カットとカラーで魅せる美容業界のトップランナー3人が語る、美容の今と目指すもの

美容業界で活躍し続けているリビングレジェンド、『PEEK-A-BOO』川島文夫さんと、今の美容業界を牽引している『LECO』内田聡一郎さん&『SHACHU』みやちのりよしさん。世代も所属も異なる3人に共通するのはカットとカラーで魅せるデザイン力、クリエイティブに情熱を注ぐ、そして何よりも美容師としての想い。川島さんを前に、緊張でカチコチになっていた内田さんとみやちさん……。ひとたび美容トークが始まると、それぞれの想いを溢れさせた。

 意外とお客さまのほうが本質を見抜いているんです(川島)

内田 最近、川島先生のチーム ピーク・ア・ブーが出されたカットの本を買いました。僕はやっぱりカットが好きなので、技術をもう1回ちゃんとしっかりベーシックから見直そうとしていまして。僕らの代がしっかり技術を次の世代に伝えていかなきゃ、と思っています。

今、カラリングで売れる美容師さんがすごく多いんですけど、やはり僕はどちらかと言ったら、カラーも得意なんですけど、やはりカットももう1回学び直さなくてはと思っています。なので、カットの大事さを改めて伝えていきたいと最近考えています。

「LECO」内田聡一郎(うちだそういちろう)|『レコ』『クク』代表。1979年8月30日生まれ。神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業。2018年『レコ』を設立

川島 彼からそういう言葉をさ、聞くと嬉しくなるね。今はパーマスタイルもあるし、カラリングがメインであるし、しかしやっぱりデザインの基本ってヘアカットだから。で、『カットは苦手』と言うんじゃなくて、『興味を持つ』ということがすごく大切。ですから彼がもちろんいろんなカラーをしたり、クリエイトをしている中で、やっぱり『カットも大切』というのをみなさんに伝えたい、と思うのはすごくうれしい。みやちくんはカットについてはどう?

「PEEK-A-BOO」川島文夫(かわしまふみお)|『ピーク・ア・ブー』代表。英国より帰国後、1977年表参道にサロンをオープン

みやち 内田さんがさっきおっしゃったように、僕のサロンはカラーが強いお店でして。で、SNSを割と早めからやっていて、インフルエンサー美容師の走りみたいなものをやっていたんです。でも、コロナがあって、一気にお客さまが来なくなったりと、いろいろある中で、『これからやっぱり大事なのはカットだ』と思いました。やっぱり『美容師=カット』じゃないですか。だから、カットをしっかりとレッスンしています。スタッフにはカット技術をちゃんと身につけて、高単価を取れるような美容師になってほしいです。

「SHACHU」みやちのりよし|『シャチュー』代表。1984年10月2日生まれ。岐阜県出身。山野美容専門学校卒業 後、1店舗を経て『シャチュー』を設立

川島 内田くんやみやちくんから今日お話を聞いて、カットをしっかりとしているっていうのがわかってよかったです。ふたりとも各々のクリエイティブさを持っていて、すごく影響力もあると思うんです、若い世代に対して、やっ ぱり『カットは大事』っていう力強いメッセージを発信してくれるのは本当にうれしい限りです。

みやち 川島先生がそうおっしゃられることを聞き、僕自身美容師を頑張ろうと思えます。それと先生がまだ現役でやっていらっしゃるのを拝見して、僕は今経営もやっているんですけど、もっと現場にも出たいと思いました。

川島 えらい!

みやち 実は内田さんが、常に自ら率先して行動して走り続ける背中を僕にずっと見せてくれているんです。僕も美容師としての背中を、きちんとスタッフに見せ続けていきたいと思っています。『生涯美容師』ってかっこいいことは言えないけど、今やりたいと思っているのがそれなんです。

僕らの代がしっかり技術を次の世代に伝えていかなきゃ(内田)

みやち 実は今、SNSもバックショットではなくて、正面から撮って、自分が切ってないヘアデザインは載せたくないと思っていて。SNSの『いいね』がつく、つかない関係なく、ちゃんと切ったものを載せたいなと。自分の『広告』でもあるし、『思い』でもあるので。SNS戦略を使うのもいいけど、『美容師の魂』みたいなものをSNSに載せたいと最近思っています。それを見て来るお客さまもいるんで、マーケティングとか、再生回数とかだけでなく、普通に髪がかわいくて、シンプルにいいものをつくれたら素敵だと僕は思っています。

「僕が今、いちばんつくりたいヘアをつくりました! 顔まわりと表面にレイヤーを入れ、バームをもみ込むだけでラフに動かせるようカット。軽くラウンドする目上バングもポイント。カラーはブリーチの抜きっぱなしから茶色と黒のローライトを入れ、そこにルージュレッドとライムグリーン、シアンブルーをランダムにON!」(みやちさん) Hair:Miyachi、Make-up:fuka(SHACHU)

川島 意外とお客さまの方が本質を見抜いているんですよ。作品ビジュアルって、どんどんふくらんでいくけど、それをどうしたら現実のヘアに落とし込めるかっていうのを、このふたりはすごくできていると思います。

―― 内田さんは多忙にも関わらず、朝絶対にスタッフのカット練習を見ていらっしゃいますよね。

内田 そうですね、カット練習は僕自身が絶対スタッフがやっているところを見ています。

川島 すばらしい!

「技術のキャッチボール」「情熱」がいつまでも絶えないよう受け継いでいきます(みやち)

―― 川島先生の中でクリエイションに対して大切にされていることはありますか?

川島 僕はね、もう本当にロンドン時代から、ずっと自分の作品は何万点と撮り続けていて。で、思うのはやっぱり『続けるっていうことがすごく大切』ということ。例えばふたりはSNSでいろんな提案をしたり、作品撮影をするん だろうけど、これからそれらをやり続けることで、どんどん今の作風から変わっていくと思うんです。

で、『次のトレンド』という答えは、そうやってやり続けている人じゃないと出てこない。ポン、と答えがたまたま出せてもそれは偶然で終わるわけで。やっぱり連続性や継続が『美容師のスピリット』になると思いますよ。

みやち それこそ川島先生がヘアショーとかで切るところを見ていると、『やっぱり日々しっかりとやっている方だな』っていうのをものすごく感じますよね。

内田 この撮影前の控室で、川島先生にお会いした時に聞いたんですけど、今日18人切ってから撮影に来られたそうです!

「今回のテーマは【THE CONTRAST】です。 ディスコネでつくった2つのスタイルに、白と黒のはっきりしたカラーの対比をつけることで、ヘアのディテールをブラッシュアップしています。メイクや赤のカラーコンタクト でそこにさらにスパイスをプラスして、僕なりの【カットデザイン 3.0】を表現してみました」(内田さん) hair:Soichiro Uchida、Make-up:Yuika Murakami(LECO)

川島 ふたりは1日にどのくらいお客さまをやるの?

みやち 僕はカラーのお客さまが多いので、多くてもだいたい20人程度です。

内田 僕もそのくらい(20人程度)やる感じですけど、先生の年齢で1日に18人切るとか、もうびっくりしました。

川島 いや、たまたまだよ〜。

―― 川島先生のそのモチベーションはどこから来るのでしょうか?

川島 僕はよく思うんだけど、美容師にとって『才能と情熱。どっちが大切か?』というと、僕は『情熱のほうが大切』なんです。才能って、美容師になった時点で誰しもがある程度持っていると思います、プロフェッショナルになっているわけですから。でも、そこに情熱がないとね、続かない。やっぱり情熱って、感性とはまた別に、その人の『力』だと思う。上に立つ人、またそういう人を教えるときに、『何が大切?』となったときは、やっぱり情熱なんだと思いますよ。不器用だっていいじゃないですか、情熱があれば。

『俺はうまい』『感性がある』なんて思う人がいるとして、多少不器用でも情熱のある人にしばらくすると敵わなくなると思います。内田くんも、みやちくんもオーナーサロンをやっているのは、情熱があるからだろうし、だからこそ次のクリエイトができると思う。

あとやっぱりいろんな人の作品を見ることも大事。そうして『悔しい!』と思って、情熱を燃やして、『練習しないと!』っていう形で絶えず自分に競争を仕掛ける感じで。多分僕も含め、内田くんもみやちくんも、そんなに器用じゃないと思うんです。ただ、人一倍情熱があって、努力している人なんじゃないかなって思います。

あとね、新しいものは必ず古くなる。人気のある人は絶対落ちる。時代の流れで。でも、彼らにはすごくパワーがあるから。まさに『これから』だと思うよ。

内田・みやち 恐れ多い! 先生、これからですか!?

川島 おそらく僕からしてみたら、息子ぐらいの世代じゃないですか、彼らふたりは。でも美容って世代とか、年齢とか全然関係ないのよ。とにかくものづくりをしっかりできる情熱があることが大事! それと、地味かもしれないけれど、サロンワークをしっかりとやる。『サロンワークを大事にする』ことで、スタッフたちもその背中を見ながら、『この人みたいになってみよう』となるわけ。

内田・みやち なるほど〜。

川島 あと、過去って変えられないし、未来なんてわかんないけど、『今』を最大限にやることがいちばん大切。それと最近、思うのが、美容ってもう競争ではなくて、共存していかないと、ということ。 みんなそれぞれ捉え方は違うけど、美容師をやるのは目の前のお客さまをきれいにしたい、カッコよくしたいからじゃないですか。だから方法論は違うけど、共存した方がいいと思うし、お互いに尊敬していければいいと思う。

僕なんか アシスタントの24、25歳の若い人でも、『いい仕事するな』っていつも感じるよ。先輩後輩関係なく『あ、この人いいもの持っているな』とリスペクトしあう気持ちがあると、それぞれにやっぱり伸びてくると思うし。お互いに『技術のキャッチボール』だから、若い人のことも尊敬してやるといいんじゃないですか。

内田 確かに『技術のキャッチボール』は大事ですよね。

みやち 名言ですね。

川島 いつの世もジェネレーションギャップはあるもの。だからこそ、それぞれの世代同士がお互いにリスペクトしあって、ものすごい速さで進化する技術や情報を共有して、現場でしっかりできる人っていうのがやっぱり美容師として無敵だし、不滅だと思いますよ。

(出典:「PREPPY 2024年1月号」)

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