京都の築95年の町屋を自ら改装、自作インテリアと英国ヴィンテージ好きなモノに囲まれた自宅兼仕事場。

D.I.Y. に挑戦したいけどできるのか、やり方がわからないと二の足を踏んでいる方、素人からでもここまでできるんだということを証明する冨金原(ふきんばら)さんの空間作りと自分の好きなものに対する徹底したこだわりぶりを参考にしてみてはいかが?

「陶芸家・Studio Enju・PolaSta」オーナー・冨金原 塊さん

ふきんばらかい。1973年京都生まれ。20代より権威、コネ、師弟関係とは無縁の環境で活動を続ける。新たに生み出した「ブックエンド」シリーズが注目を集め、陶芸家としての新境地を切り開く。

こだわって作り上げたイギリスのパブのような自宅兼仕事場。

「陶芸家ってシンプルな作業場で作務衣を着てっていうイメージが強いですが、僕は作務衣も着ないし空間にもこだわりたいんです」

「生活空間も仕事場もそこで長い時間を過ごすからこそ目に入る全てが気に入ったモノで囲まれた空間でないとイヤだったんです」

そう話すのは、京都を拠点に活動する陶芸家の冨金原さん。自分の好きな世界観がある人なら彼の意見に異論はないだろうが、彼の実践するこだわりは想像を遥かに上回るものだった。

京都の築95年の町屋を改装した自宅兼アトリエを訪れてみると、そこは外観からは想像も付かないイギリスの古いパブに迷い込んだような異国情緒溢れる空間が。そして、その中心には舞台のようにワークスペースとなるろくろ台が鎮座している。

イギリスのパブをイメージしたアトリエは、ヨーロッパモノを中心に、日本のヴィンテージもミックス

これだけでも驚きだが、さらに凄いのが水回りなども含めて全て一人でこの空間を作ったこと。しかも、図面などは一切書かないという。

使用するドアや資材などは常にアンティークショップをチェックしていて気に入ったものがあればまずは確保し、必要に応じて見合うものを使用していくという。

洗面台や照明や棚など自ら作った家具類も多数で、細部にまで手が込んでいる

「最初は柱と壁だけの状態でした。プロに頼めば綺麗になるんですが、でも、全部自分の思い通りにはいかない。だから、多少荒くても自分でやった方が納得いくようにできますから。やり始めた20 年前はネットの情報もなく本で調べたりして大変でしたけど、今はユーチューブとかあるので楽ですよ。あとはやるかやらないかだけです」

隣のギャラリー奥にある知人の陶芸家の作業場が入る事務所スペース
ドイツのヴィンテージの壁紙と家具の組み合わせがシック
中庭部分には電気・ガス併用の窯。こちらで作品が焼き上げられる
作風は特にスタイルに囚われず自由にオリジナルを追求する

さらにはギャラリーとカフェもセルフで改装しちゃいました。

築90年の4軒続き長屋のうちの3軒を使って、住居兼アトリエ、ギャラリー、カフェとしてリノベーション。昔の面影を残しながら外壁や大きい窓が入るサッシなども自らの手でモダンに改装。

ギャラリーとカフェは営業中。京都府京都市北区紫野郷ノ上町41-14 075-462-3650 土日月火営業(臨時休業あり)

特にD.I.Y.の知識もなかったが、「自分の納得のいく空間を作りたい」という情熱のみでプロも驚く空間を作り上げた冨金原さん。

住居兼アトリエの隣の長屋で、冨金原さんはじめ仲間の作家の作品が並ぶギャラリー「ポーラスタ」。2年半の改装を経て8年前にオープン。

こちらは3年前に新たに借りた、さらにお隣の長屋。ギャラリーに加えて今年3月よりカフェ&洋菓子店「こむぎと」が新たにオープンした。

22年3月にオープンしたばかりの「こむぎと」。奥の業務用キッチンも手作り。これまでの経験を生かして保健所の審査も無事パスさせた。

3軒続き長屋で行き来できるよう扉を新設。わざわざラウンドした形状で制作。ドアノブや窓など細部まで手が込んでいる。

ギャラリーには作風に取られずオリジナル作品を作る冨金原さんの作品だけでなく仲間の作家の陶磁器やガラス作品も並ぶ。

自己チュー住宅を彩る、バラエティ豊かな収蔵品たち

各所にはアンティークのシャンデリアが多数。「意外と普段使いできますよ。クリスタル製がオススメです」

アトリエ一角のソファコーナー。後ろの壁にはイギリスのアーティストの写真。天井はヴィンテージの壁紙を使用

ロック好き、ギター好きには人気のマーシャルのジャンクのアンプを自らカスタムして作った小物入れ。常にロックな雰囲気が味わえる。

アトリエ内の洗面所に置いてあるハンドソープボトルは最も愛飲するオールドパーの空きボトルをカスタマイズ。この徹底ぶりはお見事。

ロンドンのバスで実際に使用されていたヴィンテージのバスロールサイン。紙の質感や文字などが好きでコレクトしているという。

(出典/「Lightning2022年10月号 Vol.342」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...

遊びをぎっしり詰め込んだ“俺ジーンズ”を作ってみた。

  • 2026.07.29

児島に本社と工房を置くベティスミスでは、その人に合ったジーンズをフルオーダーで作ることができる。そこで編集部スタッフが現地へ赴き、わがまま言い放題の“俺だけのジーンズ”をオーダー。その様子と完成品をレポートする。 編集・ジョージ(右)|編集部イチのジーンズ偏愛者といっても過言ではない。とんでもないジ...

高額商品もお得にゲット! 夏の“福”を呼ぶオンラインフェス「イナズマ福袋フェア」8月15・16日開催

  • 2026.08.04

真夏のオンラインフェスの開催が決定! 今回はなんと“福袋”。人気ブランドの人気アイテムを袋に詰め込んで販売するぞ。中身は開けてのお楽しみ。もちろん恒例の2日間ライブ配信も。さらに○○グランプリも開催。オンラインショッピング会場には1000円の入場料がかかるが、LIVE配信、抽選会、○○GPは参加無料...

Pick Up おすすめ記事

ジャパンレザーの集大成がここに。AJLP始動。

  • 2026.08.06

ALL JAPAN LEATHER PRODUCT。略して「AJLP」なるビッグプロジェクトが始動した。国産の原皮=地生(じなま)にこだわり、鞣しから縫製まですべてを日本で行う“オールジャパン”に価値を見出し、そのクオリティや魅力を伝えるべく、革のプロフェッショナルたちがここに集結した。 ALL J...

変わらぬ美学に宿る新たな意匠。「アリゾナフリーダム」の今季注目は『浮唐草』

  • 2026.08.03

ARIZONA FREEDOMのものづくりは、受け継がれてきた美学を守りながら、新たな表現を追求し続けている。今季は、立体感のある彫刻で唐草を表現した「浮唐草」が登場。伝統的なモチーフに新たな息吹を吹き込み、ブランドの世界観をさらに進化させている。一方で、創業以来愛され続ける定番モデルも、その普遍的...

「ATSU LEATHER WORKS」が世に放つ、唯一無二の革パンエイジングモデル。

  • 2026.07.22

ライダースジャケットの世界で独自のエイジング表現を追求してきたアツレザーワークス。その哲学を受け継ぐ初のレザーパンツ“Lily”が誕生。いちから着用者のライフスタイルを刻み込むプレーンモデルと、長年穿き込まれた表情を職人技で再現したエイジングモデルをラインナップ。革をより幅広い季節、幅広いスタイルで...

朗報!「ウエアハウス」最高峰レーベルの最高傑作DDシリーズ「1001XX」が待望の再入荷。これは見逃すな!

  • 2026.08.02

ミクロレベルまで研究し、古着と見間違うほどのプロダクツを現代に蘇らせるウエアハウス。当時の生産技術や時代背景までも丁寧に掘り下げられて完成した服は、限りなくヴィンテージに近い存在だ。そんな彼らが生み出す服こそ、オーセンティックと呼ぶにふさわしい。 「1001XX 1947」が近日入荷。夏の装いに欠か...

遊びをぎっしり詰め込んだ“俺ジーンズ”を作ってみた。

  • 2026.07.29

児島に本社と工房を置くベティスミスでは、その人に合ったジーンズをフルオーダーで作ることができる。そこで編集部スタッフが現地へ赴き、わがまま言い放題の“俺だけのジーンズ”をオーダー。その様子と完成品をレポートする。 編集・ジョージ(右)|編集部イチのジーンズ偏愛者といっても過言ではない。とんでもないジ...