ついにホームボタンがなくなった。第9世代は継続販売される
iPad ProのM2搭載は順当な進化だが、スタンダードモデルのiPadがどうなるかは予想の分かれるところだった。そして、新製品が発表されてなお、ちょっと仕様に不可思議な部分が残る製品となった。一部詳細は実機のレビューをお待ちいただいての確認となる。
iPad(第9世代)→iPad(第10世代)の変化は大きい。
中でも最大の変化は、ホームボタンが無くなり、エッジがスクエアで等幅なLiquid Retinaディスプレイのデザインになったことだろう。そして、価格は少々値上がりしている。
現在のところホームボタンを持つiPad(第9世代)はラインナップに残っている。小さな子供や、高齢者の方をはじめとした、操作に慣れない方にとって、押せばいつもの画面に戻れるホームボタンは操作の拠り所になるボタンだ。
予算の限られる小中学校などでの使用は、今後も第9世代が前提になるのではないだろうか?
インターフェイスを全モデルで統一したいのも分かるが、操作に慣れない方のためにホームボタンのあるモデルを残しておきたいという意見もあるのだろう。iPhone SE(第3世代)とiPad(第9世代)の2機種が、iPhone、iPadそれぞれのラインナップの下端に残されているのは、そういう意味ではないだろうか?
iPadで初めての『横使用前提』
では、新しいiPad(第10世代)はどういうポジションを担うのだろうか?
ディスプレイは第9世代の10.2インチに対して、10.9インチに拡大されている。チップセットはA13 BionicからA14 Bionicにアップデート。CPU性能は20%、GPU性能は10%向上し、Neural Engineのコア数は2倍になり機械学習の性能が最大80%向上している。
認証はFace IDではなく、iPad Airと同じく電源ボタンに内装されたTouch IDで行う。
特徴的かつ不可解なのは、iPadの全モデルの中で初めてFaceTimeカメラが長辺の中央に設けられたことだろう。つまりは、このiPadは、横向けにセットし、Magic Keyboard Folioなどを接続して使うことを前提としている。ビデオ会議などを行うことが増えていることを考えると、その点は理解できなくはない。
また、USB-Cポートを介して外部ディスプレイを接続し、4Kまでの出力を可能としているのも嬉しい(しかし、A14 Bionic搭載機ではステージマネージャーは利用できない可能性が高い)。
対応Apple Pencilは第1世代。どうやって充電する?
しかし長辺にカメラを内蔵したせいか、連携できるApple Pencilがマグネットで接続して充電&ペアリングできる第2世代ではなく、第1世代なのは納得がいかない。なにしろ、Apple Pencilの第1世代はLightningコネクターを介して充電&ペアリングするのだ。本機はUSB-C搭載機だというのに。
というわけで、第1世代のApple Pencilを使うためにUSB-C – Apple Pencilアダプターというアイテムを利用しなくてはならない。このアダプターは1380円(税込)で別売りもされるが、今後販売される第1世代には同梱されるという情報もある(未確認)。しかし、形状を見る限りでは、アダプターだけでなくUSB-C – USB-Cケーブルも必要であるように見える。紛失する心配もある。これは、どう考えても不便な仕様だ。
USB-C – Apple Pencilアダプタ
https://www.apple.com/jp/shop/product/MQLU3FE/A/usb-c-apple-pencil%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%97%E3%82%BF
印刷の三原色と、Magic Keyboard Folio
ボディカラーはシルバー、ブルー、ピンク、イエローの4色。我々出版業界の人間にとっては印刷の三原色であるCMY、つまりシアン、マゼンダ、イエローにしか見えない組み合わせだ。
新しい、Magic Keyboard Folioは、スタンド部分とキーボード部分が分かれる仕様。一見、キーボード別体で使て便利そうに見える。しかし、おそらくはSmart Connectorでの接続のみなので、分離したらキーボードとトラックパッドは動作しないと思われる(そもそもSmart Connectorはセキュリティ上ワイヤレスキーボードを使えない、銀行や役所に対応するために開発された)。
総じて、M1を搭載するiPad Airと、ホームボタンを持つiPad(第9世代)の間を埋めるポジションを持ち、『一般コンシュマーユース』を意識した商品だと思われるが、『横使い』を前提としたために、不思議な仕様になってしまっている。
今後、実機のレビューを通じて、そのあたりの真意を探っていきたい。
(村上タクタ)
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