バースデーランタンからシーズンランタンズまで、コールマン・ランタンの基礎知識。

アメリカを代表する傑作プロダクツのひとつであるコールマンのランタン。コールマンが創業したのは1901年。戦前までは電気のインフラの整っていない田舎での必需品、戦後はアウトドアを楽しむためのツールとして人々を照らしてきた。その中でもシングルマントルランタンの名作として名高い200A は1951〜1984年まで生産されていた。基本構造は、今の現行品とほとんど変わらず、すでにランタンの完成形を誇っていた。この傑作200Aの基礎知識を学びながら、その魅力を探っていこう。

1.新旧問わずに愛せるコールマンの魅力とは?

まずはコールマンのランタンが広く愛されている理由を探ろう。お話を伺ったのは、ヴィンテージランタンとオイルランプの専門店である「ビブラント」オーナーの石角さん。コールマンに在籍していたこともあるランタンのスペシャリストである。その魅力はどこにあるのだろうか?

「VIBLANT」代表・石角直樹さん|コールマンにてショップスタッフを経て、本社へ勤務。退社後に、コールマンのヴィンテージランタンなどを取り扱うビブラントを二子玉川にオープン。日本有数の知識を持つエキスパートである

「コールマンのランタンは、基本的な構造がほとんど変わっていないので、メインテナンスさえすれば、ヴィンテージでも難なく使えることでしょうか。逆に言えば、現行モデルでもヴィンテージさながらの趣のある光なんです。数あるモデルの中でも代表的なのが、シングルマントルランタンの200A。

30年以上続いたロングセラーモデルですが、細かなディテールの変化があるので、自分の好みを探せるのも魅力。まずは初めに自分の生まれた年と月に作られたランタンを探す人が多いですね。ただ作られていない月もあるので、その場合は2 0 0A以外の他のモデルかカナダコールマンなんかで探すんですよ」

▼「ビブラント」についてはこちらの記事をチェック!

ヴィンテージコールマン専門店「VIBLANT(ビブラント)@二子玉川」を訪ねてみた。

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2022年06月13日

2.不滅の名作ランタン「MODEL 200A」の変遷を辿る。

コールマンの200Aは、リーバイスで言えば501のようなもの。ヴィンテージのシングルマントルランタンが欲しいと思ったら、まずここから。1951年に登場し1984年に生産が終了する。

1951-

モデル200から200Aに変更された最初期モデル。Aは前期のみ真鍮製のタンクだが途中から鉄に変わった。同じ年代にトップがレッド、タンクがグリーンという仕様も存在していてクリスマスカラーの愛称で親しまれる。

1952-1953

このモデルから赤のトップに、タンクも同色といういわゆる200Aのカラーリングになった。後年との違いは、フレームボトムとカラーに黒い塗装が施されていること。またイエローの枠があるデカールもこの年代の大きな特徴である。

1953-1961

1953年の後半からそれまで黒かったフレーム部分が、塗装のされていないシルバーカラーに。イエローデカールと呼ばれるステッカーのデザインがこの年代までなので、人気が高い。

1961-1962

カラーリングが大きく変化。この1年半くらいだけ濃い赤色になっていて、愛好家たちからはバーガンディと呼ばれている。ロゴはイエローの枠線がなくなり、同色の枠を用いたデカールに変更されている。

1965-1970

バーガンディカラーから本来のレッドに戻る。’63年後半にはベンチレーターの形が変更され、これを前期、後期と分ける。’65年〜’70年までは、コールマンのロゴにPatent Pendingが入り、通称パテペンと呼ばれている。

1980-1984

’70年頃にPatent Pendingの表記が取れ白枠ロゴに。’80年にグリーンに変更。’84年に後継モデルであるCL-1というモデルにバトンタッチされたが、諸事情ですぐ286にバトンタッチされるのだ。

3.「MODEL 200A」で探す! バースデイランタンの楽しみ方知ってる?

変遷を追ってきた「200A」について外せない話が「バースデーランタン」。コールマンのヴィンテージランタンを初めて探すなら、バースデーランタンを意識しても面白い。バースデーランタンとは、生まれた年と月に製造されたランタンを家族、特にわが子に贈るもので、世界的にアウトドア愛好家には知られている文化である。コールマンは、製造された年と月を裏面に刻印しているので、自分の誕生年だけでなく、誕生月まで狙えるというわけ。

この写真が一例で、左の数字が5月、右の数字が’83年を意味する。こちらは最終期の200Aでグリーンカラー。基本的には200Aモデルで探すのだが、製造が1984年頃までなので、85年以降に生まれた人はその後のモデルにも刻印があるので、諦めずに探してみよう!

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ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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