消防ホースをバッグにアレンジ。熟練の縫製職人とともに実現したアップサイクル。

人々の生活には必要不可欠だが、だからこそ時に大量に廃棄されてしまうことのあるものがある。消防ホースもそんなひとつ。ある時大量廃棄されている消防ホースを見て、何かに再利用できないかと思い、バッグを作ることを思い立ったのが「アップサイクルラボ」の小島忠将さんだ。どのような経緯で消防ホースからバッグを作ることになったのか、その経緯を聞いた。

未使用でも廃棄されてしまうことのある消防ホースを再利用したいという思いからスタート。

まだアップサイクルやSDGsという言葉が浸透していなかった2010年、小島忠将さんは大量に廃棄されている消防ホースを見て、何かできないかと考え始めた。それがアップサイクルラボのスタートだ。

「家屋の解体業に従事していた頃、ビルの解体をすることもありました。各階には火災報知器があって、その中に消防ホースも収納されています。もちろん、消防ホースが使われないのが一番いいのですが、未使用であっても一定期間が過ぎると廃棄されるんです」

一口に消防ホースといってもメーカーによって色やサイズなどの仕様が様々。アップサイクルラボでは、いつも使用するメーカーが決まっているそう

若かりし頃、バックパッカーでもあった小島さん。タイに行ったときに、地元の人が捨てられている素材を使ってサンダルやバッグを自作して使っていた。消防ホースをバッグにするという発想は、そういった経験が少なからず影響していることは間違いない。

とはいえ、何からやっていいのか。消防署に片っ端から電話をして消防ホースを譲ってもらえないか交渉した。しかし消防署の備品は税金で購入されている。それを何の実績もない小島さんに譲ってくれるはずもなかった。

しかし、インターネットのオークションで中古のホースが出品されていて、ようやく足かがりができた。次にバッグを作ってくれる縫製工場探しだ。タウンページを片手に、電話をしまくる日々。鞄作りの街、兵庫県豊岡市の縫製業者が「縫えるかわからないけれど、やってみましょう」と引き受けてくれた。

もったいないという気持ちが自分を動かし、そして周りを挑戦へと導きだしたのだ。

まず消防ホースを洗浄してきれいすることから、バッグ作りがスタートする。この作業がまた大変!

硬く頑丈な素材のため縫製技術がモノをいう。

消防ホースを使ったバッグ作りの縫製をするのは、鞄作りの街で知られる豊岡の職人たち。硬く頑丈なため、なかなか針が通らず折れてしまったこともあったとか。試行錯誤を繰り返しながら、ようやく完成に取り次げたそうだ。

スパイラルのトートバッグの製造風景。約20m ほどのある消防ホースをぐるぐると回しながら、筒状になるように丁寧に縫い上げていく。

筒状に縫製するというユニークな作り方。中を空洞になるように縫製していく。奥にあるのがミシンだ。

バッグのサイズにカットしてバッグへと仕上げていく。

丈夫で使い勝手もいい、アップサイクルラボのバッグ。

消防ホースの外側と内側を交互にスパイラル状にデザインしたカジュアルなトートバッグ。W400×H380×D120mmと大きめサイズ。2万2000円

オールブラックでビジネス使用にもぴったりなトートバッグ。消防ホースを縦に縫製しているので、落ち着いた雰囲気だ。ショルダーベルト付き。1万8700円

工事現場のシートなどに使われるターポリン素材のトートバッグ。耐水性・耐久性に優れている。9900円

消防ボースとは思えない素材感と細いカラフルなラインが特徴的なショルダーバッグ。内外にポケットを装備し収納力抜群。散歩や買い物に最適なサイズ感。1万2100円

【DATA】
UPCYCLE LAB
TEL0742-35-7433
https://www.upcyclelab.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)

この記事を書いた人
めぐミルク
この記事を書いた人

めぐミルク

手仕事大好きDIY女子

文房具、デザイン、ニッポンカルチャーなどのジャンルレスな雑誌編集を経てLightningへ。共通しているのはとにかくプロダクツが好きだということ。取材に行くたび、旅行するたびに欲しいものは即決で買ってしまうという散財グセがある。Lightningでは飲食、ハウジング、インテリアなどを担当。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

いつもの装いに、頼れる履き心地。この秋は、コートスニーカーとチロリアンシューズがあればいい

  • 2026.09.18

トラッドな装いになら、足元はやっぱり品よくいきたい。でも、履き心地だってこだわりたい。そんな欲張りな気分に応えてくれるのが「ロックポート」。クラシックな佇まいと快適さを両立した2足を紹介する。 品よく履けて、しっかり快適 「お洒落は我慢」とは言うけれど、格好よさも履き心地も譲れない。そんなわがままに...

イタリア・パルマで誕生。世界屈指のベルト「Anderson’s」、その生まれる場所へ

  • 2026.09.17

1966年、イタリア北部に位置する美食の街・パルマで創業したベルトメーカー「アンダーソンズ」。装いを完成させる“名脇役的存在”のベルトをメインとする稀有な存在にして、世界的な評価を獲得する某ブランドのプロダクトはどのように生まれるのか。その魂が宿る自社工場に足を運んだ。 イタリア・パルマの地に宿る6...

Why Banana Republic? 2nd編集部イチ押し「バナナ・リパブリック」アイテムと、ブランドの魅力を徹底解説

  • 2026.09.16

1978年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したバナナ・リパブリック。クラシックとモダンが共存する唯一無二のスタイルや歴史を紐解くことで、我々が彼らのプロダクトを手に取るべき“理由”が見えてくる。(記事をご覧いただいた方への特典を最後に紹介しています) [caption id="attachment...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

労働者やアウトドアマンに愛された実用服。「ウエアハウス」のフランネルシャツ

  • 2026.10.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 糸そのものから再現し旧式の織り機を用いて製作 フラン...

Pick Up おすすめ記事

名作[ハリケーントップ]誕生から40周年! 「CHUMS」の「ハローウェア」が再登場

  • 2026.09.23

「チャムス」の名作[ハリケーントップ]の誕生から40年を迎える今年、「ハローウェア」が再登場する。そのコレクションを紹介する前に、まずはブランドが歩んできた歴史を紐解いていこう。これまでの歩みを知れば、「ハローウェア」をもっと楽しめるはずだ。 ハロー、懐かしくて新しいチャムス サングラスを川に落とさ...

歴史に残る空軍服を、いま再び。機能美が息づく「中田商店」のモーガンメンフィスベル

  • 2026.10.02

メンフィス・ベル号の機長、ロバート・K・モーガン氏との交流から始まったモーガンメンフィスベルは第二次世界大戦期の空を支えたフライトウエアを現代に蘇らせる中田商店のオリジナルブランド。極限の環境で求められた機能と、色褪せない完成されたデザインが魅力の航空服を紹介する。 R.A.F. Irvin She...

労働者やアウトドアマンに愛された実用服。「ウエアハウス」のフランネルシャツ

  • 2026.10.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 糸そのものから再現し旧式の織り機を用いて製作 フラン...

今季ワードローブに加えたいアイテムを厳選紹介! 「EIGHT-G」で秋支度。

  • 2026.10.04

秋の装いが楽しくなる季節。ミリタリーやワークといったアメリカ由来の実用服をベースに、素材やディテールへこだわりを詰め込んだエイトジーの新作から今季のワードローブに加えたいアイテムをピックアップ。 (右)ジャケット110,000円(TMJ2615)、シャツ23,100円(8LS-81)、ジーンズ24,...

全16色! 10年以上のロングセラーを誇る「HEATH」の名作ネルシャツが超人気なワケ

  • 2026.09.30

秋冬のアメカジ服の定番、ネルシャツ。横浜のセレクトショップHEATHが手がけるオリジナルブランドBLUE PORTのネルシャツが10年以上のロングセラーを誇るとのことで、その人気の秘密に迫る。 【理由①】優れたコストパフォーマンス ディテールやシルエットにもこだわった高いクオリティに対して、なんと税...