原宿「キャシディ」の名物店長・八木沢さんのプレッピースタイル。

本場アメリカに限らず日本にもプレッピーの体現者たちは存在している。その中のひとりが「キャシディ」店長・八木沢博幸さんだ。とはいえ、正統派から不良派まで、知識と経験に基づいたセンスでオリジナリティを確立している八木沢さんの愛用品やルールを通して、プレッピーの魅力を探っていこう。

▼プレッピーってそもそもなんだ?

プレッピースタイルとは? 誕生から現在に至るまでその歴史を振り返ろう。

プレッピースタイルとは? 誕生から現在に至るまでその歴史を振り返ろう。

2025年07月09日

正統派から不良派まで自由に取り入れて楽しむ。

「キャシディ」店長・八木沢博幸さん|1956年、東京都生まれ。原宿キャシディの店頭には、1981年から立ち続ける。店内に飾られる自身作のイラストから接客スタイルまで、温もりだらけ。こちらは「夏のプレッピー」をテーマにしたスタイル。ラコステは現行の日本製。シアサッカーだとリゾート感が強調されるとのことで、コードレーン素材でニュートラルに。足下のスリッポンで抜きつつ、時計とベルトの柄でプレップな気分を付け足し。 ポロシャツ1万6500円/ラコステ、コードレーンパンツ1万9800円、スリッポン1万6500円/L.L.ビーン、時計3万1900円、時計に付けたベルト2750円/キャシディ・ホームグロウン(すべて原宿キャシディTEL03-3406-3070)

今回、八木沢さんは80〜90年代にニューヨークに買い付けに行っていたときの思い出の品をいくつか披露していただいた。

「ギットマンにいたラリーという営業マンがいつもしているベルトのバックルがティファニーで、彼のイニシャルがミドルネームを含めた3文字で入っていたのが、とてもかっこよくて‥‥。文化的には衣類から銀食器まで、プレッピーは自分の持ち物にイニシャルを入れるのがお約束らしいんですよね。それはやはり、お父さん世代もそうだし、アイビーリーグに通うお兄さん世代もそうで。家族と自分に対する誇りを刻み込んで永く愛用していくわけです。自分もマネしましたよ」

そうしたトラッドな感覚を大切にする一方、ルールにとらわれすぎない、ちょっとヤンチャでフレッシュな感覚もプレッピーらしいとして楽しんできた。

「ちょっと不良なプレッピースタイルというのもおもしろいです。ヒッキーフリーマンというクロージングの会社からリリースされていたデザイナーラインのヒッキー(現在は休止)が2000年代にマリファナ柄のエンブロイダリーパンツをリリースしていたりして……。あえてレングスを切ってショーツにして履いていましたよ。足下には、あえてくたびれたスニーカーを合わせたりしてね」

「キャシディ」店長・八木沢さんの欠かせないプレッピーなもの。

1.スペリー トップサイダー

マドラスチェックの生地をパッチワークしたトップサイダーは、80年代にニューヨーク・ソーホーのスニーカーショップで購入。チノやBDシャツに着用。

2.ニューヨーク大学

 

90年代に出張でニューヨーク大学の生協を訪ねて購入。「プレッピーな身分の自分でもこのランドリーバッグを使えば、気分はもう大学生!」というロールプレイ。

3.ヒッキー

 

八木沢さんは、「とにかくエンブロイダリー(刺繍)が好き」とのこと。普通はアンカーやヨット、クジラなどの刺繍が入るが、マリファナというユニークさがウリ。

4.バロンズハンター

リボンベルトで知られるバロンズハンターという米国東海岸発のブランド。タータンやマドラスなどの柄を少量取り入れるだけでも、装いにプレッピー感が充満。

5.ティファニー

ニューヨークにあるティファニー本店で90年代に購入したシルバー925製バックルには「HY」のイニシャルを刻印してもらった。これもプレップな文化。

6.エンジニアド ガーメンツ

 

エンジニアド ガーメンツのショーツは明るいプレップカラーで。いまでもまことしやかに伝わる「プレッピーはとにかくピンクとグリーンを着る」という美学に基づいた選択だ。

7.ポロ ラルフ ローレン

 

出かけるときだけでなく、家にいても、たとえ寝るときであってもプレップな気分を忘れずに。ギンガム、タッターソール、タータンチェック、ストライプのパジャマを所有する。

8.キャシディ ホームグロウン

 

紺ブレザーを念頭におきながら、グログランテープをあしらうなど、あえてカジュアルに仕立てたオリジナル品。ジャケット類は、カーディガンのように柔らかく着るのが好き。

9.トレトン

ケネディ大統領にも愛用されたスウェーデン生まれのブランド。80年代のポパイの誌面で見た「寒い国から来たスニーカー」というフレーズを八木沢さんはいまでも覚えている。

10.テイルゲート

 

1997年にニューヨークで創業したテイルゲートは、旧きよき時代のアメリカンテイストが充満するTシャツブランド。今作は、プレッピー世代憧れのアイビーリーグTシャツ。

11.ワコー

 

毎時0分に時計塔が鐘を鳴らし、銀座4丁目交差点のランドマークとして知られる和光。そこで購入したリネンのハンカチにも「HY」のイニシャルが入っている。

12.アイゾッド ラコステ

かつて米国アイゾッド社とのライセンス契約でつくられていた米国産ラコステ。後ろの身頃を長くしているのが特徴。夏場のプレッピースタイルにマストなポロシャツだ。

「キャシディ」店長・八木沢さんのプレッピースタイルのルール。

1.一生をかけてとことん付き合う。

ティファニーのスターリングシルバーバックルには、劇的な味わいが発生。あえてピカピカに磨いていないのが粋だ。ポロシャツのクッタリとした襟も然り。月日の重みと共に生きていく。

2.ジャケットは堅く着ない。

アメリカントラッドの系譜に倣って、やはりジャケットは3ツボタンで。ただし、段返りにはこだわらず、堅くは着ないのが八木沢さん流。プレッピーならではの遊び心を大切にしている。

3.靴はあえてあまり手入れをしない。

向かって左のトップサイダーは80年代、右のトレトンは90年代、中央のエル・エル・ビーンは現行品。清潔感を損ねない程度に、足下はあえてアジのある状態で履くのが粋だ。

4.モノグラムやイニシャルで愛着感が増す。

オリジナルブランド、キャシディ・ホームグロウンのシャツにはブランド名のモノグラム「CHG」を刺繍。定番位置の胸ポケットではなく、その下にあしらうところもこだわり。

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2023年8月号 Vol.197」

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏の余白に、存在感を。大人メンズの夏スタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介!

  • 2026.06.30

シンプルな装いだからこそ、アクセサリーや小物が着こなしの印象を大きく左右する夏。そんな季節にチャコールグリーンが提案するのは、物語とクラフトマンシップを宿した逸品たち。夏のスタイルに個性と奥行きを添えてくれるアイテムを紹介する。 手仕事が生む、本物の存在感 2002年に誕生したアティースは、「REL...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

Pick Up おすすめ記事

上品に纏うちょうどいい季節。大人の夏にちょうどいい「ORGUEIL」のシャツ

  • 2026.06.30

気温の上昇とともに、装いは軽く簡素になる。だからこそ求めたいのは、肩肘張らない大人の品格だ。クラシックをモダンに再構築したORGUEILのシャツが、大人の夏にちょうどいい存在感を放ってくれるはずだ。 Shawl Collar Denim Work Shirt 1930 年代に現存したアメリカンワーク...

革とデニムの境界線を越える! デニムのように見えるけど実はコレ、革なんです。

  • 2026.07.02

前号でもお伝えしたが、天神ワークスの開発していた新しい革「リジットレザー」が完成し、この度、遂にレザージャケットとなって登場した。まずはこの写真を見てほしい。これは、天神ワークス代表の髙木さんが1カ月着込んだもの。このエイジング、まさにデニムじゃね? でも、レザーらしいエイジングも見え隠れする、唯一...

王道のデニムセットアップはボトムスで差をつけろ!

  • 2026.06.30

昨今のアメカジブームのなかで、注目度が高まっている“デニムオンデニム”のセットアップスタイル。王道ももちろん良いが、一歩先を行きたいアメカジラバーはボトムスで差を付けてみるのはいかがだろうか。気鋭のブランド「アンバースレッズ」が展開するデニムセットアップはそんな望みを叶えてくれるに違いない。 Amb...

初夏は、泥と大戦で。「STUDIO D’ARTISAN」2026SSの新作を紹介!

  • 2026.07.03

選ぶのは「泥染の開襟シャツ」か、「大戦モデル」か──。この初夏、気になるのは対照的な表情を持つ二つの新作だ。そのどちらにもステュディオ・ダ・ルチザンならではの、丁寧な作りと遊び心が息づいている。 奄美大島の伝統技法が生む、泥染ならではの深い表情に注目 奄美大島に古くから伝わる泥染は、テーチ木(シャリ...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。