お話を伺ったのは・・・「矢ノ倉東京」代表・甫坂浩幸さん
インディビジュアライズド シャツを扱うメイデン・カンパニーで長年ディレクターを務め、独立。ファッションの楽しみ方を知る達人。
カジュアルパンツの王様といえばデニムパンツ。
プライスからデザイン、さらには生産国まで、幅広い選択肢が存在するキング・オブ・スタンダードといえるデニムパンツ。バリエーションが豊富すぎるゆえ選択に困るところではあるが、まずはそのルーツともいえるリーバイスの501のことを知っておくべきだろう。
リーバイ・ストラウス社がワークパンツを商品化し、リベットと呼ばれる金具によって補強を加えるというアイデアにて1873年に特許を取得した。その後1890年に「501®」と命名され、バックポケットに縫われたアーキュエイトステッチやツーホースマークなど、いまに続く象徴的なディテールが生み出されたのである。
そんなデニムパンツの個性ともいえるのが、着用することで色落ちし変化をみせるインディゴカラーだ。購入したての濃紺の状態で穿けば品のよさをみせ、穿き込まれ淡く色落ちしたデニムを穿けば、ラフな印象の着こなしに見えるなど、生地の色落ち次第で着こなしの雰囲気を大きく変えられるのもデニム生地ならではの魅力であろう。
普段使いする501の条件はこの3つ!
1.80年代までのアメリカ製。
2.色落ちの妙。
3.3万円以下。
ユーズド501と言えば、通称“ダブルエックス” や“ビッグE” といったヴィンテージが主流ながら、甫坂さんはあえてのアンチヴィンテージ。いわゆる66モデル以降、赤耳やレギュラーと呼ばれる’80年代頃の501を普段使いしているという。
「ヴィンテージは絶対に穿かない! って頑なな信念があるワケではないのですが、普段使いであれば66以降がメインですね。もはやワークとは無縁と言える洗練されたフォルムと、手頃な価格、さらに気分に合わせて濃淡バリエーションを揃えられたり、ダメージを全く気にせず付き合えるのが、レギュラーデニムの利点であり、面白みだと思います」
’90年代後半からリーバイスの本国アメリカ工場は次々と閉鎖され、赤耳以降の’80年代からUS生産最終型までをレギュラーと呼ぶのが一般的。「もちろんUSメイドにはこだわりたいですが、レギュラーは安価な価格帯が魅力です」