確に把握し、靴の製法、構造やブランドごとの特徴などを見極め、お客様に合った靴を提供する。また、既成靴のフィット感を高めるためのインソールの製作も行っている。
今回、話を伺った久世さんは足と靴と健康協議会の会長であり、数少ないマスターの称号を持つひとり。靴のプロであり、人間の足のプロでもある久世さんに正しい靴の選び方を教わった。
編集部ナマタメがプロのフィッティング術を体験
フットプリントをとって、足のかたち、体重のかかり方を測定。編集部ナマタメは、足幅が広く、足の外側に体重がかかっていることが色の具合から読み取れる。
フットプリントを見た後、その人の歩き方の癖、膝や足首など歪みなどを検査する。靴店との明確な違いは、医学的な側面から足を診ることができるということ。
自分の持っている革靴で、一番足に合うと思っていた靴を履いて行ったナマタメに久世さんは「これはぴったりなんじゃなくて緩いから履きやすいだけだよ」と一蹴。
足の測定が終了したら、今度は体全体の測定を行っていく。足や腰の太さ、体重のかかり方、体の歪みなどを測りインソールやアウトソールの形を決めていく。
これまで測った内容から、その人に合ったインソールの素材を選定。どんな靴で、どんな動きが想定されるのか、などシチュエーションも考慮し最適の素材を選んでいく。
フットプリントや、足の測定を経て得たその人の情報を、インソールに直接書き込み反映していく。体の歪みなどを解消するように調整を施していくことも仕事のひとつ。
靴の調整が終わったら、シューフィッター自らが靴のフィッティングを行う。調整が行われた靴は、履いてきた時との違いが一目瞭然。フィット感が段違いに向上した。
こんなところにもシューフィッターの技が光る
調整を行っている際に、代わりに履いたサンダルは、サイズを伝えていないのに足とぴったり。長年の経験からその人の体格から測らずとも足のサイズがわかるのだとか。
正しい靴選びに重要なのは足の形を知ること
靴を選ぶ際の最重要事項は足の幅でも甲の高さでもなく足の形だ。ここが間違っていると幅に合わせてワイズを選んでも、靴の長さを合わせても、自分に合った靴を選んだとは言えない。靴を選ぶ際には自分の足を真横から見て、どの形が一番近いのか確認をしておくことが重要だ。
人間の足は大きく3つに分かれている。土踏まずが適度にあり、甲の盛り上がりもそこまで大きくない「普通足」、欧州人などによく見られる土踏まずが深く、甲も高く張り出している「凹足」、土踏まずがなく甲が低い「扁平足」の3種類だ。靴も同様に真横から見ると甲の張り出しなど同じサイズでも様々。靴を選ぶ際にはそこを意識してみてほしい。
日本人が幅広甲高というのはまちがい⁉
日本人の足が幅広で甲が高いという話は有名だが、久世さんの話ではそれは昔のこと。現在の日本人は足の形が変わってきているという。車や電車などが発達し、歩く機会が減少したことで、人間の足もその生活に合わせて少しづつ進化しているのだとか。昔に比べ、足の幅は狭く、甲が低く、先ほど紹介した普通足に近付いているという。
あなたの足に合う革靴が見つかる革靴診断
シューフィッターである久世さんに実物を見て靴の形を判断してもらった。この診断をすれば、あなたの足に合った一足が見つかるかも。
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