【新橋・ガード下横丁】THE FACTORY CO.,LTD・吉田雄二さんが横丁に向かう理由。

いま、感度の高い業界人やクリエイターから密かに注目を集める場所、横丁。小綺麗で洒落たカフェではなく、なぜ彼らは“猥雑な”横丁へと足を運ぶのか。日々お洒落なモノ、ヒト、コトに囲まれ、考えているからこそ、リラックスする時間はそこから離れたい、と語る「THE FACTORY CO.,LTD」代表の吉田雄二さん。そんな彼が足を運ぶのは新橋・新橋ガード下横丁。人が溢れかえる活気に満ちた横丁を満喫しよう。

「THE FACTORY CO.,LTD」代表・吉田雄二さん|1975年生まれ、福島県出身。大手セレクトショップでバイヤーを務めた後、独立。自身のブランド、「JOHN MASON SMITH」と「JANE SMITH」を立ち上げ、デザイナーとして腕をふるう

お酒を飲む時くらいはお洒落とは無縁な場所でリラックスしたい。

「駅で降りて、ここまで来る間に何度も二度見されましたよ」と笑いながら横丁に入ってきたのは、JOHN MASON SMITHというブランドを自ら立ち上げ、デ ィレクターを務める吉田雄二さん。オンブレチェックのセットアップに身を包み、足元にはシャワーサンダル、そしてエルメスのシルバーアクセサリーで装った彼は、どこからどう見てもアパレルの業界人。

「人目はあまり気になりません、自分なりの正装をしているつもりなので。飲み屋さんで突っ込まれることも多々ありますが、それも楽しんでいます」と吉田さん。たとえプライペードだろうが、お酒の入る場所であろうが、あくまで自らのスタイルを貫くのだ。

そんな吉田さんだが、酒を飲むならやっぱり肩の力を抜くことができるラフな横丁なのだという。

「若い頃に比べれば、お酒の量は減りました。ですが、今でも週に1~2回は飲みに行きますよ。ただ、酔っ払うためではなくて、食事がてらですけど。職業柄、お洒落なモノ、ヒト、コトは寝ている時間以外はずっと考えているのでお洒落に日々囲まれているじゃないですか。だから、せめてリラックスしてお酒を飲むところくらいには、お洒落を求めません。洒落じゃないところを選びたい。

とくに、内装や料理の〝お洒落代〟が飲み代に含まれているような店は避けますね。ラフでカジュアルな昔ながらのお店でも、ちゃんと美味しい料理を出してくれるところがいい。商売の本質的なところですけど、本業の料理とお酒さえ美味しく楽しめれば、高かろうが 安かろうが、お洒落だろうがダサかろうが、関係ないと思うんですよ」

この日、吉田さんが足を運んだのは、「新橋ガード下横丁」にある九州料理屋「九州づ
くし 都久志屋」。宮崎の地鶏、霧島鶏を使った数々の料理に加え、マニアックな九州の郷土料理がメニューに並ぶ。

「鶏肉が大好きで、焼き鳥の店はこれまでにかなり開拓してきました。とくに好きなのは、ぼんじりの塩です。脂が乗ってる感じがたまりません。ここの地鶏も肉の風味が濃くて良いですね。こういう横丁の雰囲気で味わうとなおさら美味しく感じられます」

中華料理、貝専門店、おばんざい屋など、個性豊かな10軒のお店がひしめき合う「新橋ガード下横丁」。お客さん同士の距離が近いので、自然と交流も生まれる。どの店に入っても他店のメニューを出前できるのも嬉しい

明太子に辛子蓮根と次々に九州料理が運ばれて来る。じっくり味わっている間に、隣からアコースティックギターの音が響いてきた。昭和、平成のヒットソングを次々に奏でるのは流しのミュージシャン。横丁の客のリクエストに応えて、声が枯れるほどまでに熱唱している。それをBGMに吉田さんの酒も進んでいく。

「歳を重ねるとあまり深酒をしないようになりました。酔いというよりも、酒そのものと料理を楽しむ感じですかね。横丁みたいなところで飲んだ後に飲み足りなかったり、もっと良い酒を飲みたい時はバーに行ったりします。自宅から近い三軒茶屋の三角地帯にもよく行きます。事務所がある広尾の近辺はこれから開拓していくつもりです」

新橋ガード下横丁を訪れた流しのミュージシャン。懐メロを中心に幅広いレパートリーで場を盛り上げる。客席からは自然と手拍子が起こり、合唱がはじまることも
この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

金子ノブアキが着る【REDKAP × FREAK’S STORE】

  • 2026.10.21

長い歴史を持つワークウエアブランド〈レッドキャップ〉と〈フリークス ストア〉のコラボアイテムを金子ノブアキが今の感覚で着こなす。年齢を重ねたからこそ楽しめる服のこと、ブランドが持つ哲学のこと、そしてこれから大切にしていきたいこと。45歳を迎えた金子さんに、ファッションと生き方について話を聞いた。 タ...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

原毛から生地まで。一貫生産を守る英国生地の名門「ムーン」とは?

  • 2026.10.19

服を突き詰めていくと辿り着くのが生地。トラッド好きなら一度は耳にしたことがあるであろう英国の名門が「ムーン」だ。羊毛から紡績、染色、織布を一貫して行う英国最後の生地メーカーが誇る伝統のモノづくりに迫る。(写真は、生地の製造において重要な“織り”の工程。タテ糸とヨコ糸をゆっくりと交差させ、チェック柄が...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...

Pick Up おすすめ記事

ヒートツイードとは? 軽くて薄くて暖かい、英国派に捧ぐ革命ツイード

  • 2026.10.26

〈トラディショナル ウェザーウェア〉が誇る人気シリーズ、ヒートツイード。英国ツイードのオーセンティックな雰囲気はそのままに、驚くほど軽く、保温性の高いオリジナル生地。一度味わうとやみつき間違いなし! 英国らしくも、軽くて暖かなツイード生地は現代的ヘビーデューティ素材の最適解である。 【コート】ブラン...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

東京・入谷にできた靴づくりの新聖地「THE ZINE FOOTWEAR CLUB.」にメディア初潜入!

  • 2026.10.18

「ブラザーブリッジ」や「シュアブーツ」を手がける「ザ ジン フットウェア」。店舗と企画・縫製工場がひとつになったいわば“本拠地”を入谷に新設した。メディア初公開となる、その全貌に迫る。 メーカーでもあり店舗でもある新拠点 弊誌の読者であれば、おそらく「ブラザーブリッジ」という革靴ブランドはご存知であ...

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...