ダイヤ誕生の物語を知れば、男もダイヤに魅了されるはず。
男性にとってダイヤモンドは、“女性への最上級のプレゼント”というイメージが全てだろう。正直、私にとってもそうだった。しかし今回、「男ダイヤモンド」なるプロジェクトと出合い、その考え方は180度変わることになった。結論から言うと、ダイヤモンドは、男性こそ身に着けるべき! ここでそう断言させていただこう。
まず、その魅力のひとつがロマンである。地球の誕生は約46億年前。その後20億年の地球活動期において、地下150㎞のマントルで、最大1100度以下/45万気圧という超高温高圧なマグマの中でできた結晶が、ダイヤモンドだ。
しかし、その採掘は不可能。人間は、現在ですら地下12㎞までしか到達できない。活火山の噴火で、たまたまマッハ1・8の超音速でマグマとともに地上に押し出された鉱脈を探すしか術はないのである。いま世界中で取引されているダイヤモンドは、地球の長き歴史の中で、計7回の噴火で地上に押し出された分だけなのだという。たった7回である! ダイヤモンドがどれだけ神秘的かつ貴重なものなのか、お分かりいただけただろうか。
まずは、ダイヤモンドの原石を見てみよう。
すでにカットしたかのような綺麗な形をしているこれが、ダイヤモンドの原石である。噴火の際にマッハ1.8で吹き上がるマグマの流れにうまく乗ったものだけが、この原型を留めたまま地上に現れるという。
個体によっては表面に「トライゴン」と呼ばれる正三角形の窪みがある。これはダイヤモンドが結晶化する際に偶然現れるもの。原石ですら貴重な存在だそうで、トライゴンのあるものはさらに珍重されている。
噴出する際に溶けてしまった例。色は天然!
噴火の際のマッハ1.8のマグマの流れから逸れてしまうと、その高温高圧に耐え切れずに形が崩れ、さらに別の鉱物とくっつくなどしてしまう。この原石もそう。色も様々なものがあり、こちらはややイエローが強い個体だ。
さて、原石を磨くとこの写真のようなお馴染みの姿になる。ダイヤモンドの原石を研磨する技術は15世紀に確立され、カットして仕上げる技術は16〜17世紀に生まれた。そして、婚約指輪でお馴染みのラウンドブリリアントカットは、1919年にダイヤモンド加工職人であるベルギー人のマルセル・トルコウスキーが光学的特性に基づいて発明した。
ダイヤモンドは無色を基準に色相・明度・彩度の観点からグレーディングが行われる。宝石ダイヤモンドとしては着色があると価値は下がるが、逆にファンシーカラーダイヤモンドの世界では、色が濃くて鮮やかで大きいものほど価値が高まる。
男ダイヤモンドでは、上写真のような男性に似合う“シャンパンブラウン” と呼ばれる薄いブラウンカラーをオススメしている。価格も比較的手頃なため、非常に注目のダイヤモンドなのである。
その昔は男性のステータスシンボルだった。ダイヤモンドの歴史。
人類とダイヤモンドの出合いは、紀元前7〜8世紀頃のインドだという。紀元前3世紀頃からは、古代ギリシャ・ローマにも伝わり、刃が立たない硬度やインドからもたらされた神秘性から、当時はジュエリーではなく、戦士がお守りとして身に着ける石として活用されていた。
14世紀後半になると、ヨーロッパでダイヤモンドの研磨技術が確立され、15世紀にはカット技術も向上したことで、現代に通じる宝飾品としての価値も見い出された。そして、その硬さゆえ「征服されざるもの」とされ、権威や地位の象徴として時の権力者から珍重されるようになったそうだ。かのルイ14世にいたっては、歩くとダイヤモンドの音がすると言われるほど、全身にダイヤモンドをまとっていたというから驚きである。
ルイ14世以外にもダイヤモンドとの逸話は歴史上多く残されている。例えば、皇帝ナポレオンの公式宝石商だったマリー・エティエンヌ・ニト(現在のショーメ)が作った19世紀初頭のシグネットリングはなんと合計18095カラットのダイヤモンドが使われた豪華な指輪だった。
また、1650年頃にインド南部の鉱脈で発見されたと言われている、グレートモーグルと名付けられたダイヤモンドは787カラットもあったそうで、ムガール帝国の皇帝シャー・ジャハンに贈られたという。
男性が女性に贈るものというダイヤの価値観が一般化したのは、第二次世界大戦後のこと。つまり、そもそもダイヤモンドとは、男性こそが身に着けるものとして、世界的に知られていたというわけである。
「男ダイヤモンド」鑑賞セットを使って、ダイヤモンドを愛でてみよう。
そんな歴史を掘り下げながら、男性向けのダイヤモンドを提案するのが、ここで紹介する「男ダイヤモンド」というプロジェクト。男性に似合うシャンパンブラウンを筆頭に、ターコイズのように日頃から男性が愛用できるダイヤモンドのアクセサリーや、男心をくすぐる「鑑賞セット」をリリースしている。実際に鑑賞セットを使った「愛で方」を紹介しよう。
1.ルーペでカットの美しさを感じる。
男ならではのダイヤモンドの嗜み方のひとつが、愛でること。ヴィンテージウォッチを愛でるように、ルーペなどを使って神秘的な歴史を直に感じることができるのだ。専用のピンセットでダイヤモンドを摘み、専用のルーペで覗くという行為は、まさに男心をくすぐるもの。ヴィンテージウォッチも同様に愛でる私にとって、すんなり受け入れられる楽しみ方だ!
ダイヤモンドのカットの美しさは、大きな魅力のひとつ。原石の形やサイズに合わせて、ダイヤモンド職人が研磨とカットを施した様は、ひとつひとつ異なる表情を見せる。愛でてみたくなる7つのカットを紹介しよう。
1.ブリリアントカット
58面体のラウンドブリリアントカットは、婚約指輪などでお馴染みの最もダイヤモンドらしい形のもの。左右対称かどうかなど精度によって様々なグレードがあるが、こちらは最も優れたエクセレントグレードのもの。
2.オールドヨーロピアン
こちらは約200年前にカットされた、オールドヨーロピアンと呼ばれるもの。現在ほどの技術がなく、左のラウンドブリリアントカットより輝きに奥行きがない。これはアンティークとして楽しむダイヤモンドとも言える。
3.フランダース
「男ダイヤモンド」が推すのが、このフランダースと呼ばれる八角形のカット。ラウンドよりもワイルドな印象を受けるため、男性が身に着けるアクセサリーには打ってつけの存在。シャンパンカラーならなおさら男らしさが増す。
4.ハート型
ハート型にカットしたものもある。男性用のアクセサリーには向かないが、ルーペで愛でるとなると、その独特な輝きは目でも楽しめるカットといえるだろう。
5.ピック型
ギターのピックのような珍しい形のカットも存在。これまた独特な輝きのため、見ていて楽しいカットである。
6.ファンシーカット
ハートや三角形などと同様、ファンシーカットと称される変わり種の中には、こんな紋章のような形のものも。
7.ファンシーカット(フラット)
ファンシーカットの中でもかなり珍しい厚みのないカット。表面がフラットなため輝きに奥行きはほぼない。
2.ブラックライトで反応を見る。
非常にビックリしたのが、ブラックライトの紫外線を使った“鑑定”。ヴィンテージウォッチでは夜光のトリチウムの具合を見るのに使うことで知られているが、ダイヤモンドは炭素の結晶だが、元素レベルで炭素以外の元素が含まれていると光りやすい。これまたかなり興味深い!
こちらの原石セットもおすすめ!
こちらのセットはダイヤモンドの原石2種類とラウンドカット1種類が付いてくるセット。一見地味だが、ダイヤモンドの原石はその業界の方でも入手が難しいという希少な存在だそう。付属の小さなケースに入れて、お守りとして持ち歩くのもオススメしたい(石のみのセットもあり/ 1万2800円)
日頃からダイヤモンドをまとってみよう。
やっぱり最終的にはダイヤモンドを身に着けたいというのが本音。嫌味なくさりげなく着けられるかどうか、これがオシャレかどうかの分かれ道だ。というわけで、男ダイヤモンドでは様々な形や大きさのパーチを用意。スーツの方はジャケットの襟に着けるも良し! ヴィンテージデニムジャケットだって、小さいものをさりげなく着けるだけで、大人の男の色気を演出できるのだ。
ダメージのあるヴィンテージデニムにも、ピンバッジのような感覚でさりげなく着けていただきたい。こんなに小さくても、一緒に飲みに行った女性はすぐに気付いてくれるのだから、ダイヤモンドの存在感は別格なのである。
こちらはヴィンテージのステットソンのハット。いつも着けているキングマンのターコイズ付きファーストアローズ製のフェザーピンとともに、ダイヤモンドのパーチを着けてみる。
う〜ん、非常に格好がよろしい! このように実際に着けてみると、ダイヤモンドという言葉で連想する高いハードルは、一瞬にしてなくなるはず! ぜひ普段からダイヤモンドをまとっていただきたい。
これらのダイヤモンドは全てややブラウンがかったシャンパンブラウンのもの。クリアのものより男性的でワイルドな印象となるため、我々のヘリテージなスタイリングには非常に取り入れやすい! 手頃な価格なのも嬉しい限りだ。
【問い合わせ】
男ダイヤモンド
http://otokodiamond.com
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Text/T.Miura 三浦正行 Photo/A.Kuwayama 桑山章 問い合わせ/男ダイヤモンド info@otokodiamond.com http://otokodiamond.com
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