【名車の系譜】半世紀以上続くフラット6搭載のスポーツカー【PORSCHE 911(ポルシェ911)】

スポーツカーの代名詞「PORSCHE ポルシェ」。創始者であるフェルディナント・ポルシェ博士が設計したフォルクスワーゲン・ビートルのコンポーネンツを流用してスタートしたのが「356シリーズ」である。その後継モデルとして、’60年代初頭から開発を進め、’63年にフランクフルトモーターショーで発表された新型車が、その後半世紀以上生産を続けることとなる「911」だ。

【911 (901型)】ボディ全幅が狭いことから「ナロー」と呼ばれる初代モデル(1964年~)

フランクフルトショー翌年の’64年から販売を開始。初期のモデルは全幅も1700㎜以下で、フェンダーフレアもほとんどないことから、「ナロー」ポルシェと呼ばれる。開発コードは901だが、真ん中に0を挟んだ3桁の数字全てをプジョーが商標登録していたため、911という車名となった。そのため型式上は901型となる。またビッグバンパー時代になっても、NAモデルは’77年まで引き続き901型となる。

【911 (930型)】アメリカの法規で5マイルバンパーを装着したモデル(1974年~)

’74年モデルよりバンパーが大型化された通称「ビッグバンパー」が登場する。ポルシェ史上初のターボモデル登場は’75年。ところが前述の通りNAモデルは引き続き901型となるため、厳密には930型は’75年からということとなる。排気量は徐々に拡大し、最終的には3.3リッターまで排気量も拡大され、急激にハイパワー化が進む。

【911 (964型)】外観はそのままにほとんどのパーツを一新(1989年~)

’89年に登場した964型は、959で培った技術を用いて4WDモデルのカレラ4からスタート。リア駆動のカレラ2は1年遅れて登場した。その他パワーステアリングやABS、さらにティプトロニックと呼ばれるマニュアルモード付きATなど、新技術も数多く導入された。エンジンの排気量も3.8リッターまで拡大された。

【911 (993型)】初めてシルエットが変更された空冷最終モデル(1993年~)

リアに初となるマルチリンクサスペンションを導入し、リアフェンダーも964型より拡幅。キャビンこそ同形状ながら、フロントフェンダーの形状やヘッドライトの傾斜角などが変更となり、初めて全体のシルエットが変わることとなった。エンジンの改良も進み、ついにターボモデルは400馬力を超えるパワーを有する。

【911 (996型)】エンジンが水冷化され、911史上初の大幅モデルチェンジ(1997年~)

長い911史上、初めて本格的なモデルチェンジが行われた’97年デビューの996型。エンジンはついに水冷化され、ボディも大型化。フロントウインドーも5度傾斜角を増加し、空気抵抗も改善。エンジンはDOHC化され、水冷化によってパワーアップを果たしている。独特なデザインのヘッドライトには賛否両論あった。

【911 (997型)】996型の不評を受け、再び丸いヘッドライトに(2004年~)

’04年発売の997型は、シャシーこそ996と共通ながら、ボディ剛性を大幅にアップし、実に80%異常の部品を刷新。不評だったヘッドライトは従来の丸型が復活。さらに’08年からは新設計の直噴型エンジンを採用し、PDKと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッションを採用する。

【911 (991型)】軽量素材を積極的に導入し軽量化を実現(2011年~)

ボディ外板にアルミニウムが多用され、997型に対して60㎏の軽量化と剛性アップを実現。再びフロントガラスの傾斜角が寝かされたデザインも特徴。ボディサイズはほとんど変わらないものの、ホイールベースは100㎜延長され、フロントのトレッドも拡大されている。

 

いかがだったでしょうか? 最新技術を搭載したスポーツカーの系譜をたどると、技術の進化を肌で感じることができる。不評だったデザインがもとに戻されるのも面白いところ。ほかのクルマでも歴史をたどってみるとなかなか楽しいひと時を過ごせるはずだ。

この記事を書いた人
ラーメン小池
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ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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