「ATTRACTIONS」代表・西崎智成さんに学ぶ! 革の仕上げの違いで変わる革ジャンの魅力。

革やなめしの種類、デザインなど、革ジャンを選ぶ条件は様々だが、経年変化に注目するのであれば、レザーの質感には“仕上げ” が大きく影響する。今回は渋なめしのホースハイドに4 種類の仕上げを施したビルトバックのレザーで、それぞれの仕上げの特徴を説明しよう。

「ATTRACTIONS」代表・西崎智成さん

’40 ~’50sの革ジャンをこよなく愛するレザー愛好家。タンナーや加工工場を歩き回り、現場から得た知識をビルトバックのレザーにフィードバックしている。

着込んだ先のレザーの質感を左右する鍵は“仕上げ”にあり。

レザーの経年変化は革ジャンを着る醍醐味のひとつだが、新品の状態では着込んで育った先の表情がイマイチわからないのが革ジャン選びの悩ましいところ。もちろん普段のメンテや着方の影響も大きいので、「この革ならこうなる」と一概には言えないのだが、レザーの仕上げの工程は、経年変化の方向性を決めるひとつの指標になる。つまり、思い描く理想の経年変化像があるならば、仕上げには必ずこだわるべきなのだ。

まず、仕上げと言っても想像しにくいかもしれないが、仕上げは簡単に言うと着色時、または着色後に行われる作業工程で、レザーの表面となる部分に何を使ってレザーをコーティングするかというコト。その工程によって、シボの現れ方や退色のしやすさ、柔らかさなど、様々な個性が生まれるので実は経年変化ラバーにとっては非常に重要なポイント。

一生付き合うことになるかもしれない相棒を手に入れるその前に、理想のレザーの仕上げについて真剣に考えてみよう。

透明感が強く、シボが強調されるカゼインフィニッシュ

卵白のような仕上げ材をトップに使用するカゼインフィニッシュ。ラッカーと同様クリアだが、より自然な質感で、レザーがラッカーに比べて柔らかくなりやすいので、肉厚なレザーのライダースなどでよく採用される。表面の膜の透明度が高いため、レザーの本来の表情を大切にしながらも艶感が強く、シボ感や皺がハッキリと現れやすいのが特徴だ。

BILTBUCK/Horsehide Johnson Riders Jacket|アビエイターやスポーツジャケットから進化を遂げ、ライダースのスタイルが確立された初期のデザインを彷彿とさせる1着。Dポケなし4ポケットのクラシカルなスタイルで、長めの袖ジッパーが袖の上側に付いているので、バイクの外装に干渉する心配が少ないのも見所だ。21万7800円

1940s〜’50sのヴィンテージに多く見られるラッカーフィニッシュ

染料染めの上にクリアのラッカーを吹き付けて仕上げたホースハイド。表面に透明の膜ができるため水に強く、’40s~’50s頃のレザージャケットに多く採用された。膜が厚いため着始めはややハードな着心地で、透明の膜によって銀面の凹凸がキラキラしたような光沢を持つ。擦れやすい部分は染料が剥がれるような荒々しい経年変化が見られる。

BILTBUCK/Grizzly Jacket|1930sの冬季用スポーツジャケットをモチーフとしたグリズリージャケット。上質な毛並みのシープムートンと光沢感が強いラッカーフィニッシュのホースハイドのコントラストが美しい。着込むほどにホースハイド部分は艶が増し、塗料が削れるように変化する豊かな表情を見せてくれる。20万6800円

艶を抑えたしっとりとした質感のオイルフィニッシュ

天然のオイルでトップを仕上げたレザーはしっとりとしてマットな質感になるのがポイント。レザーが柔らかく馴染みが良いので、細かい皺が浮き出て、擦れる部分は光沢が出やすい。マットなため艶感のコントラストが味わいやすいのがオイル仕上げ特有の色気と言える。オイルの種類によって耐久性は様々だが、乾燥しにくいのも魅力である。

BILTBUCK/Horsehide Royal Half Coat|ドレッシーなシルエットがエレガントな空気感を醸し出すハーフコート。シンプルなデザインゆえに着こなしの幅も広く、綺麗めなレザースタイルにもマッチする。油分をたっぷり含むホースハイドの質感は、大人な雰囲気の中にダイナミックな経年変化のポテンシャルを秘めている。20万6800円

本来のレザーの風合いを味わいやすい素上げ

渋なめしのホースハイドに手塗りで染料の着色を施し、その上に仕上げ材を加えない素上げのフィニッシュ。表面に膜となるモノが何もないため、乾燥しやすく退色しやすいという特徴があるが、その分レザーが本来持っている表情を味わいやすい。色味やシボ感など、着込むほどに現れる経年変化をダイレクトに感じられるのが最大の魅力だ。

BILTBUCK/Horsehide Stallion Jacket|ライダース誕生以前のスタイルをイメージしたスポーツジャケット。無駄のないシンプルなスタイルが、素上げのホースハイドの存在感を引き立てている。光の具合で色味の見え方が変化するほど繊細なレザーで、色落ちしやすく、ムラ感のある素上げ特有の質感の変化を楽しめる。18万4800円

【問い合わせ】
アトラクションズ
TEL03-3408-0036
https://attractions.co.jp

情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典「Lightning2022年1月号 Vol.333」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

【VAN×2nd別注】スポーティなレタードカーティガンでひと味違うアイビースタイルを。

  • 2026.02.03

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【VAN×2nd】トラックカーディガン[レタードワッペンセット] 日本にアイビーの礎を築いたブランド、「VAN(ヴァ...

【KEATON CHASE U.S.A.×2nd別注】大人のための、ちょうどいいシャンブレーシャツ登場!

  • 2026.01.25

ライトオンスのシャンブレーを使用した、米国のシャツファクトリー「キートンチェイスUSA」の定番プルオーバーシャツ。カジュアルな要素を備えながらシャツ本来のきちんと感も残したこのアイテムを、2nd仕様に別注。胸ポケットの作りや前立てのボタンの数などを微調整し、すっきりと大人な印象にまとまっている。 >...

日本屈指のインディアンジュエリーブランドが放つ、美しき馬蹄のシルバージュエリー。

  • 2025.12.24

日本屈指のインディアンジュエリーブランド・ファーストアローズがこの冬新たにリリースした「馬蹄」を象った「ホースシュー」シリーズ。奇しくも2026年は午(うま)年。ファッション面だけでなく、来年こそは飛躍を願う人にとって最高の開運アイテムとなるはずだ。 新作「ホースシュー」シリーズを一挙紹介! 1. ...

【Highland2000×2nd別注】ヴィンテージのスクールマフラーに着想を得たトラディショナル スクールマフラー登場

  • 2026.01.23

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 昨年に続く、第2弾コラボレーション! 【Highland2000×2nd】トラディショナル スクールマフラー 昨年大...

「ORGUEIL」が提案する、凛冬を彩る大人のガーメンツ。

  • 2025.12.26

凛とした寒さが日に日に増し、コーディネートが重くなりがちな季節。クラシックなデザインと丁寧な作り込みのORGUEILのクロージングが、いつものスタイルを格上げしてくれる。さりげなく上質で存在感のある一着が、冬の日々を彩ってくれるはずだ。 Aniline Steer Oil A-1 Jacket 19...

Pick Up おすすめ記事

こんなコスパのライダース、見たことある? 「中田商店」のオリジナルブランドのライダースを侮るなかれ!

  • 2025.12.29

東京・上野にある老舗ショップ、中田商店。そのオリジナルブランドが「モーガン・メンフィスベル」だ。中田商店というと、ミリタリーのイメージが強いが、モーガン・メンフィスベルでは、ミリタリーをはじめ、様々なレザーウエアを展開している。もちろん、ライダースのラインナップも豊富。今回は珠玉のライダースを紹介す...

「ORGUEIL」が提案する、凛冬を彩る大人のガーメンツ。

  • 2025.12.26

凛とした寒さが日に日に増し、コーディネートが重くなりがちな季節。クラシックなデザインと丁寧な作り込みのORGUEILのクロージングが、いつものスタイルを格上げしてくれる。さりげなく上質で存在感のある一着が、冬の日々を彩ってくれるはずだ。 Aniline Steer Oil A-1 Jacket 19...

前代未聞! “自立する”ジーンズ。「EIGHT’G」から職人泣かせならぬトラウマな超極厚ジーンズ登場。

  • 2026.02.04

前代未聞。エイトジーがまたしてもやってくれた! 超ヘビーな27.5オンスのジーンズの登場。生地の厚みと重量感はデニム史上でも圧倒的で、まるで穿く甲冑のような迫力。縫製は熟練職人の手作業のみで行われ、普通のジーンズでは味わえないタフさと存在感を誇る。穿くだけで男の背筋が伸びる、気合十分の究極仕様、“自...

オリジナル建材で古民家をスタイリッシュにリニューアル! ビフォーアフターを大公開!!

  • 2025.12.28

2025 年の夏の時点では床だけが施工されただけの古民家を再び訪れると、当時とはまったく違う姿になっていた。カントリーベースはこの家にどんな魔法をかけたのか? 何でもない空き家が宝物なる材料と技術 [caption id="attachment_887933" align="alignnone" w...

ヘビーデューティど真ん中! レトロなデイパックに注目。

  • 2026.01.26

1977年に発売された『ヘビーデューティの本』という名著をご存知だろうか。当時数々の雑誌で、イラスト・ルポ(自ら現地に赴いて取材した内容をイラストを用いながら報告すること)を描いていた小林泰彦さんが手掛けた1冊で、いまだファッション好きにとってのバイブルとなっている。ヘビーデューティとは、「耐久性が...