十代からスケートボードに没頭してきた男が、憧れを抱いたオールドスクールチョッパー。

若い頃から親しんだスケートボードの影響でアメリカンカルチャーに傾倒し、憧れを抱いたオールドスクールチョッパー。気鋭のビルダーが製作したショベルヘッドは、オーナーと走行を重ねながらさらなる進化を遂げる。

走り続けながら自分なりの歴史を刻む。

NORIさん|スケーターであり、チョッパー乗り。飲食店で働く傍で、フリーのモデルとしても活躍する多彩な20代。番頭を務めていた原宿の某ハンバーガーショップを6月で辞め、ステップアップまでにバイク旅を計画中

身長185㎝、イケメン、全身にブラック&グレイタトゥーを刻み、趣味はスケートボードとチョッパー、そしてカリフォルニアとカナダに在住経験有り(英語の喋りはボチボチ)。そんな才能溢れる若者が毎日原宿に通う通勤の足は’76年式FXE。十代からスケートボードに没頭してきたおかげで、西海岸の文化を好む仲間や先輩が多く、チョッパーに憧れを抱くのは必然だったようだ。

昨今旧い乗り物の世界では、製作された当時の姿をそのまま現代に残す車両を指すサバイバーという言葉が価値を持つ時代だが、NORIさんが求めたのは’70sそのままの姿ではなく、スタイリングは当時を意識しながらも、クリーンな状態から自分で走り雰囲気を漂わせるリアルなチョッパーだ。

サンフランシスコから日本に辿り着いた車両をベースとして、’70sのスタイルをモチーフにHUMONGOUS CUSTOM CYCLESでビルドされたFXE。初めてのH-Dだが、ビルダーと相談しながらほぼ全てのパーツを自分で決めて理想のスタイルを完成させた

「先輩のビルダーに相談しながら自分の好みでパーツを選びました。やれたヴィンテージパーツで構成すれば最初から雰囲気のあるチョッパーになるかもしれないけれど、この車両は走りながら自分で育てていきたいと思っています」

サバイバーは長年生き続けた車両のヒストリーを価値に含む言葉だが、このマシンは然に非ず。2021年にビルドされ、そこからオーナーと共に走り続けながら新たなヒストリーを刻んでいく。

横浜の自宅から原宿の職場までの通勤快速として活躍するチョッパー。手前にプルバックしたナローなハンドルを掴み、体を起こして乗るポジションはロングライドも快適なのだとか

1976 HARLEY-DAVIDSON FXE SHOVELHEADのディテールを拝見!

6インチオーバーのナローグライドフォークは操作性を損なわないギリギリの長さのロングフォーク。’70sの象徴的なディテールである2連スクエアライトをブラックで塗装。

絞り込まれたナローな6ベントバーは、押し引きは大変だが、実はすり抜けしやすい都会的なディテール。外装のブラック&シルバーのペイントはS PAIT WORKSが担当。

スタイリングの肝となるクレイジーフランクフェンダー。ヴィンテージのチョッパーパーツとして知られるフェンダーだが、しばらく現場を離れていたFrank Salcidoが復帰を果たしたファーストロットのパーツなのだとか。

(出典/「Lightning2022年8月号 Vol.340」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

Pick Up おすすめ記事

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...